テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

⚠血







─侑視点─




治の異常さに気がついたのが数日前。

俺はそれから少し距離を取るようになった。

同居している以上、家では今まで通りにするしかないが、学校では極力接しないようにしていた。

まあ、当たり前に治には怪しまれるわけで。


「侑。なんで避けるん」


なんでって、そりゃ怖いからに決まってる。

この前、モブからある噂を聞いたのだ。



─────



「なぁ、侑」

「ん、なんや」

「あの治のウワサ、ほんとなん?」

「?」


思い当たる節がなかったため、ウワサとはなんなのか聞き返した。


「侑が知らんのも当たり前か。治な、裏で侑と仲良くしてるやつを牽制してるんやて」

「ケンセイ?なんや、それ」

「うーん、なんやろ。侑を独り占めしたいから、他の人を寄せ付けないようにする、的な感じやな」

「え、こわ。なんやそれ、治がほんとにやっとんの?」


全然気づかなかった。違和感が無いほど、隠密に行われていたのだろう。


「なんか、ちょっと怖いわ」


じゃあ一緒に住もうと提案してきたのは、ずっと俺の近くに居るため?

それなら、今までの行動にも納得がいく。


「ちょっと距離置いた方がええんやない?」

「せやな、」


治の闇を知ってり、怖くなって避け始めたのはこの時からだった。



─────



本当かわからないが、意識して過ごしているうちに、たしかにそうかもしれないと思えてきた。

そこで、俺はある提案をした。絶対に拒否られると思ったが、それは確かめるためでもあった。

半分真面目、半分賭け。


「俺出てく」

「…は、なんで??」


その瞬間、空気がピリついた。見たことがない治の表情、声、その全てが怖く感じた。

確実に怒っている。ウワサは本当なのかもしれない。ただの友情だけなら、こんな反応はしないはずだ。


「なぁ、侑。なんでなん、不満でもあった?」


そんなん、いくらでもある。この前は風呂に入ってきたし、女子と雑談していたあとも、何を話したとか、細かい内容まで聞いてきたし、別に近くもないのに距離が近いとか、文句も言ってきた。今思えば、これもおかしい。


治はぐい、と詰め寄ってくる。身長差はほとんどないはずなのに、ものすごい圧を感じた。



「そ、そういう所も、何かと縛ってくる所も、うんざりなんや!」

「….侑」


その瞬間、首元に激しい痛みを感じた。


バチバチッ


「え、…」


意識が飛びかける中で、なにをされたかやっと理解する。全身の皮膚がピリピリとして、少し痛い。

衝撃で倒れた俺を、治は上向きに寝かせ直し、奥の部屋へと消えていった。

少しして戻ってきた治の手には長いロープが握られていた。この後どうなるか想像できてしまって、今すぐこの場から逃げ出したくなった。


「ぉ、さ、む…」

「およ、まだ意識あったんか。意外とタフなんやなぁ」


次の瞬間、さっきよりも激しい痛みとともに、俺は意識を手放した。





─────





「…..(目覚ます」

「..、?」

「あ、侑起きた?おはよぉ」

「治?どこにおるの、?」


声はするのに、姿は見えない。目を開けても、視界は真っ暗なままで怖い。


「目隠ししとるからな、怖いやろ?暗いの。苦手やもんなぁ。でも、侑逃げるからな。我慢してや」

「いや、治…、怖い、っ、」


こわい、治、…


「おさむ、とってや、..うぅ…」


俺は暗いところが苦手。いわゆる暗所恐怖症ってやつだ。

今すぐ目隠しを取りたいが、足は椅子の脚に固定されていて、腕は背もたれの後ろで縛られているため、身動きを取ることができない。

最悪な状況だ。


「侑、俺がなんでこんなことしとるかわかる?」

「、わからん..」


治の考えていることなんか、知ったことではない。

あぁ、こんなことになるんなら、あんな提案、しなければよかった。

ほんまもんのアホや。


「なんであんなこと言うたん?何不自由なく生活出来とったやろ?」

「やって、…」


なんて言えば、この後訪れる最悪な事態から免れることができるのだろうか。どう言い訳をすれば、治は怒らないだろうか。

いや、無理だな。この沈黙さえも、治の機嫌を損ねている。

恐怖で上手く頭は回らないし、言い訳を考えるのも、段々アホらしくなってきた。


「なぁ、聞こえとる?なんで?」


コツコツと、靴の音が聞こえて、治の気配がだんだん近くなる。

目の前に来たかと思いきや、椅子を揺らすほどの力で背もたれに手をつかれる。


「ぅ、」


グラリと椅子が後ろに倒れそうになったが、治が太ももの間のスペースに膝をつき、もとに戻る。


「なあ侑」


俺に覆い被さるような体制の治。

治の服が体に触れた時、自分が上裸なんだと気づいた。


「治…?」


多分治の頭がすぐ近くにある。髪の毛が首筋に当たってくすぐったい。湿った息を肩で感じる。

短く吸った息が聞こえたあと、首の根元に刃物を当てられたような痛みが走った。


「い”ったッ”!?」


たぶん、噛まれた。


治は俺の叫びなんか無視して、カジカジ、カブカブと首らへんを噛み続けた。

傷口に歯を立てられたり、同じところをずっと噛み続けられたり、はたまたじゅうっと吸いつかれたり。

人生で経験したことのない痛みで、思わず涙がこぼれた。


「おさッ、いたい!いたいっ!あぁ”ッ!…」



激痛で頭がおかしくなるほど、噛まれ続けた。

俺の顔は涙とよだれでぐちゃぐちゃで、治は俺の顔を見て、ちょっと笑っていた。

本当に獣に捕食されているみたいで、治が治じゃないみたいで、怖かった。



数分後、治はやっと口を離した。


「はぁ、っはぁ」


傷口がジクジクと痛む。血がツーっと流れる感覚。またそれを治が舐めた。


「侑、目隠し取るで」


照明が眩しくて、目がチカチカする。まだ目には涙が溜まっていて、上手く治を捉えることが出来ない。


だんだん照明の明るさに慣れてきて、治がはっきり見えるようになった。

口を見ると、血がべっとり付いていて、反射的に首元を見る。


それは思ったよりも重症で、広範囲に広がっていた。

歯型が数え切れないほど付いていて、血が滲むどころの話ではなかった。

こんな経験、もう二度としたくない。きっと2度目はこんなことでは済まないだろうから。


「おさむ、ごめん、もうあんなこと言わんから…」


すると治は満足そうに微笑んだ。そして、腕の縄を解きながら話し始めた。


「それでええんよ。侑は、ずっと俺と住んでたらええ。もうどこにも行かせん。俺だけの侑や」


そういい、優しく抱きしめてきた。

俺のことが好きで好きでたまらない治を見ていたら、なんだかさっきまでのこともどうでもよく思えてきて。

重すぎる愛も、それだけ大事に思ってくれている証拠。


「ずっと一緒やで。でないとまたおかしくなってまうから」

「うん、」


さっきまでの恐怖も、忘れてしまった。


「侑、ずっと一緒におってくれる?」

「うん、おるよ」


腕を背中に回せば、治は少し驚いた顔をして、また強く抱きしめてきた。


ほんま、どこで間違えたんかな。






──────

────

──





─数年後─



「侑、ただいま」

「治!おかえり!」


前よりもずっと笑うことが多くなった治。髪も銀髪から金髪になり、大人になってパーマもかけた。

俺がやりたいと思ってた髪型、やってくれたんや。


「今日は何してたん?」

「治の試合の録画見てた!ジャッカルVSアドラーズのやつ!」

「あぁ、これか」


広い部屋に実況の声が響く。


『ここで宮侑のサーブ!_決まったー!!怒涛の3連続サービスエースー!!』


「このシーン好きや。よくアドラーズ相手にサービスエースとれたよな」

「絶好調やったんや」


そう微笑む治に、昔の面影はなかった。

ほんまに俺にそっくり。


「さ、天気予報でも見よ」


治は偏頭痛持ちで、明日の天気次第でコンディションが変わるから、そういう日は前の日から対策をする。

俺はそばにあった雑誌を眺め始めた。


天気予報が終わり、ニュースが流れ始めた。


「やっとかいな」


治の独り言が聞こえて、思わずそちらに目を向ける。


『昨夜、午後𓏸時𓏸𓏸分に××市で宮治さん(24)が行方不明になっていることが明らかになりました。』

『警視庁の調べによると、高校から親族とは別に住んでおり、連絡がつかなくなったことで事態が発覚した、そうです。』

『まだ捜査は続いており…』


ぼんやりとテレビを眺める。


一生見つからんとええな。てか、見つけられないやろうけど。


俺も、治も。









END









────────





久しぶりです🙌


ちょーきり悪いけど、一応これで終わりです😖

まじ最近書きたいのが多すぎて😓



こっからはちょっと雑談です

最近Tiktokで軍服のやつ流行ってますよね…!あれ、なんかめっちゃ良くないですか😳😳

共感者いるかなぁ?いてくれたら嬉しい🥹


じゃあ、ばいばーい👋










この作品はいかがでしたか?

639

コメント

6

ユーザー

a@0なj3や@6はd4こ3の3そ5/Ξ„√“000やj5わw3や'3さ_-@???? 日本語喋れないくらいやばいんよ………もうマジ最高(´ཀ`) いや、こんなラストの展開誰にも予想できないって!!Ranすごすぎるでしょ??天才???いや、言うまでもなく天才か Ranの作品何でも大好きだから次も楽しみにしてるね💕

ユーザー

ほうほう……このようにして僕をニヤニヤさせるとは(?) ンギャァァァァァ!! 読んでてさまじこんな感じの顔だよ ( ´◜ᾥ◝`) えまさかのまさかの、治が大人侑になりすまし(?)をしている!?まじで最高だ😇💕‪ 親がいんのに叫びそうになったけど我慢した僕偉(?) もぅさこういう治侑が大好物すぎる…🤤 えまってわかるなんか軍服流行ってるよね!? 完結したのか…🥲‎まぁ次もまってるね!

ユーザー

ラストまさかの展開で1人でめっちゃ盛り上がってしまった、、、!!! 今回のお話もめっちゃ良かったです! 投稿ありがとうございます!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚