コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
彼と付き合うようになって数ヶ月が過ぎて、また新たに四季が巡ろうとしていた……。
──その日、真梨奈は風邪気味だとかで欠勤をしていて、私はまたあまり接したことのない近野さんと、受付をすることになった。
彼女は無駄に喋ったりすることもなく、真梨奈と一緒の時とはまるで違い、午前中の業務は気持ち悪いくらいに静かだった。
午後の開院の前に、ゆっくり目にランチを取るのがいつものパターンで、
私は、まだ数回くらいしかいっしょに食事をしたことのない近野さんと外へ出かけた。
「ランチ、どこに行こうか?」
何気なく彼女へ声をかけると、
「別に、私はどこでもいいです」
と、ひどく素っ気ない答えが返った。
「何か、食べたいものとかないの?」
気をつかって、希望を聞いてみるけれど、
「そちらの好みで、かまわないですから」
そんな風にまた軽くあしらうようにも答えられて、
「そう……」
なんだか取りつく島もないような気がして、それ以上は聞くのを諦めて、とりあえずはすいているお店に入ることにした──。
──ランチセットを頼んで、食事が運ばれてくるまでの間、する会話も思いつかずに手持ち無沙汰に水を飲んでいると、
「……永瀬さん」
と、急に彼女の方から呼びかけられた。
「あっ…何?」
さっきまではいくら話しかけても無関心だったのにと、ちょっと驚いて顔を上げると、
「永瀬さんて、何か隠してることとかないですか?」
そう、不意に問いただされた──。