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つまらねえ夏休みが終わり、風がなく じりじりと薄日が照りつける油照りの中、俺は久しぶりの学校に登校する。
その気分はいつも以上に最悪で抑えきれない苛立ちと、ずっとモヤモヤしていたことの答え合わせが出来るような、よく分からない感情が入り混じっていた。
教室に着くといつもは俯いているが、今日は顔を上げ眼球のみキョロキョロ動かし周辺を見渡す。するとその姿を捉えることは出来なかったが、鈴を転がしたような心地の良い声が聞こえてきて、俺は思わずチラッと横目で見る。
そこにはいつもの男女グループと共にいるあいつが居て、目が合うと華が舞うような錯覚を起こさせてきた。
それに対しあからさまにそっぽ向いてしまい先程までの慎重さが無駄となったが、そんなことどうでも良いぐらい俺の心はざわついていた。
……ん?
席に座り一呼吸。何とも言えない違和感を覚える。あいつ、あんな感じだったか?
不意に顔を上げようとし、慌てて俯く。
いや。まあ。夏だしそんなものなんだろう。
無理矢理自身に言い聞かせ、窓際の席からかんかん照りの空を見上げる。
あいつは夏休みの間、執筆出来たのだろうか?
次はそんな思いが、脳中を駆け巡っていく。
しかし俺は当然ながらあいつに話しかけなどせず、回答のない問いを繰り返すだけ。クラスの陽キャと関わるなんて、絶対にしたくなかった。
「未来ちゃん、もう具合は大丈夫?」
「うん。ありがとうね、メッセージくれて」
「大輝、吉永さんのこと心配してたもんな」
「そうそう。連絡先教えて欲しいとか、言ってたしー」
「ちがうしっ! あ、いや、心配してたのは……、本当だから」
「うん、ありがとう内藤くん」
そのやり取りに、俺の心は真夏の太陽に照り付かれ焼かれたように激しい痛みを起こす。小説の主人公が、ヒロインに勇気を出して行動を起こす。そんな一場面なんだろうな。
……くだらねえ。別に良いだろ、クラスの奴らがどうなろうと。
そんな思いを伏せる中、放課後となる。
今日は午前授業のみであり、クラスの奴らが昼からの予定を話し合っている。あいつも。
そんな姿など、誰が見たいものなのか。そう思い俺は荷物をまとめ、さっさと教室を出て行く。ドタドタと歩いて行くと、そこは桜の木が多数植えられている並木道。
この季節は青葉が茂り強い日差しを遮る役目を果たしている為、少々立ち止まっても暑さでぶっ倒れることはないだろう。
そう自身に言い訳し、立ち尽くすこと数十分。
当然ながら何かが起こるはずもなく、俺は家に向かってノソノソと歩きだす。
もう少し待つか?
いや、普通に何も起きないだろう。
痛ってぇな、俺。
そう思い地面を強く踏み出すと、またすれ違っていく中学の制服を着た奴ら。
そうだよ。俺はあの頃から、変われねーんだよ。なのに期待して。愚かだな、全く。
「藤城くん」
背後より聞こえた声に、自分の血液の循環が分かるぐらいに鼓動が速くなる。
いや。そんなはずない。
そう思いゆっくり振り返ると、そこには待ち人が息を切らせて佇んでいた。蝉が鳴き、木の葉の隙間から太陽の光がキラキラと輝く、そんな昼下がりだった。