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明那”海辺”
今日も一通りの仕事が終わり、海風にあたりにきていた
が…
『…なぜ?』
「俺も暇だったんだよ…」
当たり前のようにこの人がついてきてしまった
最初は加賀美さんが止めてくれたんだよ…止めてくれたんだけどさ…
最終的には呆れたのか俺に任されるしさぁ…
「それにしてもここはええね…何も考えでんでえぇ…」
『なにも…?』
「あー…何もあらへんよ!」
ときどき、この方は悲しそうな顔をする
どうしてなのかは俺は知らない
湊様と一緒にここにきたらずっと特になんもはなさず、木々の揺れや、鳥のさえずりを聞いておくだけなのだ
この海辺はなんせ町外れにあり、人もあまり来ない
まわりは森に囲まれている
『…初めて、ここで話したときのこと、覚えてますか?』
「うん」
『あのときは家族って言うものがよくわかりませんでした』
「いってたねぇ」
『はい、でも、最近はなんていうか…みんなは俺の大切な人…に、なったような気がします』
こんなことを人に話すのもはじめてだ
話す相手が湊様ってだけで緊張してるんだけどね
「俺も、そう思えたのは国王になってからなんよね…」
そのあとは湊様は、いろんなことを話してくれた
湊様は隠し子として扱われてきたこと、両親の様子やどんな生活だったのかなどを話してくれた
「俺はな、ほんとはこんな政治を変えたいんよ」
「何回もお願いしてる、改めてくれって」
『そんなことを…』
「でも、お母様にはダメっていわれるんだ、俺はあの人には逆らえない 」
考えてたんだ、この人なりに…
「俺はみんなの期待に応えなきゃなのに…ずっと抵抗できずに弱いままなんだよ…」
かすかに、湊様の手が震えてるのがわかった
この人は話してくれたんだ
他の誰でもなく、俺に
『…』
気づいたら俺は湊様の手を握っていた
「あきな?」
『俺は…』
そこまでいって、俺は止めた
『…いや、なんでもありません 』
『帰りましょう?』
「…行きたいところあるんやけど」
『え”…』
「だめ?」
…断れないッ!加賀美さんにお願いされてるし、この人を一人にできないッ!
『…わかりました』
「まぁ安心してよ、王宮内だからさ」
『、王宮内?』
そんなに見るものなんてあったってけなぁ…?
明那”王宮 庭園”
『ここが、いきたいとこですか?』
「おん」
いつも、俺が手入れしている庭園
湊様は慣れたように奥へと進んでいく
『…こちらにはなにも』
「あるやろ?」
『…?』
何のことかと思っていたら、突き当たりについた
すると湊様はしゃがみ、生い茂った葉をどけていく
『そこは…』
「これはカモフラージュな」
そこからでてきたのは小さな隙間
俺も毎日通ってる
「お!育ってる!」
『…』
「あきなが水あげてくれたんやなー!俺はなかなか来れんから心配でさー」
『この花は?』
ずっと気になっていた
他の花とは違い、隠され、離れたところに植えられていたから
「俺が植えたやつ!綺麗やろ?」
そこに咲いていたのは白くて、綺麗なコチョウランだった
『すごい…綺麗…』
「…いる?」
『うぇ!?いるってそんな…もらえませんよ』
「…これはな、あきながきたときに植えたんよ、はじめて王宮で挨拶があったときな」
そんなこともあったなと思い返してみる
そしたら、湊様はその中の1つだけ、花を摘んだ
『え!?なにして…』
「あげる」
俺の前に差し出してきた
『いや、でも…俺、枯らしそうで…』
「なにそんなこと言っとるん?王宮の水やり係がさ 」
『…そうですけど』
「それにあきなにうけとってほしいなーって!」
『…じゃあ、貰います!大切にしますね!』
「にゃは!ありがとな」
そんなとき、声が聞こえた
【湊様ー?ここら辺いないっすかー?】
ローレンだ
「んぇー…もう仕事か…」
湊様はいつもみたいに駄々こねず、潔くいくことにしていたらしい
『珍し、』
思わず声がでる
「失礼すぎん?」
『これはこれは大変失礼いたしましたー(棒)』
「ほんとに思ってないやろ!w」
そういい、湊様はローレンのもとに向かっていった
『…綺麗』
湊様がくれた花をみて呟いた
ずっと、ここにいたい
みんなと一緒に楽しく、そして、湊様とも…
そんな未来は、もうすぐ終わろうとしていた