テラーノベル
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俺が休めそうな日が決まったので、その日に例の幼児の霊を小田原の博物館に連れて行こうと千歳と相談している。
ソファに千歳と隣り合って座って、細かいところを詰める。
「博物館、9時から開くから、なるべくそれに合わせて行って、恐竜の化石とか他の化石とか見せてあげればいいかな」
『早起きしないとな。あと、昼飯どうしようか、弁当くらい作るけど』
「お弁当食べられる所あるかなあ」
俺はスマホで博物館ホームページを調べ、「いや、あるけどダメだ、この季節じゃ」とうめいた。
『何がダメなんだ?』
「お弁当食べていいところ、全部屋外。今の日本の夏の昼に外で食べろって、結構な拷問」
『じゃあ、その辺に昼食えそうな店とかあるか?』
「博物館の中にレストランあるから、そこにしよう。お子様ランチもあるから、あの子も食べられると思う」
俺は博物館ホームページの利用案内を調べつつ言った。
『メニューあるのか』
千歳は俺のスマホを覗き込んだ。
「おっ、いろいろある、うまそう。ワシ、アジフライ定食とチキンカツカレー頼もうっと」
最近の千歳の食欲は、運動部の中学生並みである。朝霧の忌み子の姿は割とスレンダーなんだけど、一体どこに入ってるんだ?
「ていうかさ、あの子は遊んでくれたおじさんに遊んでほしいんでしょ?」
『そうだな』
「今の千歳、おじさん成分ゼロだけど、同じ人だってわかってもらえるのかな?」
『んー、まあ、同じ怨霊だってことはわかると思う。あの大きさの霊なら、ワシの霊気でわかるはずだ。まあ、おっさんの姿でまたぶん回して欲しがるかもしれないけど、今の姿でもぶん回してやれるから、そうやって機嫌取る』
千歳の言うぶん回すとは、あの小さい子の両手を自分の両手で掴んであげて、力のかぎり回転して、あの子の身体を浮かす事である。
ていうか、前あの子と千歳が遊んでたときもすごくあの子楽しそうだったし、千歳も小さい子の楽しいことがわかってる感じだったな。
「千歳、もしかしてちっちゃい子の世話慣れてる?」
そう聞くと、千歳は胸を張った。
『ワシの中に何人いると思ってるんだ、寒村の売られるような娘なんて、たいてい下の子達の世話させられてるぞ』
「な、なるほど……」
そうか、江戸時代の女の子なんて、たいてい下の子の子守か……。
『でもさあ、肩車して欲しがるかもしれないからさあ、その時はあんまり高く肩車してやれないから、お前がしてくれ』
まあ、今の千歳より俺のほうが身長高い。千歳がなれるヤーさんの身長よりは低いけど。
「じゃあ、あの子を肩車して、恐竜の化石を近くで見せてあげるよ」
『それがいいな』
そういう訳で、あの幼児の霊に恐竜を見せてあげる日を迎えたのだった。
コメント
1件
うわあ、いいなあ。博物館に霊の子連れて行く計画、すごく丁寧に練ってるのが伝わってきてほっこりしました。千歳の「おじさん成分ゼロだけど同じ人だってわかるかな」ってツッコミ、笑った。でも「霊気でわかる」って言い切るところに、やっぱり千歳はあの子にとって特別な存在なんだなあと。しかも「売られるような娘が下の子の世話させられてた」って千歳の過去がさらっと出てきて、胸にくるものがありました。肩車で恐竜見せてあげる日、本当に楽しみですね。
#幽霊
凛道桜嵐 新
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#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
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