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放課後。
教室には、夕日が静かに差し込んでいた。
仁人の手には、あの紙があった。
『次の巡回 深夜0時 旧校舎 三階』
あれから勇斗は、その紙を受け取ると何も言わずに教室を出ていった。
追いかけようとした。
でも、その背中はどこか拒絶しているようで、声を掛けられなかった。
◇
帰り道。
いつもなら並んで歩く二人。
でも今日は違う。
勇斗は少し前を歩いている。
その距離は数メートルしかないのに、ひどく遠く感じた。
💛「勇斗。」
呼びかける。
勇斗は足を止めた。
振り返ることはない。
💛「昨日のこと。」
🩷「……。」
💛「巡回って何?」
風だけが二人の間を通り抜ける。
しばらく沈黙が続いたあと、勇斗は小さく笑った。
🩷「まだ気にしてたんだ。」
💛「気にするだろ。」
🩷「忘れて。」
💛「忘れられない。」
その一言に、勇斗の肩がわずかに震えた。
🩷「仁人。」
💛「……。」
🩷「これ以上、俺に近づかないで。」
その言葉は冷たかった。
でも、その声は少しだけ震えていた。
💛「なんで?」
🩷「……守れなくなる。」
💛「え?」
勇斗はそれ以上何も言わなかった。
そのまま歩き出し、夕焼けの中へ消えていく。
◇
夜。
時計は23時45分。
仁人は机の前に座ったまま、何度も時計を見つめていた。
忘れろと言われた。
近づくなと言われた。
それでも——。
💛「……知りたい。」
小さくつぶやく。
勇斗が一人で何と戦っているのか。
どうしてあんな顔をしたのか。
どうして自分を遠ざけるのか。
その答えを知りたかった。
仁人は制服を羽織る。
静かに部屋を出た。
◇
学校まであと少し。
前方に、見慣れた制服姿が見えた。
🩷「……。」
勇斗だった。
一人で校門をくぐっていく。
仁人は息を潜め、少し距離を空けて後を追う。
勇斗は一度も振り返らない。
まるで、誰かを待っているように。
時計の針がゆっくりと動く。
23時59分。
昨日は偶然だった。
でも今日は違う。
自分の意思で、この境界線を越えようとしている。
勇斗の背中が、ゆっくりと旧校舎へ消えていく。
仁人は深く息を吸い、その後を追った。
⸻
🩷
足音が、一つ多い。
気づかないはずがない。
……仁人。
頼むから、
今日だけは帰ってくれ。
コメント
1件
うわああああ第3話も尊すぎるよ…!!😭💕 「守れなくなる」ってあのヒロインの台詞、震えたんだけど!!君の優しさが裏目に出てるよ…。 それでも追いかけずにはいられない主人公の想い、めっちゃ伝わってくるし、最後の「足音が一つ多い」で勇斗sideの切なさが爆上がり…! 二人の距離が近くて遠いこの感じ、青春の甘酸っぱさがギュッと詰まっててもう最高すぎるよ…🥺✨ 次が気になって仕方ない!!
#さのじん #M!lk
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