TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

バックガール

一覧ページ

「バックガール」のメインビジュアル

バックガール

6 - 最終話 全ての終わり

♥

8

2025年07月26日

シェアするシェアする
報告する

來も学校に来なくなり、クラスが少し穏やかになった頃だった。

「それじゃ、期末テスト返すからな。」

気がつけば第2回の期末テストが終わっていた。

「どうした大輝、点数急に下がったじゃないか。」

「あぁ…最近勉強してなくて。」

最近は死体処理で勉強が出来なくなっていた。それなのに彼女は…

「お、綾香がとうとう全教科満点取ったぞ!」

クラスがざわめいていると來の友達、海斗(かいと)が俺へ

「お前、悔しがらないんだな。いつもみたいに」

「え?」

「え?って、お前毎回綾香と競ってたじゃんか。」

「あぁ、そうだね。」

「まぁ今回はお前点数落ちたしな、競いも出来ねぇもんな。」

「俺よりも点数低いやつに言われたくはねぇな!」

「今までずっと言えなかったけど、お前大変だな。」

「え?なにが?」

「なにがって…瑞葉や、來がこの学校から姿消してさ、お前の友達が段々と居なくなってるじゃんか。」

「あぁ…」

「あ、わり、気を遣いたかっただけなんだ…じゃあな。」

「おう。」


そういえば俺は綾香と競っていた。

競って、競って、負けて、負けて、勝つことは1度としてなかった。

それが俺の目標に熱意を込めれた理由なのかもしれない。

今はもう彼女の後ろを歩くだけ、作られた道を歩くだけで十分に思えていた。


変わったな、俺。


死体処理をしている時、彼女にふと聞いてみた。

「なぁ…俺って、変わった?」

「なにが?」

「なにがって…なんでもいいよ、何か変わったことがあったか聞いてる。」

「なんで聞くの?」

「いや…さ、海斗に変わったな、みたいなこと言われてさ。」

「別に変わってないと思うよ。」

「俺、ずっと君に憧れてた。俺の先をずっと立っててさ、まるで越えれない壁かと思ったよ。

そんな君だからこそ目標に食いつけるっていうか、なんというか…」

「私の事好き?」

「えっ」

突然変なことを言ってくる彼女を見て、

「私の事そんなに気になるの?」

そう言って近づいてくる。悲しいような目で、

前のような冷淡な目ではなかった。

「す…すs…」

「す…?」

「すき…好きです!!」

「ワンワン!!」

祝ってくれるかのように犬が吠えてくれた。

「やっぱり…そうなんだね。」

言ってしまった…言ってしまった!!

これで彼女に変な思いをされないかどうか不安で仕方がない…

「やっと君の本音が聞けた。私、お願いがあるの。」

「な…なに?」

「これ持って、私の部屋で待ってて。」

そう言って紙袋に包まれた何かを渡された。

「…なにこれ?」

「ナイフ。」

「ない…ふ?」

「このナイフ、私のお母さんを殺した武器なんだ。それ、一緒に隠滅しに行こう。」

「あぁ、そういうことならいいよ。」

「だからこの部屋で待ってて、私準備してくるから。 」

「うん。待ってる。 」

その日は雷雨だった。台風でもないのに風強く、窓はガタガタと揺れ、木はグラグラと揺れ動いていた。

まるで誰かの心境を映しているような。


ガチャ…

部屋の扉を開ける音が聞こえた。

「あ、それじゃ行こう….か…?」

目の前に居たのは強盗だった。

全身黒い服で覆っていて顔も見えない。これは絶対にそうだ。

紙袋に入っていたナイフを掴んで、見えないように紙袋の中でナイフを横に構えた。

いつもは俺は死体を殺すことはしなかった。

というよりしていない。

彼女がどこからか、殺しているのを処理しているだけであって、殺害経験はない。

それでもやるしかない。


強盗はそのまま立ち尽くしているだけだった。

様子を伺っているのだろうか、

どうにかして近づきたい。

最低3mが限界かもしれない。

それ以上離れていたら避けられたり、カウンターを受ける。

かと言って自分から不意に近づくと、怪しまれる。

それをどうにかして解決するには…?

そうこう思っているうちに強盗が近づいてきた。

コツ…コツ…とゆっくり足音が聞こえるぐらいに遅く近づいてくる。

弱そうなフリをしよう。

近づいてくると同時に相手に合わせて後ろに下がる、後ろに下がるのは弱者の証拠。

前に出て立ち向かうのは強者の証拠。

じわじわと追い詰められてくる。

刺せる距離まで来た、やれる。今なら確実とはいかないけれど、やれる可能性はある。

相手の油断を突くため、

「あの、あなたは誰ですか…?」

と俺は話した。

間を置いて足を踏み入れ、紙袋に入ったナイフを突き刺した。

強盗は叫ぶこともなくそのまま勢いに後ろへ倒れた。

血がドクドクと流れていっている。


急いで彼女を呼びに行った、けれども彼女はどこにもいなかった。

どこにも、この広い豪邸を隈なく探した。

けれどもどこにも居なかった。

刺した強盗犯の所に戻ってみた…

ふと思い、強盗犯の顔を見てみた…


午後5時頃に、遺体とされる成瀬 綾香さん、大島 大輝さんが発見されました。

警察は殺害事件として見ていますが、殺害された経緯などは未だ分かっておりません。

また、行方不明であった成瀬 綾香さんの母親、成瀬 千春(ちはる)さんがご自宅の地下室で発見されました。

成瀬家の父親、成瀬 文哉(ふみや)さんは、5年前から行方不明だったそうで、

知人からは、海外で企業してくると言ってそのまま行方不明となった模様です。


続きまして….

この作品はいかがでしたか?

8

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚