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※Attention
こちらの作品はirxsのnmmn作品となっております
上記単語に見覚えのない方、意味を知らない方は
ブラウザバックをお願いいたします
ご本人様とは全く関係ありません
大変遅くなってしまいました💦
書きたいシーンを書いていたら、
長くなっしまい、
言い訳をするなら、
今月、週に2〜3回模試がある地獄状態でして🙇
もう1つの方も急ぎます💦
あと、わたしブラウザ民なのですが、
編集でブロック体(太い文字)が
使えなくなってしまいました😭😭
なんででしょうか、
今まで使えなかったルビが表示され、
表示されてたブロック体が消えました……🙄
戻ってきて……😭😭
いつも俺は
君に振り回されてばかり
朝起きて
夜眠るまでずっと
君に振り回されている
でもね
君と過ごす日々は嫌いじゃないんだ
そう思う自分が
1番厄介だって知っている
なんで嫌いじゃないのかって……?
それは……
振り回されるのは君がいい
ぃき、できない……?
「……っ」
息苦しさに、浅い呼吸のまま目が覚めた。
寝返りを打とうとすると、
首を締めつける力が強くなるのがわかる。
きっと、これは、
「まろ、おきて……。
俺、しぬ……っ」
首に巻き付いた腕を思いっきり叩いて、
横にいる長身男――まろを揺さぶる。
「んぅ……?ぁ、ないこだ、おはよ」
寝ぼけた声と一緒に、
ようやく首に抱きついていた腕が
下へずり落ちる。
そのおかげで、息苦しさからは解放された。
「おはよ、まろ」
「んー……」
返事になってるかも怪しい声でを残して、
まろは俺の首元に額を擦り付けてくる。
「……離してくれたのは、
ありがたいんだけどさ」
起きたい、そう言葉を紡ぐより先に、
ぐい、と腰のあたりに腕が回された。
「だめ。起きてるって分かったら、
離す理由ないやろ」
寝起きとは思えない力で引き寄せられて、
背中に、温かい体温がぴたりとくっつく。
「……俺、さっきまで
本気で死ぬかと思ったんだけど」
「せやな。ごめん」
言葉だけは素直なのに、
腕はまったく緩まない。
「でもな、ないこがおらんくなる方が困る」
そう呟いて、頬に顔を埋められる。
耳元で、寝息と心音が混ざった。
……いや、だから。
「困る以前に、殺されかけてたんだって」
「だいじょぶや。ちゃんと生きとる」
どこから来るその自信。
再び浅くなりかけた呼吸を整えながら、
俺は天井を見上げる。
腕の中は、安心するくらいに温かくて、
逃げる気が、少しずつ削られていく。
「……重い」
「愛が?」
「いや、体重が」
「ひどいわ、ないこ」
そう言いながらも、
まろは腕を解くどころか、
むしろ逃さないとでも言うように
さらに密着してきた。
「今日はこのまま、もうちょい寝よ」
「俺の命がもてばな。
……だとしても、あと30分だけ。
学校、遅刻する。」
そう言った俺の返事を待たずに、
まろは小さく笑って、
「もつようにはする」
まるで当たり前のこと言うみたいに、
そんな一言を落とすから、
俺は思わず、
苦笑してしまったんだ。
なんとかまろを起こして、
顔を洗わせて、着替えまで済ませて、
現在時刻6時半。
7時半前に家を出れば余裕で間に合うけど、
まろの行動がとにかく遅いから、
いつもだいぶ早めに起きている。
着替えに手間取っているまろをよそに、
俺は朝ごはんを作り終え、
そのまま2人分の弁当を作っている。
「んー……」
……あ、今日も来たな。
まろ怪獣。
まろ怪獣というのは、
「んー……」の一言しかほとんど喋らず、
制服を着崩したまま、
のそのそと歩く朝限定の生き物だ。
「なぁこ……俺、まだ眠い……」
とろんとした目で、
甘えるみたいに名前を呼びながら、
まろは、後ろから抱きつく。
「はいはい、眠いのは分かるけど、
朝ごはん食べるよ〜」
ね、と声をかけながら、
なんとかまろの腕から抜け出して、
乱れたネクタイを整える。
その間も、
まろは「んー……」と小さく唸って、
眠そうに目をこすっていた。
「はい、できたよ」
「んー……ありがと〜」
その勢いで背中を押して、
まろを椅子に座らせる
俺も向かい側の椅子に座ろうとした、
その瞬間。
後ろから、
ぐいっと腕を引っ張られた。
「うゎ」
短く声を上げた時には、
俺はまろの膝の上に座らせられていた。
……いや、なにがしたいんだ、
というか、その腕どかせ。
そう思いながら、
文句の1つでも言ってやろうと、
じっとまろを見つめる。
すると、まろは目を細めて、
ふふ、と小さく笑った。
「ないこもネクタイ乱れてる」
「は?俺、ネクタイ乱れてないって」
即座に否定しても、
まろは聞く耳を持たず、
俺の首元に手を伸ばす。
慣れた手つきでネクタイを外し、
結びなおした。
……りぼん結びに。
「可愛いね、ないこたん」
俺を嬉しそうに見つめられて、
じわじわと顔が熱くなっていく。
視線を逸らしたくても逸らせず、
結局、何も言えなくなった。
口をパクパクさせた末、
ようやく絞り出した言葉は、
「俺は可愛くねぇの!!
さっさと腕どかせ!朝ごはん食うから!」
我ながら
照れ隠しそのものの言葉。
もちろん、
まろはそれを全部分かっているから、
朝ごはんの間も、
向かいの席から、こちらを
にこにこと見つめながら食べていた。
当たり前だけど、
りぼん結びのネクタイは
席に着く前に外した。
「あ、外れちゃった……」
心底残念そうに言うまろを一睨みして、
「うるせぇ、いいから飯食い終われ」
そう言うと、
まろはいひひと楽しそうに笑った。
……これが、
俺の自由気ままな彼氏です。
当然、まろの自由気ままは、
登校中でも健在だ。
歩きながら手を繋いできたり、
気まぐれに、
こっちから行こ、と違う道を選んだり。
その度に振り回されている俺。
これじゃ、
彼氏彼女の関係というより、
子供と親の方が
よっぽど正しい気がしてきた。
正門が見えてきて、
あぁ、よかった、今日は何もなかった。
そう心の中で、
ほっと一息ついた、その瞬間。
また、
後ろからぐいっと腕を引っ張られる。
……ものすごいデジャヴを感じた。
あの朝のときと、まったく同じだ。
違うとすれば、
さっきは
まろの膝の上に座らせられたのに対して、
今はぎゅっと抱きしめられていることと、
周りにたくさんのギャラリーがいて、
小さく悲鳴があがったことぐらいだろうか。
「まろ、ここ人前。
なんなら学校。離せ」
胸元を押しても、
びくともしない。
それどころか、
まろは、俺を抱きしめたまま、
人混みの向こう、
どこか一点を見つめていた。
いつものふざけた空気がなくて、
胸の奥がわずかにざわついた。
「まろ……?
どうした?なんかあった?」
そう呼びかけても無反応。
数秒、
それとも数十秒だったか。
静寂が落ちたあと、
まろは不意に腕をほどいた。
やっとほどいてくれた……
そう思う間もなく
すっと
俺の髪を一房すくい上げ、
ためらいもなくそこに口づける。
「……まろ」
「ん?」
小さく名前を呼んだだけなのに、
それが嬉しかったみたいで、
まろは満足そうに笑った。
次の瞬間、
正門前に、甲高い黄色い悲鳴が響き渡った。
……うるさ。
「だから言っただろ」
「ええやん、外国じゃキスは挨拶やで?」
その声につられるように、
周囲の視線が一斉に集まり、
気づけば、ざわざわと人だかりができている。
これ以上目立つ前に、と、
人混みを避けるように歩き出して、
俺たちはそのまま教室へ向かった。
「今日も朝からラブラブだねぇ……」
教室について開口一番、
若干白けた目のいむから言われた。
教室に向かいながら、
なんでキスなんかしたのさ、と
問い詰めても、
返ってくるのは、
「ないこが可愛かったから」
その一点張り。
そんな理由で、
俺が許すとでも思ってんのか。
……まぁ?
可愛いって言われて、
悪い気はしないけどさ。
盛大にため息をつきながら、
いむが話す。
「正門前で髪にキスとか……。
もうさ、それ公害だよ、公害」
「俺に言うな」
「いふくんに言っても聞かないでしょ」
「その通りだから困ってんだよ……」
そう言いながら、
当の本人を見つめると、
視線の先では、何もなかった顔で
長い脚をぷらぷらと揺らしながら、
完全に暇をもてあそんでいた。
「まろ」
「ん?」
「次やったら、ほんとに怒るからな」
「えー、なんで」
「人前だから」
「じゃあ、人前ちゃうとこならええん?」
……こいつ。
「そういう問題じゃない!!」
声を荒げると、
まろは楽しそうに笑って、
俺の頭をぽん、と軽く叩く。
「はいはい。
分かりましたよ、ないこ先生」
まったく分かってない言い方だった。
朝のSHRが始まるチャイムが聞こえて、
俺は小さく息を吐く。
ほんとに、朝から振り回されっぱなしだ。
……これだから、
自由気ままな彼氏は手に負えない。
でも、
それを嫌じゃないと思っている自分が、
一番厄介だ。
「じゃあ、教科書105ページ開いて〜」
高校に入学して、1年経ち、
そこからさらに進級して9ヶ月。
高校2年生も、
もうまもなく終わろうとしている。
1年のときは別のクラスだったけれど、
2年になって、同じクラスになってから、
席替えをしても、
1度もまろ以外が隣になったことがない。
俺の隣のくじを引いた人は、
決まってまろと交換する。
いつも仲良く話している男子でさえ、
何の躊躇いもなく、
くじを交換するものだから、
俺が嫌われているわけじゃなくて、
まろが何かしら脅しているとしか
考えられない。
……正直なことを言うと、
そう思わないと、やってられない。
嫌われている、という事実を
真正面から受け止める勇気がないから、
俺は今日も、
都合のいい理由を信じることにしている。
「あ、ないこ。
教科書忘れた。見せて」
まろからいきなり声をかけれて、
そんな考えごとはあっさり中断された。
「はぁ!?昨日ちゃんと準備しとけって、
言ったよね?」
前では先生が話しているから、
1番後ろの席とはいえ、
俺たちは自然と声を潜める。
ひそひそと会話を交わしながら、
周囲の視線を集めないよう、
そっと音を立てないようにして、
机同士の距離を詰める。
その拍子に、
机の下で、指先が触れた。
一瞬、びくっとして手を引きそうになるけど、
逃がすより先に、
するりと指を絡められる。
……まろ。
見上げると、
何食わぬ顔で黒板を見ているくせに、
手だけはしっかり握ったままだ。
「……今、授業中」
「静かやろ?」
小声でそう返されて、
思わず言葉に詰まる。
確かに、音は立てていない。
誰にも見られていない。
なのに、心臓だけがうるさい。
振りほどこうとしても、
ぎゅっと、少しだけ力がこもる。
離す気、ないな。
俺は諦めて、
そのまま手を握り返した。
机の下でだけ、
誰にも見えない、小さな秘密。
それだけで、
さっきまでの考え事なんて、
どうでもよくなってしまった。
放課後の生徒会室は、
昼間のざわつきが嘘みたいに静かだった。
窓の外は、
もう真っ暗で、まるで夜の学校だ。
書類に目を落としながら、
昼のことを思い出した。
昼は、生徒会の仕事があると言って、
まろから逃げた。
……でも。
こいつが一応、生徒副会長だってことを、
すっかり忘れていた。
弁当を机に叩きつけられた感触まで、
今でも鮮明だ。
「置いていかないでもらってもいいですか?」
「生徒会の仕事なら手伝いますよ?」
にこり、と笑ってから、
わざとらしく一拍あけて
「生徒会ちょーさん?」
その一連の仕草を思い出すだけで、
背筋がひやりと冷える。
「……どうしたん、急に黙って」
向かいの席から、
まろが不思議そうに覗き込んできた。
「なんでもない」
「顔、思いっきり嫌そうやけど」
「気のせい」
そう言って書類に視線を戻すと、
まろは、ふっと小さく笑った。
「あー……昼のこと、思い出しとったやろ」
「……っ」
図星すぎて、言葉に詰まる。
「……しょうがないじゃん、
怒るまろあんまり見ないんだし」
少し頬を膨らませてそう言うと、
まろは、くすっと笑って、
椅子を鳴らしながら立ち上がった。
そのまま俺の机の横まで来て、
身を屈める。
距離が詰まって、
視線がわずかに揺れた。
そして、
まろは俺の頭を軽く撫でる。
「そうやなぁ、ないこに怒ること、
あんまあらへんもんな。
ごめんな、怖かった?」
その声が、昼とは違って、
驚くほど優しくて。
思わず、
……別に、なんて強がりが喉まで出たけど、
それを飲み込んで、
ふるりと首を振った、その直後。
コンコン
唐突に、生徒会室の扉がノックされた。
反射的に肩がはねて、
まろの手が離れる。
「猫宮、いるか?」
扉を開けて顔を出したのは、
俺らの担任だった。
「はい、どうかされましたか?」
慌てて姿勢を正して答えると、
先生は眉を下げ、
申し訳なさそうに口を開く。
「悪いな、こんな時間に。
ちょっと職員室まで来てもらえるか」
ちらりと時計を見ると、
もうすぐ6時を指そうとしていた。
「分かりました」
そう答えてから、
まろは1度だけ、俺の方を振り返る。
「すぐ戻るから」
「……はいはい。
時間も遅いから、
帰りの支度して待っとくね」
「了解」
ひらりと手を振って見送ると、
まろは先生の後について、
生徒会室を出ていった。
扉が閉まる音が、
やけに大きく響いた気がした。
まろが出ていったあと、
生徒会室には、また静けさが戻る。
さっきまで誰かの気配があったはずなのに、
急に広くなったみたいで、
椅子に座ったまま、少し居心地が悪い。
言った通り、
鞄に書類をしまって、机の上を片づける。
ペンケースを閉じて、
ノートを重ねて、
最後にスマホをポケットに入れた。
それだけのことなのに、
無駄に時間がかかる。
「……遅いな」
誰に聞かせるでもなく、
ぽつりとこぼれた。
職員室まで呼ばれるってことは、
大した用じゃない、はずだ。
生徒会の連絡か、
提出物の確認か、
そんなところだろう。
何気なく、窓に視線を向けると、
結露で白く曇っていることに気づいた。
今日も1日いろいろあったな、なんて、
どうでもいいことを考えながら。
気づけば、
俺は曇った窓に、そっと指を滑らせていた。
「……ふふ」
喉の奥で小さく笑う。
ガラスに浮かび上がったのは、
無意識に書いてしまった文字と絵。
〝猫宮ないこ〟
それから、
〝内藤ないこ・猫宮いふ〟
二つの名前をつなぐように描かれた、
拙い相合傘。
消えてしまうと分かっているのに、
なぜか、そのまま指を離せずにいた。
しばらく黙って眺めていると、
廊下の向こうから、足音が近づいてくる。
一定のリズムで、
少しだけ急いでいるみたいな歩き方。
こんな歩き方、1人しか知らない。
やばい、まろが帰ってくる……!!
急いで制服の袖で窓を擦る。
その瞬間、
ガチャリと、生徒会室の扉が開く音がした。
「……ないこ? 何しとるん?」
背中越しにかけられた声に、
一瞬、心臓が跳ねる。
まずい、間に合わなかったか……?
「い、いや? 何でも……」
そう答えながら、
恐る恐る、
さっき擦った部分をちらりと見ると、
そこには、もう何も残っていなかった。
……危な。
ほんとに、バレるところだった……。
「ふーん……」
まろの表情は、
何も教えてもらえなかったのが不満なのか、
どこか納得いっていない。
「ほら、早く帰ろ、まろ。
準備して」
どうにか話題を変えようと、
まろのそばに歩み寄って声をかける。
けれど、まろは一歩も動かない。
「なぁ、ないこ」
そう呼ばれて、
やっと動いたかと思った、そのとき。
パチンッ、と乾いた音とともに、
生徒会室の電気が消えた。
視界が一気に闇に沈む。
その中で、
ぽっと灯ったのは、
まろの手にあるスマホのライトだけだった。
「面白いこと、知っとる?」
そう言いながら、
まろは、
俺がさっきまで立っていた
窓の前へ歩いていく。
「窓に書いた文字をな、
擦ったあとでも読む方法があるんやけど」
まろは、
俺の返事を待たずに窓の前に立った。
スマホのライトが、
曇りきったガラスをなぞるように動く。
「こうやってな、
角度つけて光当てると」
嫌な予感がして、
思わず一歩、後ずさる。
「ちょ、まろ……?」
その声は、
自分でも驚くほど上ずっていた。
ライトが、
俺がさっき指を滑らせたあたりで止まる。
何もないはずの場所。
……の、はずなのに。
「……ほら」
まろが、くっと喉を鳴らして笑った。
「薄ーく、跡残っとる」
反射した光の中に、
かすかな線が浮かび上がる。
もう読めないほど曖昧で、
でも、確かにそこにあった痕跡。
「相合傘、やろ」
心臓が、どくん、と嫌な音を立てた。
「……っ、ちが……」
言い訳しようとして、
言葉が見つからない。
まろは振り返らずに、
窓を見たまま、言った。
「消えたと思っても、
ちゃんと残るもんやね」
責めるでもなく、
からかうでもない声。
その声で余計に顔が熱くなる。
「こんな可愛いん書いてたの、
別に教えてくれたってええやん」
「……うるさい」
そう返すのが精一杯で、
視線を合わせられない。
まろは、そんな俺を見下ろして、
相変わらず楽しそうに目を細めた。
「今、ないこ照れとるやろ」
「照れてない」
「嘘やって、絶対照れとる」
即断だった。
電気も点いてない、真っ暗な状態なのに。
「そもそもなぁ」
まろは軽く肩をすくめて続ける。
「ないこが、
俺の名前書いとる時点で、
もう可愛いんやって」
「書いてねぇっての……」
「相合傘の右側、
ちゃんと俺の名字あったで?」
……最悪だ。
見られてない前提でやったこと、
全部バレてる。
「忘れろ」
「無理やな」
「努力しろ」
「それは無茶振りや」
くすくす笑いながら言われて、
反論する気力が削がれていく。
「まぁでも」
まろは少しだけ声を落として、
俺の前に立った。
「消えるもんに書くくらいが、
ちょうどええんかもしれんな」
その言葉に、
思わず顔を上げる。
「形に残らんからこそ、
今この瞬間の気持ちやって分かるし」
……ずるい。
そういうことを、
さらっと言うところが。
だから、好きなんだ。
抜け出せれないんだ、まろという沼から。
どんだけ振り回されても、
ちゃんと俺の気持ちを理解してくれて、
踏み込みすぎる前には、
必ず立ち止まってくれる。
独りよがりじゃない優しさを、
当たり前みたいに差し出してくる。
そんなところが、大好きだ。
「帰ろか」
俺がまだ余韻に浸っている間に、
帰る支度はすっかり整っていたらしい。
まろは生徒会室の扉の前に立ち、
当然のように手を伸ばしている。
薄暗い室内でも、
その手を見失うことはなかった。
迷うことなく、
俺はその手を取る。
指先が触れた瞬間、
ぎゅっと確かめるように握られて、
胸の奥がまた少しだけ熱を帯びた。
俺を引っ張るようにして、
前を歩くまろを引き留めるように、
俺は後ろから手を引く。
「どした?ないこ。
忘れ物でもした?」
不思議そうに振り返る、その顔を見て、
一瞬だけ言葉に詰まる。
「……うん」
大事な、忘れ物。
小さく頷いて、
指先に力を込めた。
「まろ、大好き」
放課後の廊下に、
思ったよりもはっきり響いた声。
言った瞬間、
顔が一気に熱くなる。
でも、後悔はなかった。
言葉は、思った時にちゃんと伝えないと、
消えてなくなってしまうから。
まろは一瞬きょとんとして、
それから、ふっと目を細めた。
「俺は、愛しとるで。ないこ」
その一言が、
まっすぐ胸に落ちてきて。
……だめだ。
顔、絶対見せられない。
「……急に言うなよ」
「なんで。それはないこもやろ」
「……そうだけとさ、
心の準備ってもんがあるだろ」
そっぽを向いたままそう言うと、
まろは可笑しそうに笑った。
それから、
お互い何も話せないまま並んで歩き出す。
校舎を出ると、
外はすっかり夜で、
冷たい空気が頬を撫でた。
それでも、
繋いだ手だけは温かい。
形に残らなくても、
言葉にした気持ちは、
ちゃんとここにある。
胸の奥に、
確かに残っている。
それをその温もりが教えてくれる。
大好きだから。
どうしようもなく。
愛しているから。
呆れてしまうほど。
……だから俺は、
明日もまた、
この人の隣を歩くんだ。
本編8000字超え……!!
いつの間にこんなに長く……
最後まで読んでくださり、
ありがとうございました!💕💕
……あれ?
いつも
俺に振り回されると思っている君
そんなこと
あるわけない
君だって
十分俺のことを振り回してる
仮に
俺が君を振り回していたとしても
俺が
振り回されるのは君がいい
これは、もしや……
500♡で投稿予定