・nmmn
・紫桃
・学パロ
・4051文字
演技なんて、やろうと思えばいくらでもできる
狂ったように相手を溺愛する演技
愛想が悪い一匹狼のような不良の演技
愛想を振りまきつつ、一定相手と距離を置く演技
相手が何を求めているかによって人を変えることはできないことじゃない
ただ、それが人を選ぶように見られると、本当に独りになってしまう
自業自得といえばそうなるかもしれない
正解なんて、俺が知っているはずもない
だから、一般的でかつ善人の演技をする
紫「なあ、今日、遊びいかね?」
桃「え、行く」
いつもツンツンしているクラスメイトが、珍しく誘ってくれた
人と居るほうが、自分を見失わないですむ
紫「お前さぁ、人のこと道具だと思ってないよね?」
桃「は?」
紫「いや、お前たまにロボットみたいなときあるから」
桃「いや、だからってそんな言い方ないでしょうよw」
俺の善人演技の意味潰すなよ
紫「そういやお前、まだ部活決めてないの?」
桃「あ~、そうなんだよね」
紫「じゃあさ、演劇部入んない?」
桃「演劇部?」
紫「そう、今部員少なすぎて出来る作品が少ないのよ」
桃「そういや発表会あるんだもんね」
紫「そうなんだけど、5人じゃ配役足りなくて…どう?」
桃「うーん…」
演劇部、か
得意分野ではあるし、他人の演技を見るのも好きだ
演技を間近で見れるという点でも、新しい演技の収穫があるという点でも興味はある
そもそも、他の部活で特に興味のあるものもない
桃「いーよ」
紫「ナイスー」
紫「じゃあ、部室行きましょう」
桃「…遊びは?」
紫「また今度な」
桃「お前、最初からこれ目的じゃねーか」
紫「いやいや、そんなわけないじゃん??いやぁ、らんくんと遊びに行くの楽しみだなー」
桃「ちゃんと来いよな」
紫「まあ、予定がなければ。」
桃「うわぁー」
はめられたけど、ま、面白そうだしいっか
紫「はい、ここが部室な」
紫「部活は明日から毎日あるから、よろしく」
桃「おいおい」
紫「で、6人集まったから」
紫「お前の役これな」
桃「えぐいって」
〝幸せな純粋君〟か…
紫「どう?お前、一回ここの笑顔やってみてよ 」
桃「えー…っと、おけ」
桃「おれね ! おっきくなったら おいしゃさんになるの !(笑顔)」
オーバーな程口をにっと開き、優しい目をゆるく細める
腕を若干左右に広げ
バレないくらいに膝を曲げて上目遣いを意識する
あざとすぎたか…?
桃「…どう?」
紫「思ったより上出来」
桃「なんか腹立つな」
紫「はあ?褒めてんだから素直に喜べよ」
紫「ま、これからもっと上手くなってもらうから」
桃「はいはい」
桃「ねえ!せっかくだから、いるまもなんかやってよ」
紫「はあ?」
桃「んーっと、じゃあ、ここ!」
紫「どれどれ…?あー、これね」
紫「俺より先に死ぬとか、ぜってー許さねーから(笑)」
いつもと違い、少年っぽさがある
切れ長の目で軽く流し見するも、黄色い瞳がターゲットの俺を捉えて離さない
全体的な笑顔はもちろん、普段より若干雰囲気が柔らかい
紫「どうよ?俺に見惚れた?w」
桃「んなわけw」
紫「ま、俺より上手いやつとかいっぱいいるから、明日からもよろしく」
桃「ん」
ちょっと…いや、結構面白そうな部活かも
次の日
今日から正式に入部することになっているが…
桃「部室、どこだっけ」
いるまは先生に呼び出しをくらい、先に行っていてと言い残してさっさと教室を出てってしまった
桃「たしか…こっちだっけ」
桃「…あ」
全く誰も居なかった廊下に、一人の人影が見える
演劇部の人か…?
桃「あ、あれじゃん」
金髪に赤メッシュの男の子が入っていった教室は、まさに演劇部の部室だった
桃「(コンコン)失礼しまー_」
赤「うわ、ストーカーっ!!」
桃「…は?」
赤「お前、さっき俺のことつけてただろ」
桃「え?ああ、部室がわからなくって」
赤「え?もしかして入部?」
桃「そうです」
赤「うわ、新人慣れねー…(ぼそっ)」
聞こえてるんですけど。
黄「あれ?なっちゃん、その子は?」
水「もしかして入部してくれるのっ✨」
桃「はい」
緑「え!ありがとう〜ちょうど人手不足で困ってたんだ〜」
誰が誰だ?
赤「俺、部長の暇なつ」
緑「副部長の緑谷すちだよ」
水「雨乃こさめと〜」
黄「黄木みことです!」
桃「桃川らんです」
緑「今はいないんだけど、紫崎いるまって子と5人で活動してます」
桃「ああ、はい…なるほど」
緑「次の発表会でやる予定の作品がこれで〜、らんくんにはこの役をやってもらいたいんだけど…いいかな? 」
桃「はい、問題ないです」
桃「あと、タメでいいです」
緑「そう〜?じゃあ、らんらんね」
らんらん…w
呼び捨てじゃないんだ
ガラガラ
紫「さーせん、遅れましたー」
紫「お、らん迷子ならんかった?w」
桃「うるせーなったわボケ」
紫「www」
水「え、そこ2人知り合い?」
紫「俺が誘った」
黄「そうやったんや!」
紫「自己紹介終わった〜?」
赤「ばっちり」
紫「ほな、練習か 」
緑「練習の流れとかは俺が説明するね」
赤「ないすち」
緑「とまぁ、こんな感じかな」
緑「わかんないこととかあったらいつでも聞いてね~」
桃「はい」
緑「部活内では敬語禁止ね」
桃「禁止?!」
緑「いや、まあ禁止ではないんだけどw」
緑「暇ちゃんが堅苦しいの嫌いだからって理由」
桃「へぇー部長が…」
赤「さん付けと部長呼びも禁止で。」
桃「わぁ、びっくりした」
赤「あんまびっくりしてないだろ」
桃「いやぁ?そんなことないっすよ」
赤「そんな安っぽい演技じゃ、やってけないぜ?」
桃「ちゃんと、練習しますよ(笑)」
赤「あいつ、どんくらいできるの?」
紫「んー、思ってるよりできるかも」
赤「なんか試しやらせた?」
紫「ああ、ここんとこ(指差)」
赤「ふーん…」
あのとき、演らせたシーン
正直、良くてもよくある演劇部の中学生くらいだと思っていたが
どうやら、そこそこ演技ができるなんてものじゃなかったらしい
得意そうといえば得意そうなタイプの役ではあった
だが、
ただ純粋に幸せで人を疑うことを知らない少年という役は
ある意味、一番らんと正反対な性格なのかもしれない
その場を自分のものにして笑う
あのとき、らんはそれを無意識にしていた
かなりの実力者だ
赤「そんじゃ、一回合わせてみる?」
紫「了解」
赤「台本って覚えたよね??」
桃「はい」
赤「言葉遣い」
桃「細かい…」
緑「ま、演技中は台本無しね」
黄「舞台袖におるときは見てもええよ〜」
水「まだ一回目だし、軽く合わせてみよう!って感じよね」
紫「まあ、一回やってみようぜ」
赤「そんじゃ、緑から」
演技
緑「〜〜〜」
水「〜〜〜〜笑」
紫「…〜〜〜」
桃「〜〜〜✨!」
紫「〜〜〜〜笑」
水「〜〜〜〜」
赤「はい、一旦カット」
赤「ここで場面切り替えね」
緑「えっとー、次はー」
緑「〜〜〜〜」
黄「〜〜〜〜」
水「らんくん、凄いねー」
桃「はい?」
水「いや、想像以上に演技上手いかったから(笑)」
桃「あー…ありがとう(笑)」
赤「…」
これは…期待できるな(笑)
全然指摘する隙がない程、完璧な演技
おそらく家で練習してきている
しかし、1日でここまでの成果を叩き出せるとは…
いるま、いい新人捕まえてきたな~
黄「なっちゃん?大丈夫、?」
赤「ん?ああ、ごめん聞いてなかった」
緑「えっと、ここの演出が〜〜」
桃「いるまー…?」
紫「なに?」
桃「いるま的にみんなの演技の癖とか実力ってどんな感じ?」
紫「あー…っと」
紫「こさめは役による。まじで。
得意な役だとクソ上手いけど、苦手な役だとこれ苦手なんだなーってわかる」
紫「みことは、自分に近いキャラだとちょっとぎこちないけど、それ以外はだいたいなんでもできるって感じ」
紫「すちは、全部できる」
桃「全部?!」
紫「代わりに、こさめみたいに得意な役が特別上手いみたいなのもない」
桃「あー…平均的にカバー範囲広い的な?」
紫「そうそう」
紫「で、なつはすちに近いけど、なつの声に合わないキャラとかだと違和感がある」
紫「代わりに、パフォーマンス自体は多分なつが一番平均値高い」
桃「なるほど…」
そんで、らんは全部平均値高いから
苦手な役がなにかまだわかんないけど、演技の方向性はなつにかなり近い
その上、演技の技術が豊富で即興力もそこそこある
俺もボヤボヤしてらんねーな
紫「これから、よろしくー」
桃「似たようなこと昨日も聞いた」
紫「昨日とは別の意味があんだよ」
桃「へぇー」
紫「興味の無さむき出し…(笑)」
桃「まあ、いろいろ教えて下さいよ」
桃「紫崎先輩?w」
紫「うわ、クラスメイトにいわれる違和感…」
桃「まあ、一ヶ月分くらい部活の先輩だから(笑)」
紫「うん、なんでも聞いてよ!らんくん!」
桃「うわ、やっぱいいです…」
紫「ww」
紫「お前がやってんのこうゆうことだからな?」
桃「あ、はい…すみません……ww」
紫「www」
水「おーいそこ2人、集まってー」
桃「はーい、w」
赤「なに笑ってんの?」
桃「いや、思い出し笑いです(笑)」
緑「えぇー、なに話してたの?w」
桃「えっとー」
紫「らんが、俺のこと部活の先輩として尊敬してるって」
桃「言ってねーよw」
赤「〜〜〜?」
紫「〜〜〜ww」
黄「〜〜〜?!」
水「〜〜〜?w」
桃「〜〜〜っ!!w」
緑「〜〜〜w」
ああ、俺今
今までで一番自然体かも
幸せだわ(笑)
___ここに居たいな
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