「私はあとで困るようなことも一切してないよ。陸は私とのセックスを撮影したいって何度も頼んできたけど、それも最後まで突っぱねた。たぶん君の隣にいる女は好きなだけ撮らせたんじゃない?」
「そうなの?」
「別れるとき画像や動画は全部消すと約束させた」
撮影させたってこと? 男が行為中の様子を撮影することをハメ撮りって言うんだっけ? リベンジポルノの恐れもあるのにそれを許す女の人は危機感が足りないと前から思っていたけど、まさか彼女がその一人だったとは思いもしなかった。
「消すわけないだろ!」
アヤネさんが呆れたように笑ったが、僕も同感だ。
「いつ拡散されてもおかしくないし、あいつらのことだからもう拡散されてるかもね。ねえ、彼氏君、君は自分の彼女の恥ずかしい動画が世界中に拡散しても平気でいられるの?」
彼女が3Pや4Pをしている動画も当然あるのだろう。そういうものが大量にあって、おそらく今も陸たちのスマホの中に眠っている。
彼女が僕に裸を見せてくれる前に、流出した画像で彼女の裸を目にしてしまうという事態も十分考えられるわけだ。平気かどうかで言えば、動画の拡散がどうこう以前に、今時点ですでに平気ではない。
「スマホ出して」
言われた通りスマホを渡すと、SNSの友だち登録をして僕に返した。
名前は六車彩寧さん、学校は私立の中高一貫のお嬢様学校の高等部三年生。 文芸部に所属して詩や小説を書いている。卒業後の進路はすでに系列の女子大への進学が決まっている。そんな自己紹介を記したメッセージがすぐに届いた。最後にこんなことが書いてあった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!