コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
学校を出た途端、空が泣き出した。
葵:「うっそでしょ……!」
あたしは小走りで渡り廊下を駆け抜け、見慣れた図書室の前で足を止めた。
傘なんて持ってきてない。朝はあんなに晴れてたのに、まさかこんな土砂降りになるなんて。
帰ろうにも、これじゃびしょ濡れ決定だ。
ちょっと雨宿り……のつもりで、あたしは扉を勢いよく開けた。
──ガラッ。
冷たい空気と一緒に、視線がひとつこっちを向いた。
窓際の席に座るのは、凛ちゃん。
赤ペンを持って問題集とにらめっこしてる姿、見覚えがある。
凛ちゃんはクラスでもちょっと特別な存在だ。
真面目で、成績もトップクラス。先生にも信頼されてて、いつもきちんとしてる。
正直、あたしとは真逆。今までほとんど話したこともない。
葵:「図書館、入っていいのかな」
とりあえず声を出してみた。ちょっとテンション高めに言えば、気まずくならない気がして。
凛:「静かにしてくれるなら」
即答。ちょっとツンとしてるけど、なんかそれが逆に安心する。
あたしはずかずかと中に入って、凛ちゃんの近くの席に座った。
髪の先から水がポタポタ垂れて、制服も少し冷たい。窓の外を見ると、雨はさらに強くなっていた。
葵:「雨、マジでタイミング悪すぎ!」
凛:「……傘、持ってないの?」
凛ちゃんが、意外にも話しかけてくれた。少しびっくりしたけど、嬉しかった。
葵:「うん、忘れた〜。朝晴れてたし、油断した」
苦笑いでごまかすけど、心の中ではちょっとドキドキしてる。
だって、こんなに近くで話すの、初めてだから。
ずっと思ってたんだ。
勉強してるときの凛ちゃん、なんか……すごく集中してて、きれいだなって。
窓際の光が髪に当たると、まるで本の中の登場人物みたいで。
葵:「凛ちゃんって、勉強してるときかっこいいよね」
思わず口から出た言葉に、自分でもちょっと照れた。
凛:「……見てたの?」
驚いた顔。
葵:「そりゃ見るでしょ〜、窓際で目立ってるし」
冗談っぽく返してみると、少しだけ彼女の表情がやわらいだ気がした。
話してみると、意外と普通だった。いや、普通っていうか……思ってたよりずっと話しやすい。
真面目で完璧、みたいなイメージが強すぎただけなんだ。
葵:「真面目に頑張れる人ってさ、ちょっと憧れるんだよね」
本音だった。
勉強も部活も、何をやっても中途半端な自分が、少し恥ずかしくなってしまうくらいに。
でも、彼女は少し眉をひそめて言った。
凛:「完璧なんかじゃない」
強い言い方に、一瞬たじろぐ。
……あ、これ、地雷踏んじゃった?
葵:「……ごめん」
凛:「怒ってない。ただ……完璧なんかじゃないのに、そう言われるの、苦手なだけ」
視線を落とすその姿が、なんだかすごく人間らしくて、胸がきゅっとした。
葵:「意外と、話しやすいね」
気づいたら、そう呟いていた。
彼女は目を丸くして、少し頬が赤くなったように見えた。
外の雨は止む気配がない。でも、不思議と焦る気持ちはなかった。
この時間が、少しでも長く続けばいいのに──そんなことを思ったのは、初めてだった。
長くなっちゃいました、、、!最後まで見てくれありがとうございます!
♡が来てて嬉しすぎざんまいって感じだったので、書きました!
自己紹介をしてなかったことに気が付いたので、しときますね!
白石 凛(しらいし りん
高校2年生
控えめで人と距離取りがち、周囲の期待を背負って生きている
家が厳格。親は完璧な娘を育てようとし、毒親ぎみに
教師からの信頼が厚いが、友達は少ない
神崎 葵(かんざき あおい
高校2年生
活発で自由人、素直でまっすぐ、情に厚い
友達は多いが、教師からは目をつけられている
こんな感じですかね、!ではまた次回!♡やコメント、フォローよろしくお願いします!