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雨の日で会ってから神崎さんはよく図書館に来るようになった。
他愛もない会話をしたり、一緒に勉強をしたり、ちょっとした悩みを話したり。
いつの間にか名前を呼び合う仲になっていた。
放課後の図書室は、いつもよりも静かだった。
他の生徒はみんな部活に行ったのか、ページをめくる音と、時計の針の音だけが響いている。
葵:「ねぇ、凛」
凛:「なんですか?」
机にノートを広げたまま、葵は凛の横顔を覗き込んだ。
最近はこうやって名前を呼ぶのも、自然になってきた。最初は少し緊張していたけど、今ではもう、呼ばないと落ち着かないくらい。
葵:「今日、やけに静かじゃない?」
凛:「……そうですね。みんな、テスト終わったから遊びに行ったのかもですね」
凛は相変わらず落ち着いた声で答える。けれど、その横顔は少し柔らかくなっていた。
最初に出会ったときの、あの堅い雰囲気はもうどこにもない。
葵:「ふふ、なんか変な感じ〜。あたしたち、真面目にここで勉強してるのにね」
凛:「……別に変じゃないわ。いいことよ」
葵:「ま、たしかに! 凛と一緒だと、集中できるし」
その言葉に、凛はわずかに目を丸くして、すぐ視線をノートに戻した。
でもその頬が、ほんのりと赤くなっているのを葵は見逃さなかった。
凛:「……なに」
「ううん、なんでもない〜」
(敬語はずれてる、かわいい……)
心の中でそう呟いた瞬間、自分でもびっくりするくらい胸が高鳴った。
今まで友達として楽しかっただけの時間が、ふいに違う色を帯びた気がした。
葵:「ねぇ、凛ってさ」
凛:「うん」
葵:「ずっと一人で図書室にいたじゃん。……寂しくなかった?」
葵の問いに、凛は一瞬だけ手を止めた。
ペン先が紙の上で小さく震える。
凛:「……寂しいなんて、考えたことなかった、です」
少し間を置いて、凛は静かに言葉を紡ぐ。
凛:「でも……最近は、ひとりのときより、葵といるときのほうが……時間が早く感じる」
葵は一瞬、息をのむ。
葵:「……それ、今ちょっとドキッとすること言ったよ?」
凛:「な、なにが……!」
凛が慌てて顔をそむけた。その耳まで赤い。
葵:「ふふっ、かわいい〜!」
思わず声をあげると、凛は「うるさい」と小さく呟いて、ノートで顔を隠した。
でも、その仕草さえ愛おしく感じてしまって……葵は胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。
(……凛といる時間、好きだな)
夕日が窓から差し込み、図書室の中がオレンジ色に染まっていく。
二人の間に、言葉にはできない「何か」が、静かに生まれ始めていた。
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