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けれども、ここ黒縄地獄でも安全な場所を見つけた。


岩山の間に、小さな白い花が咲いていて、そこにだけは降って来る大岩の雨も、地面を流れる溶岩も近づかなかった。


「音星はここで待っていてくれ! 俺はもう少し探してくる!」

「ええ。お気を付けて……あ! あらら? なんだか不吉な予感がしますね」


俺は音星の向いた首の方向を見ると、ドーンっと大噴火した一つの山があった。


その山から、周囲の地面にまで溶岩が押し寄せてきて、豪雨のように降る焼けた大量の大岩が、天高くばら撒かれた。まるで、地獄だ……。 いや、地獄にいるんだよな。俺たち……。


それと同時に、周囲の高熱も更に極度に上がってしまい。岩山の間の一輪の花が揺らいだ。


「だ、ダメだ!! 熱くてしょうがないぞ! このままじゃ、二人とも高熱でやられてしまう!! しょうがないから一旦、八天街へ引き返そう! 音星急いでくれ!!」

「は……はい! え、ええ! そうですね!」


音星は布袋を肩から降ろして、袋の中から古い手鏡を急いで探しだした。

その間、俺は辺りを警戒した。


これだけの激しい高熱や溶岩の流れがあるというのに、そして、大雨のように降って来る大岩も、俺たちがいる岩山の間の部分は何事もなかった。でも、無事だったけど、熱さは酷いもんだ。


俺も音星も火山によってグンと上がってしまった高熱で、滝のような汗を流していた。もしかしたら、このままだとそこらの亡者と一緒になるんじゃないかと思うほど、物凄い高熱が黒縄地獄全体を包み込んだ。至る所にある地面に転がっている大きな岩が、悲鳴のように水蒸気を勢いよく上げ、煙を噴き出している。俺の呼吸もなんだか、過呼吸になって、息苦しさを覚えるようになってきた。


「火端さん! この手鏡を! ……あれ? 火端さん? あっちの岩間から……」

「え?」


音星が指差す方を見ると、鬼(獄卒)たちによって、一つの人型の魂が鉄岩に括り付けられていたが。今にも巨大な斧で四肢を切断されそうになった。その時、その人型の魂から、あり得ないほどの大きな悲鳴が発せられた。


「火端さん。私、行ってきます!」

「音星! 待つんだ! 無茶だよ! ここは地獄だぞ! 罪を犯したものが落ちてしまう場所んだし! 当然、受けないといけない罰なんだよ! きっと!

だけど……」


俺は頭を激しく振った。


「いや、罪人だけど……でも、罪人だから……仕方ないことなんだと思うんだ! 俺たちが止めに入るのは、何かがおかしい気がするんだ!」


音星は俺の顔をじっと見つめて、クスクスと笑いだした。


「私。お説教されてしまいましたね。でも、火端さんも私も目的がありましたね。その目的とは……一体何でしょう?」

「う! ……うん! そうか! そうだよな!!」


その時。ついに噴火活動が激しさを増した。恐ろしい高温が更に酷くなって、俺は熱さでブッ倒れるんじゃないかと思った。それでも、グッと歯を食いしばり、二本の足に力を入れる。岩山の間のすぐ近くを流れる溶岩の影響で、広大な黒縄地獄の地面の土から至る所で煙が間欠泉のように噴き上がった。降りだす無数の大岩もどかどかと地面に落ちてくる。大噴火の大音響が襲う中。地面が大揺れに揺れだした。

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