テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
MAKO
主はルカスとの定期的なカウンセリングと投薬治療で症状は大分落ち着いてきたように思われる。
「主様、治療を始めてからもう1年経つのですね。
主様の鬱症状はなかなか手強いですね」
『そうか、もうそんなになるんだね』
主は暑さで部屋から出ることを嫌がり、ベッドに寝そべりながらルカスと話していた。
『……ねえ、ルカス』
「どうしましたか?」
『私ね、こんなに皆に良くしてもらって、治療もしてもらって、このままで良いのかなってすごく思うの。
せめて皆の役に立ちたいけど、天使狩りは定期的にあるわけじゃないし、最近あんまり行けてないし、申し訳ないなって。私、ここに居て良いのかな…』
確かに天使狩りどころではないくらい不安定になっていた時期もある。
それを申し訳ないと思うのは主の性格上仕方ないところはあると考えられる。
しかし、執事たちを気遣い、主として相応しい振る舞おうとしてくれている主を疎ましく思っている執事など居ない。
「主様、そんなに思い詰めないでください。何も出来なくっ縦ここに居て良いのですよ?
主様が居てくださるだけでどれだけ救われているかわかりません」
主はその返答に満足しなかったらしく、枕を抱きしめてごろりと寝返りをした。
『私は…何もできない私が嫌いなの…
…ねぇ、シャキッと元気になれる薬とかないの?』
ルカスはまた重症だなと苦笑いしながら返事をする。
「そうですね…そうなるともう麻薬とか違法ドラッグになってしまいますよ」
『……カフェインとか』
「うーん、カフェインやエフェドリンなら合法ですがお勧めはできませんね」
『ふーん…』
主は一旦自宅に戻ってルカスから聞いたカフェインやエフェドリンについて調べてみることにした。
『市販薬だと…うーん、規制されてるか…』
1人一箱だとか使用目的の確認だとか、薬物乱用に関する世間の目は厳しくなりつつあるらしい。
効き目が微妙でも飲まないよりはマシ、ということになることを祈ってOD界隈で人気な鎮痛剤を購入して、執事達に見つからないよう素早く飲んでカバンの底に隠した。
ODしようと思ったら何故か元気に動けて、薬を飲んだ後もODの効果なのか最初から元気なのかよくわからない。
(あー…でも夜に飲むんじゃなかったかも)
久しぶりに作業を進めてみたりしたが、夜中になっても眠気が来ない。
何とか眠れても早朝に覚醒してしまって、あまり眠れなかった。
カフェインが入っている薬だったので覚醒作用が強く出たらしい。
しかし、これを朝飲むようにしたらその日は頑張れそうな気がする。
心にくすぶる劣等感が少しでも減ってくれたら、とそっとカバンの底に隠した薬の残りをどう活用しようか考えるのだった。
コメント
1件
うわぁ…このエピソード、めちゃくちゃ胸が苦しくなったよ😢💔 主様が「何もできない自分が嫌い」って言うとこ、すごくリアルで切なかった…。周りに良くしてもらえばもらうほど「このままでいいのかな」って自分を責めちゃう気持ち、わかる気がする。ルカスの「何も出来なくてもここに居て良い」って言葉が優しすぎて泣ける😭 でも最後の薬のシーン、すごくヒヤッとした…。カバンの底に隠す描写とか、現実の闇を感じてドキドキしちゃったよ。主様が自分を追い詰めすぎないでほしいな…次が気になる! MAKOさん、こういう繊細な心理描写、本当に上手すぎます…😌💕