テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
(深夜の警察署前。雨が降りしきり、街灯の光がアスファルトに細かく砕けている。曽野舜太はびしょ濡れのまま、署の階段の下に立っている。服は泥と血で汚れ、髪は額に張り付き、肩が小刻みに震えている。)
……俺、来たよ。
(声は掠れて、ほとんど雨音に消えそう。
署のガラスドアを見つめたまま、動けない。
指先が震えて、拳を握りしめても止まらない)
あいつと喧嘩したんだ。
いつものくだらないことで……
でも、今日はなんか違った。
俺、頭に血が上って、
押しただけだったのに、
あいつ、階段から落ちて……
頭打って、動かなくなって……。
(膝が折れて、その場にしゃがみ込む。
両手で顔を覆って、指の隙間から嗚咽が漏れる)
怖かった。
血がいっぱい出てて、
あいつの目が開いたまま俺を見てて……
俺、逃げた。
走って、走って、
どこまでも逃げようとした。
(雨が顔を叩く。涙と混ざって、頰を伝う)
でも、耐えられなかった。
夜中、コンビニのトイレで吐いて、
鏡の中の自分が気持ち悪くて……
あいつの顔が、ずっと頭の中にいて……
「ごめん」って言いたくて、
でも誰もいなくて……
もう、俺、壊れそうだった。
(ゆっくり立ち上がって、署のドアに近づく。
手がドアノブに触れるけど、すぐに離す。
何度も深呼吸して、ようやく押し開ける)
……すみません。
(署内の明かりが彼の顔を白く照らす。
受付の警察官が驚いた顔で立ち上がる)
俺……友人を、殺しました。
喧嘩の末に、
誤って……
逃げてました。
もう、隠せないです。
(涙が止まらなくて、声が震える。
両手で顔を覆いながら、膝から崩れ落ちる)
ごめん……
本当に、ごめん……
あいつ、ごめん……
俺、こんなことしたくなかったのに……。
(警察官が駆け寄ってきて、彼の肩を支える。
舜太は抵抗せずに、ただ泣き続ける。
雨音が署の外でまだ響いている。
彼の嗚咽だけが、静かな署内に重く響く)
……俺、もう逃げない。
全部、話します。
罰受けるから……
許してくれなくてもいいから……
ただ、あいつに、
「ごめん」って、言わせてほしい。
(床に額を押し付けて、
体を丸めて、
ただ泣きじゃくる。
かつての明るい笑顔は、もうどこにもない。
残っているのは、
後悔と恐怖と、
消えない血の記憶だけ)