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キャラ崩壊(全体的にですが、特にrbさん)、チャイナパロ、kgri.rbri、何でも許せる方向け。晒し行為はお控えください。
6話の中華パロの続きなので、先にそっちを見たほうが良いかも知れません。
長いので、前編 後編に分けようと思います。中編を間に挟む可能性もあり。
「カゲツ。オレ、カゲツの事好きだよ。」
小首を傾げそう告げる。ゆるゆるとした動作をする度、ふわりと爽やかな風が舞った。
ちらちら覗く舌を見つめて、発された言葉を脳内で繰り返す。
肝を潰すかのような衝撃が、甘く身体中を巡って、思わず口を抑えた。
「カゲツが、世界で一番好き。」
そう、いじらしく笑ってみせる彼。大好きで、誰よりも近くにいるはずなのに、何処か遠くにいる錯覚を見せてくる彼。その彼が、伊波が、僕を選んでくれたんだ。他の誰でもない、僕自身を!
吐くほど嬉しくて、涙が出そうで出なくて、心臓がうるさくなった。だんだんと苦しさを増していった瞬間、 目が覚めた。
チュンチュンと、鳥のさえずる声が聞こえる。ドクドクと跳ねる心臓が落ち着き始めて、一呼吸。
枕元に手を付いて、ぼぉっと天井を見た。
「夢か……。」
朝、家には誰もいなくて、今日は起きてすぐ向かわないといけない仕事がある為、伊波の帰りを待つ事が出来ない。渋々と言った所で、鍵もかけずに家を出た。
昔、僕はあるマフィアに雇われていたが、伊波の元で暮らすと決めた次の日くらいに、追われないよう全員殺して回った。最初、伊波を殺すよう言われた僕だが、今や伊波を傷付ける者がいたら地獄の果てまで追いかけ 殺す気でいる。次にマフィアが新しく雇った暗殺兵を仕向けない為にも、危惧される芽は取り除かなければ。
…なんなら、伊波を守りぬいて、最後にカッコいいと言われ、ヒーローのように思われたい。朝見た夢のように、誰よりも彼に愛されたいのだ。その夢に毎日、一歩一歩近づいていると願っている。
:-\ inm視点
活気がある街の中。伊波は隣にいる、 るんるんで店を指差す170後半のデカ男と並んで、出店の前を歩いていた。
「ライ、新しいアクセサリー欲しくないですか?」
「現金くれた方が嬉しい。」
「……ライは正直者で偉いですね〜。」
昨日、唐突に始まったメンヘラのヘラの部分を抑える為、デートする約束を星導とした。日を待たずしてすぐデートするなんて思っていなかった伊波は、少し疲労気味でいる。
「お昼は何食べたいですか?」
「………ラーメン」
「いいですね。美味しい所探しましょうか。」
デートプランを全て丸っ切り星導に任せた為、朝から街を散歩する。なんてまるで熟年夫婦のようなデートだ。それも70代くらいの。もっと、なんか…あるんじゃないの? もう言っても遅いけどさ。
「あ、そういや。今、花弁を入れた香水が流行ってるんですって。」
「花弁?」
「ええ。見た目も可愛らしくて、香りも良いと評判なんです。ただ、製作コストが高く、人気故に値が張るらしくて。一つだけなら、買ってあげますよ。」
「ふーん…。」
香水は確かにつける時もあるけれど、香りがキツイものはさほど好みじゃないし、何よりカゲツが嫌がる。キツイ香水をつけた相手と話してきただけで、嫌な顔をさせるのだ。原料の花弁が入れられてる香水なんて、きっと香りが普通の物より濃いに違いない。
「別に。香水には困ってないかな。」
「…そうですか」
星導は声色だけ悲しそうにて、財布に伸びていた手を仕舞う。伊波は横目でそれを見て、内心払う気満々だった彼を少し笑った。それと同時に、香水は買ってもらわない代わりに、ラーメンは一番高いトッピングをしよう。とそう決めた。
時計が午後十三時を指した頃。昼食終わりがてらまた歩こうと星導が提案し、ただ何も考えず彼の隣を歩いていた。が、実は誘い込まれていたのだと、伊波は気付く。ハッとして周りを見れば、ガラス工芸や甘味処があった街並みは代わり、娼館ばかりが並んでいる。そして目の前にあるのは、一際目立つ装飾をされた連れ込み旅館(言わばラブホ)であった。
「ここで休憩しましょう。」
「正気?」
旅館を指差して、下心なんてなさそうな爽やかな笑みを浮かべる。が、星導の事だ、ここが何処か知らないなんてあり得ないだろう。
「昼間っからこんな所利用する客が何処に居るんだよ。」
「え〜、駄目ですか? だってライ、3時になったら帰るって…。」
「朝6時からお前に付きあってやってんの!深夜まで一緒にいる訳無いでしょ。」
そう言うと、星導はがっくしと肩を落として、下手くそな泣き真似をする。
「…なら、最後の一分一秒まで俺にください。」
「まぁ…それなら」
そして、次に手を引かれ向かった先は、七番裏地区で有名な闇市だった。
「…オレを商品にして売ろっての?」
「まさか。特別なプレゼントを渡したいだけですよ。」
黒いカーテンでも掛けたかのような薄暗い路地裏で、おどろおどろしい雰囲気が当たりを漂っている。何の肉か分からない肉塊が並び、怪しく光る宝石が飾られている。伝統ある西の地区では、本物の呪具があっても可笑しくはない。
ゆっくりを前を進む星導から、離れないよう付いて歩く。一体、何処へ向かっているかも分からないまま、不安で冷や汗が頬を伝った。
:’( kgt視点
今回の仕事は、とあるマフィアの裏切り者を始末する事である。
カゲツは今、フリーの暗殺者として働いている。不定期に来る何処の誰かも知らんマフィアの首領からくる依頼を受けるのだ。ただし仕事は選ぶ。
今回のターゲットは、七番裏地区にある闇市で、首領のコレクションである指輪など盗んで、売り、生計を立てているらしく、何でも 組織内の情報も盗んでいて、情報も売られる前に 早急に片付けないといけない。
ただ、普通の格好で闇市に行けば、商品が歩いていると言っても過言ではなく。まぁ、寄ってきた相手を返り討ちにできる自信はあれど、チンピラに割く時間は勿体ない為、適当に口元を黒布で多い、顔半分を仮面で隠した。少しはこれで、裏の者感が出る。まぁ、暗殺者という観点から見れば、実際に裏の者やけどね。
まずは情報収集。と言えば、周りに 聞き込みをするというのも良いけれど、闇市にいる人間は皆口が硬いため、交換条件な事がほとんどであり、ターゲットにこちらが嗅ぎ付けているという事がバレるリスクがある。ので、ここは忍びのように物陰に隠れ、人々が話している所を盗み聞きするのが得策だ。
早速、路地裏にて 男二人がコソコソと話しをしている。カゲツは、休憩している人物を装い通路の角側にもたれ。目を瞑って聴力を研ぎ澄ませた。
「……で、さっき見たんだよ。藤色の髪の…」
「本当かよ。めったに姿を見せないんだろ?あそこのボスは。」
「だがな、女と一緒に歩いてたんだ。めんこくて、服装も小綺麗で、ありゃ相当可愛がられて育ってるぞ。」
「やっぱ、マフィアのボスのお眼鏡にかなうんってんじゃ、相当なべっぴんなんだろうな………。」
どうやら、ターゲットについて話していた訳ではなかったようだ。ただの雑談に近く、欲しい情報が聞ける気配は無い。目を開き、別の場所へ行こうと組んでいた腕をほどいた時。ふと、男が続けるように言う。
「黒髪に、黄緑の色が入っててな。おまけに桃色の目なんて派手な見た目、ボスと一緒じゃなきゃ、すぐ商品にされちまうよ。」
ピタリと足が止まる。男の言う人物に、心当たりがあったからだ。黒髪に黄緑の差し色なんて、そうそう同じ見た目をした人間はおらず、何より伊波は女に間違えられる程可愛らしい。男達が女と言えど、見間違えの可能性がある。そう思えば振り返り、ズカズカと路地裏に入った。
まっすぐ向かってくる青年に、何だ何だと男達はざわつく。カゲツは木の箱に腰を下ろし、煙草を吸っている歯の抜けた男の胸ぐらを掴んだ。
「さっきの話、もっと詳しく教えろ。」
「は、はぁ?何だアンタ…。」
「早よ教えろやッ!」
胸ぐらを掴まれてるとは別の男が、背後からカゲツへ拳を向ける。が、カゲツは振り返りもせず、その男の眉間に銃口を突きつけた。
「わっ、わかった! 分かった! 話す、話すから─っ!」
「…つっても、俺はただ遠くから見かけただけだ…詳しい事は知らん。」
「何処に向ったとかは流石に分かるやろ。」
「いや…」
「分かるやろ?」
ぎろりと緑の目を向ける。男は溜息をはいて、眉間のシワを揉んだ。呆れたような態度に、カゲツはもう一度拳銃を取り出す。そうすると、男は焦ったように口を動かし始めた。
「た、確かかは分からんが、ボスは最近管弦を気に入ってるそうだ!もしかしたら、彼女と一緒に今日の公演を見に行ってるやも…」
顎に手を乗せ、男の言う情報を吟味した。男の言う事は理にかなっていて、他に情報という情報もない為、信じてみる事にした。
「…分かった。そこに居るんやな?」
「あ、ああ…」
頬に冷や汗を流す男を横目に、ふーん…と呟く。カゲツは拳銃を懐にしまい、路地裏の外へと歩き出した。が、ふと足を止め振り返る。
「あ、そうや。さっきの…お前らが言う女の事。もう二度とそのキモい顔で喋んなよ。」
そう吐き捨てて、路地裏を後にした。