渡辺は、目黒の眠る枕元に座り、ポロポロ泣いている。目黒が起きないように、小さな声で呟く。
渡辺ーだから、言ったじゃん、夏は気をつけてって。
体調不良で冠番組の収録を休んだ目黒。冒頭で、渡辺は目黒のパネルを大事に持っていた。
渡辺ー今までと違って、体力も落ちてるし、仕事は増えてるし、自己管理が出来てないんだよ。
目黒ー言ってくれるね〜。
渡辺ーばか。
目黒ー心配かけて、ごめんね。
渡辺ーんっんっ〜んっ
目黒の横になっているベッドの淵に小さく縋りつき泣き出した。
目黒が泣いてる渡辺の頭を撫でる。
首を振り目黒の手から逃げる。
目黒ーホントにごめんね。
渡辺ーんっんっ。
目黒ー翔太くんも、ここ入る?
布団をめくり、渡辺を呼ぶ。
泣きながら縋りついてくる。
目黒は可哀想なことをしたと反省している。気をつけているつもりだった。大丈夫だと思っていた。
が、身体は正直だ。調子が悪くなってきた。今まで通りにはいかないと痛感した。
目黒ーもう無理しない。
渡辺ーんっんっ。
目黒ーちゃんと寝る。
渡辺ー夜中の2時まで起きてるやつが何言う。
目黒ー早く寝る。
渡辺ーいつも、俺が寝てからまた起きてるの?
目黒ーそういう日もあるかな。
渡辺ーばかばか。星と自分の身体を比べて、どっちが大事か分かるだろ?
目黒ーうん、翔太くんの言うとおり。
目黒は優しく渡辺を包み込んで、髪にキス。
寝てはいるが、もうほとんどいいのだ。ただ、寝てないと渡辺が泣くから。だから退屈してるが、横になっている。
心配で寝てなかった渡辺が眠ってしまった。
目黒ーさて、晩ご飯作るかな。
眠っている渡辺を起こさないよう、ゆっくり静かに起きて、寝室を出た。渡辺は、起きていて、静かに泣く。こんなときくらい、出前を取ればいいのに、自炊するから、キッチンに消えていく。
渡辺ーばか、蓮のばか。
食事が出来て、目黒が起こしに来た。渡辺はホントに寝ていた。
優しくおでこ、頬、唇にキスして起こす。
目黒ー翔太くん?
渡辺ー・・。
目黒ー翔太くん、起きて?
渡辺ーんっ。
目黒ーご飯食べよう?
渡辺ー食べれるの?
目黒ーん、お腹空いた。
だが、テーブルを見て寂しくなる。
少食の渡辺と、量が変わらないのだ。涙が滲んでくる。
目黒ーずっと寝てたから、そんなに空いてないんだ。ちょっと空いてるかな。
渡辺ーんっ、分かった、食べよう。
目黒ー翔太くん、足りる?
渡辺ーん、充分。
悲しくなる。渡辺はテーブルがスカスカなのが悲しい。今まで、目黒があれもこれもと、小鉢を出していた。今はメインと汁物だけ。
食べれるだけ、喜ばないといけない。涙を拭いてテーブルにつく。
目黒ー翔太くん、泣いてばかり。
渡辺ー当たり前だ、ばか。
目黒ーもうほとんど、元気。
渡辺ーんっんっ〜んっ
目黒ーだめなんだね、元気って言ったって、こんな調子じゃ。
渡辺ー明日、仕事?
目黒ーん。
渡辺ー休まないんだろ?
目黒ーん。
渡辺ーマネージャーさんは分かってるだろうけど、ちゃんと休憩して仕事頑張れ。
目黒ーん。ありがと。
泣くのを堪えて言う渡辺。そっと抱きしめて目黒は礼を言う。
まだまだ厳しい夏が続く。目黒も気をつけるだろう。
渡辺は、心配はするが、口は出さないようにしようと思う。
目黒ー眠くないんだけど。
渡辺ーだから?
目黒ーだめ?
渡辺ーだめに決まってる。
目黒ーだって〜。
渡辺ー病人が何を言う。
目黒ー翔太くん、明日は?
渡辺ー・・ゆっくり。
目黒ーじゃあ、ライブ観よう?
渡辺ーRAYS?
目黒ーん。
渡辺ーしんどくなったら、そこまでな?
いつものように目黒の足の間に座り、もたれて観るつもりだった。
渡辺ーもたれない方がいいか?
目黒ー大丈夫。翔太くんくらい、軽い軽い。
渡辺ーお前も、薄くなってしまったじゃないか?
目黒ーじゃあ、2人とも、寝転んで観る?
渡辺ーん。
少しでも、目黒の負担にならないよう気をつける。2人重なって横になっている。目黒の前に渡辺が寝転んで観る。ウエストに腕を回すのは一緒。目黒の家のソファは広いが、2人重なって横になっているのが何か寂しい渡辺だった。