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「恒例年末お悩み相談。古い厄を落とし、気分も新たに新年を迎えましょう。」
幻覚寺からのハガキで有る。今日は朝から寺の庫裏には女性達が団子の様になっていた。一人目。「あのぅ、息子の嫁の事でお話しが…」差し出した菓子折と封筒を山富士女史が受け取る。「ふン、ふン何か揉め事が有るんですか?」と、今日は亡き門跡の尼装束でいる亜漕が聴いた。「何しろ自分勝手で…家中のリフォームを自分で始めまして、今年は『赤』が縁起が良いとかで、全ての壁が真っ赤になりました。」「おやおや…」「それだけでも神経が落ち着きませんのに、来年は『黄色』が幸運を呼ぶ。節分過ぎたら全て黄色に塗り直す、と言っております。」「で、アナタは室内の壁の色が気にいらない訳ね。」「ええ、せめて壁紙の張替えぐらいにさせたいんですが、ペンキでやられたら、たまりませんわ…」「そうねぇ…。で、『赤』に塗り変えたらいい事は有りました?」「いいえ、ますます嫁の発言権が強くなりまして、息子は言いなりなんでございますの。」少しやつれた風の夫人は、なすすべが無いと言う感じだった。「そしたら、息子さんはいい事があった訳ね?」「ええ、孫が有名中学に入りまして」「いいじゃ有りませんか?」「学費が高額だと言って、私が出しております。」夫人以外は、この家は丸く収まっている。「では、あなたのお部屋だけは、ご自身の好きな、壁とレイアウトに変えて見たら?誰も入って来なければいいじゃ有りませんか?」「左様ですか…」「そうそう、先ずはアナタも自己満足から始めなきゃ!」納得した様な、しない様な感じで、夫人は相談部屋を下がった。