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8月8日
もう何日になるのか、続く猛暑日の中に少年はいた。友達の間で流行っているスケボー。皆を驚かせたいがために、一人で隠れて練習してたのが裏目に出た。勢いを止められずに階段から落ちたのだ。地面とぶつかった時に足に強烈な痛みが走り、涙が溢れた。階段の下に大の字のはらいをはねに変えたよう姿で少年は倒れていた。立ち上がることもできず少年は声を荒げて泣いた。すると頭上を一人の男が通り過ぎようとする姿が、純粋で綺麗な角膜に映し出された。涙でよくは見えないが間違いなく誰かいると少年は気づいた。「助けて」、叫んだ。しかし返ってくるのは冷たい静寂だけだった。「助けて、ねぇ助けてよ・・・助け・・」。少年の声は届かなかったのだ。男はやがて視界の隅っこに行き、そして消えた。「帰ろう」。少年は一声漏らした後に、朝起きるように、当たり前のように立ち上がって、階段を登って行き、そしてスケボーを走らせた。家に帰るまでに少年がスケボーから降りることは一度としてなかった。少年の瞳は今はもう輝いていない。