今日も探偵社は平和だ。
太宰さんが巫山戯て、国木田さんが怒る。それを見て、与謝野さんが笑う。 乱歩さんは駄菓子に夢中だ。そんな乱歩さんを見て社長は微笑み、谷崎さん達も……何時も通りだ。賢治くんも元気に挨拶してくれるし、鏡花ちゃんも一緒に出社した。
今日も、何時も通りの日になると、思っていた。
「ピリリリリ」
国「む、電話か。」
敦「僕、出てきますね。」
国「あぁ、頼んだ。」
何の電話だろうか。考え乍ら受話器をとる。
敦「もしもし、武装探偵社です。」
?「こんにちは、人虎さん。」
敦「その声は、ヒョードル!?」
僕の声がそんなに大きかったのか、みんなが集まって来た。
太「敦君、受話器を。」
太宰さんに言われ、みんなに聞こえるように受話器を置く。
ヒ「改めまして。こんにちは、武装探偵社の皆さん。」
福「何の用だ。」
ヒ「僕は、貴方を仲間にしたいのですよ。 太宰君。」
「「「!?」」」
太「私かい?残念だけど、君の仲間になる心算はないよ。」
ヒ「おや、そうですか。光の世界は居づらいのでは、と思ったのですが。」
如何いうことだ?
福「太宰はうちの大切な社員だ。」
ヒ「太宰君が、其方側の人間だと?」
敦「そうだ。太宰さんは仲間だ。」
ヒ「ふふっ、そうですか。」
乱「おい、魔人、何が云いたい。」
ヒ「そうですね、皆さんは、本当の太宰君を知らない。ということです。」
国「何!?」
ヒ「太宰君は、元マフィアです。人も殺した。それでも、信用出来るのですか?」
鏡「元マフィアと云うなら、私も同じ。私も、沢山殺した。」
敦「鏡花ちゃん…、」
鏡「でも、敦や太宰さん、武装探偵社に救われた。私はもう、光の人間。」
ヒ「どうやら、闇の花は光にも咲けたらしい。では、貴方は如何ですか?太宰君。」
谷「太宰さんも、立派な光の人間だ。」
ナ「そうですわ。」
ヒ「いえ、太宰君は探偵社員にはなれない。貴方は闇の花では無い。闇そのものなのだから。」
太「ヒョードル、」
ヒ「哀れですね。何時も道化の仮面を被り、光の人間のフリをしている。本当は彼等のことなど、信用してもいないのに。
光にいても、かえって自分の闇が目立つだけなのに、光に焼かれて落ちるのを、唯待つだけ。」
太「やめろ、」
太宰さんが、冷たい声で云う。
空気が張り詰める。
誰かの喉が、ゴクリと鳴った。
ヒ「貴方に人助けなど出来るのでしょうか?友人も助けられなかった、いや、友人を殺した貴方に。」
太「ッ!!」
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