研磨の喘息です
喘息表現&若干の過呼吸表現あり
約3,000文字あります
若干クロ研要素あり
以上が大丈夫な方はどうぞ!
《研磨side》
朝、鳴り響くアラームの音で目が覚める。
欠伸をすると、少し肺が締まった感覚がした。
(喘息、か……)
今日は薬を飲んでおいたほうがいいかな。
俺は喘息を持っている。
小さい頃は入退院を繰り返すほど酷かったけど、今はだいぶ落ち着いている。
でもやっぱり、発作が出るとかなり酷い。
だから疲れがたまらないようにセーブして生活しているんだけどね。
最近は合宿があったからその疲れかな。
とにかく、酷くならないようにしないと……
(朝練ないのはラッキーだな)
今日は朝練がない。
クロも日直で来ないため、朝からくどくど言われることもない。
俺はノロノロと準備をして、朝食もそこそこに家を出た。
「___それじゃあ授業終わります」
6時間目がようやく終わる。
今日は体育こそなかったものの、グループワークがあったり、発表を多く当てられたりして疲れた。
朝よりも息苦しさが増している。
でも、部活を休むほどではない。
クロとかトラに色々言われるのも嫌だし、翔陽………烏野との練習試合も近いからね。
俺は、時々立ち止まりながらも部室に行き、体育館でアップを始めた。
アップを始めて数分後。
入ってきたクロが真っ先に俺のところへ来る。
朝会わなかったから、体調確認だろう。
(過保護だなぁ……)
そう思いながらも、なぜか喜んでいる自分がいるのは、無視する。
「おっす研磨。体調大丈夫か?」
「別に、普通」
やっぱり体調確認か。
喘息のことは言わない。
嘘を付くのは少し気が引けるけど、部活のため。
「いやいや、少し体調悪いんだろ?
最近色々あったし喘息か?」
なんでバレてんの……?
いや、クロを欺けるとは思っていなかったけどさ。
「別に、大丈夫だから。
本当に無理だったらすぐ言うし」
「わかった。無理はするなよ」
「ん、」
これ以上言っても無駄だと悟ったのか、クロはあっさり引き下がってくれた。
「ぼちぼちアップ終わったなー?次ランニングだからグランド集合!5分後に5周始めるぞー」
アップを続けていると、クロからの指示が出る。
ランニングか……持つかな……
いや、大丈夫。無理だったらリタイアすればいい。
(大丈夫、大丈夫……)
俺は自分に言い聞かせた。
5分後、予告通りにランニングが始まる。
クロはいつもより少し遅く、俺の少し前を行くペースで走っている。
安心はできるけど、別にそこまでしなくていいのにな………
順調に走っているように見えるように頑張る。
でも、やっぱり苦しくて、だんだんペースが落ちていく。
「っ、はぁッはぁッ……けほッ」
「大丈夫か?無理すんなよ?」
いよいよ咳が出始めたところで、クロが声をかけながら背中を擦ってくれる。
少し、楽になった。けど………
(も、むりッ……!)
俺の体は、もう限界を迎えていた。
視界がぼやけてきて、音が聞こえなくなっていく。
これ以上動いたら、本気で死ぬ。
「っはぁッ!むりッけほッはぁッひゅッ……しぬッ…!」
「ぅおっ……よく頑張ったな。
落ち着いて、息止めるんじゃねぇぞ。
こっちに体重預けていいからな」
しゃがみ込んだところでクロが抱き寄せてくれる。
ほんとに無理。まじで死ぬ。
息、できないッ!
「はッひゅ~ッ!けほッ…… はぁッひゅッ!」
「呼吸ヤバそうだな……
やっくん!ちょい代わって!」
「あぁ、分かった!喘息か?」
「そうそう!俺薬持ってくるから頼んだ!」
「了解!」
クロが走り出すと同時に、やっくんの手が背中に当たる。
目の前には海君が来て、手を握ってくれた。
「孤爪、過呼吸気味になっている。
俺に合わせて深呼吸しような」
「黒尾が薬持ってきてくれるから、大丈夫だからな!」
「ご、めッ…げほッ!ッは……
めぃ、わくッ、ひゅーッ…!」
「みんなもう終わってるし大丈夫だぞー!この状態で3周走っただけすげーじゃん!」
「大丈夫だから、落ち着いて呼吸しよう」
海君の呼吸と、やっくんの手に合わせて呼吸を繰り返す。
過呼吸は収まったけど、苦しさは消えない。
なんなら深呼吸のせいで酷くなってる気がする。
なんとか浅い呼吸をしようとしても、深くなっちゃって結局咳き込む。
何やってんのクロ!早くしてよっ!
「っはぁッ……くろッ、けほッ……ひゅ~ッ…!」
「大丈夫だからなー!
すぐに黒尾来るから、もう少し頑張ろうな!」
やっくんさっきからそればっかりっ!
なんでも良いから早くしてよっ!
(も…むり……ッ!)
恐怖で涙が溢れてきて、視界が歪む。
なにも見えなくなったその時、待ち望んでいた声が届いた。
「研磨っ!」
「く、ろッ、けほッ……?」
「あぁ、お待たせ。もー大丈夫だからな!」
「ゔぅッ…く、ろッ、ひゅーッけほッ…!」
さっきとは違い、安心から涙が溢れ出てくる。
クロの存在って、こんなにありがたかったんだね。
クロがてきぱき動いてくれて、なんとか吸入することができた。
まだちょっと苦しいけど……これくらいなら、動ける。
「もう大丈夫そうか?」
「うん……もう、動ける。
その、ありがと……特に、海君とやっくん、」
「おう!」
「どういたしまして」
「それじゃあ俺らうがいしてから戻るから、みんなは先に体育館戻っててくれ。海、やっくん、頼んだ」
「わかった!」
「了解」
クロと一緒に、みんなとは反対方向に歩き出す。
支えながら歩いてくれるとか、ほんと紳士だよね、クロって。
幼なじみ贔屓かもしれないけど、実際そうだと思うし。
なんか、クロの隣にいれてよかったな。
「よっし、そろそろ戻れそうか?」
「う、ん……いこ……」
うがいをし終わって、少し息を整えてから動き出そうとする。
けど、眠気が襲ってきて瞼が勝手に落ちてきた。
(むり……ねむい………)
「ぁー、疲れちゃったよな。
寝てもいいぞ?」
「ほ、んと……?」
「おう。おやすみ、研磨」
「ん……ぅ………」
クロの手が瞼の乗っかって、眠るように誘導される。
(あった、かい……)
されるがままに、俺は眠りに落ちた。
《黒尾side》
俺の腕の中で眠りに落ちた研磨を抱え、体育館に戻る。
安らかな寝顔は、幼い頃と変わらず可愛い。
「戻ったぞー。研磨寝たからここ寝かせとくな。
ちょっとやそっとじゃ起きねぇから、練習は普通にやってくれ」
「「おーっす!」」
「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」
「うん。わかった」
「おー」
一気に指示を出して、トイレへと向かう。
誰もいないことを確認してから、ようやく気を抜くことができた。
「はぁーっ………よかった………っ」
洗面台に手をついて、もう片方の手で目元を覆う。
今日はいつもより発作が酷くて、正直、怖かった。
いつも冷静を装ってるけど、心の中では、もし研磨が死んじまったらって怯えてる。
俺もまだまだ弱いな。
でもきっと、研磨にはバレてるだろう。
俺が研磨の体調に気がつけるように、研磨も俺の心に敏感だから。
「はぁー………戻るか、!」
幸せそうな研磨の顔を思い浮かべたら、自然と心が楽になっていく。
「戻ったぞー」
「遅ぇわ!」
「酷いっ!」
研磨はまだ、すやすやと寝息を立てている。
帰りはアップルパイを買おう。
研磨には、いつまでも元気に俺の幼馴染でいてほしいからな。
またまた長いですね。
そして終わり方迷子。
長いのは主の癖です。
慣れてください(((
それでは皆様、よいお年を!






