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どーも!
私最近ですね、『Pretty little baby』という歌にどハマりしましてぇ、
ただ🐮🐱に歌わせたかっただけです!つまり自己満です!
王子🐮✖️召使い🐱
「…You can ask the flowers, 」
…懐かしい、歌…
「……I sit for hours,」
ああ、この声……どこからだ?
深夜、居ても立ってもいられなくなり、布団を抜け出した。
廊下に出ると夏限定の涼しく心地の良い風が頬の横を通り抜けていく。
とろとろしていた意識は次第に冴えてきて、夜のよく晴れた空には綺麗に輝く星があった。
「…Tellin’ all the bluebirds, the “bill and coo” birds,……」
また聞こえた。それはバルコニーから響いているようだ。
深夜だからか、控えめな声。だけどその音は俺の耳にはよく聞こえた。
「…Pretty little baby,I’m so in love with you…」
あ、もう終わりか、ここまでしか知らないから
さて、誰がいるかな。
声的に、この低い声、でもつたなさがある感じ。
「……キヨ?」
「っ!あ、牛沢様?!」
そう、そこにいたのは俺の専属メイド_キヨだ。
朝からのきつそうな服から緩く可愛らしいネグリジェに着替えていて、バルコニーの柵に座り、星の光に照らされていた。
「何してんの?」
「…目が覚めてしまったので、少し涼もうと思って。ごめんなさい、うるさかったですか?」
「いや、あの歌…懐かしいなって思ったから」
「ああ、あれ、いいですよね」
目を細めて、また空に目を向けた。とっくに柵からは退いていて、俺の少し後ろでしゃんとした姿勢になっていた。
なんだか昼間の姿とは全く違って、ゆるい服なのに…ちょっと面白い。
「また歌って、それ」
「え、あ、でももう、寝た方が…」
「いいから」
「はぁ、」
キヨは小さく口を開くとまたあのよく知った歌を口ずさんだ。
「…You can ask the flowers, …I sit for hours, Tellin’ all the bluebirds, the “bill and coo” birds, …Pretty little baby,I’m so in love with you……」
俺も横でキヨと同じように空を見ながら歌っているとキヨは楽しそうに笑った。
「知ってるんですね。有名ですけど最近歌っている人をあまり見なかったので」
「これ、俺の母さんがよく歌ってくれてたんだ。俺が小さい時の、子守唄だった」
そうなんですね、と微笑むとキヨは悲しそうな顔になった。
「ん?どうした?」
「いえ。…この王宮に仕える前のことを思い出してしまって。この歌、外で暮らしている時にどこかから聞こえてきてたんです。綺麗な、女性の声でした」
「そっか。じゃあ俺とキヨ、同じ歌聞いてたんだな」
「はい。でも、急に聞こえなくなって、眠れなくなっちゃって。勝手に自分も子守唄にしてたみたいです笑」
「はは、いいじゃん、シェア」
2人とも黙って空を見上げる。何にも言わずにただ見つめる。
「…久しぶりに夜空を見ました。なんだか、子供の頃は、この前まではあんなに曇ってたのに、こんなに綺麗だなんて。ここにきてから、全部が変わりました」
「…俺に仕えてから何か変わった?」
「生活も、考え方も、全部です」
「…俺に対しての気持ちも?」
「………もちろんですよ」
「じゃあまた今度の舞踏会、一緒におど、」
「ダメ、です」
キヨは俺の言葉を遮るように、どこか寂しそうに笑んだ。
俺は一緒に踊りたくって、あわよくばこのどうしようもない気持ちを伝えられればいいと思っていた。でも、ダメか。
「俺なんかより素敵な方がたくさんいらっしゃいます。俺はただの召使い、貴方には到底似合いません」
「…俺は父上にも話した。こんなことも全部話した。それでも父上はお前が幸せになればいい、と言ってくれた。まだ、伝えられないけど、頼む、まだ待ってくれ。ダメと言わないで」
「っでも!…でも、だめです、だめなんです、」
「そんなこと言わないでくれ。まだ、待ってて」
星をもう一度見上げた。
悲しそうな顔をして俯くキヨの前に跪く。
キヨは、はっとしたような顔で俺のことを見つめると、泣きそうな顔になった。
「大好きだよ、世界で1番。キヨの横なら、何時間でも一生かけても、なんだってできる」
キヨの左手をとって、薬指にキスをした。
「……まだ、待ちますね。待ってます」
するりと手が抜け出すと、優しく、柔らかく笑った。
その顔は誰よりも、美しかった。
「キヨ、!まっ、」
「また、舞踏会の日に」
〜Pretty little baby,I’m so in love with you!