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kn視点

捏造だらけ暗め

親が亡くなる表現アリ




「『終わりがあるのならば、その終わりこそ愛さなければならない。』」


大きなホールで行われた演劇の幕引きに彼はそう言った。

彼の息子はその顔をただじっと見ていた。

何を言っているのか、よくわからなかったから。

そんな息子の様子を見て、父親は不器用に柔らかく微笑んで頭を撫でた。


「私が昔関わった舞台の大切な台詞だ。」


いつも厳格だった彼が演技以外で見せた、最初で最後の笑顔だった。

その笑顔を浴びる子供の背を見るように俺はその映像を眺める。

そう、これは 記憶ゆめだった。



有名な俳優だった父は死んだ。

あまりにも壮大で以降の成功を約束された人生は、無差別的殺人行為の的になったことであっけなく終わった。

顔の若さに見合わない50歳だった。

その時、俺はちょうど20になる年だった。

父に憧れ子役でデビューしてから活動を続けて15年が経っていた。

誕生日を迎えたら一緒に酒を飲もうと言っていた矢先の父親の死は、あまりにも衝撃的で、俺は俳優活動を一時停止した。

そして今は、ただの大学生だ。


そんな大学生がむくりと起き上がる。

朝だった。最近よく見る夢はいつだって同じストーリーで、面白みに欠ける。

いつもただもうない父親の優しさを感じて寂しくなるだけだった。


「今日は一限からか…」


自分に教え込むように小さくつぶやいてベッドから出る。

手に取ったスマートフォンは通知を知らせていて、何かと開けばそれは親友であるNakamuからのメッセージだった。


“今日一緒に行こ!”


いつから起きていたのか、それとも寝ていないのか、メッセージは30分ほど前に送られてきていた。


“いいよ、待ってる”


いつも一緒に行くときは俺の家に彼が来るので、了解の意だけを伝えて身支度に移る。

なんでもない今日だ。

仕事を入れるのを辞めた日から、大学生は暇なのだなと知った。

いつも絡んでる奴らは俺と違って全員芸能活動を続けているからまだ忙しそうだが。

Nakamuもその一人だった。

俳優として動く傍ら、脚本家としての勉強も続けているらしく、いつも”最初は絶対きんときのために書くんだ”と言っている。

ありがたいけれど、俺が主役を演じていたのは幼少期だけで、それ以降はずっと脇役だ。

そんな俺には無理だよって本当は言いたいのに、Nakamuの目に見つめられるとどうしても言えなくて、毎回返事をはぐらかす。

大学を卒業してしまったらもう芸能界からは身を引こうかと考えるほどに俺は今の自分をどうするか迷っていた。

父親という憧れであり光を失った俺は、一体何を目指せばいいのか、何が自分のゴールとなるのか、考え出したら演じることすら苦しくて、そこで立ち止まってしまった。


「…」


何を考えても、無駄だと思ってしまっていた。

日常がひどくまとわりついて、苦しい。

夢で見る優しさが、痛い。

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コメント

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俳優パロ………面白かったです!!

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