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今日は休日なのだが、誰かとゲームする約束も動画を撮る予定もなかったので、久しぶりにゆっくりしようと思いベッドに寝転がりながらファンの方からのリプに目を通す 。 しかし、少し読んだところでインターホンが鳴り、作業が中断される。
宅配を頼んだ覚えはないので不審に思い、ドアスコープを覗くと、そこにはじらいちゃんが立っていた。いくら家が近いといえど、じらいちゃんが連絡もなしに来ることはほとんどないため、何かあったのだと思いすぐにドアを開ける。
「急に来てごめんね? ちょっと部屋上がらせてもらってもいい?」
そう申し訳なさそうに言ったじらいちゃんの手には、大きなキャリーバッグが握られている。どう見ても「ちょっと家に遊びに来た」人の荷物の量ではなく、尚更心配になる。
「かるてっとさんごめんね? 連絡もなしにいきなり来ちゃって」
「ほんとだよ。来るなら先言っといてくれないとこっちも片づけとか色々あるんですけど?」
「ごめん、連絡する暇なくて」
いつものように軽口を叩いてみても、素直に謝られてしまう。これはかなり重症だろう。
「……まあ今回は特別に許してやるよ。で、何があったの?」
「別になんにもないよ? 久しぶりにかるてっとさんに会いたくなって!」
「……その顔しといてそんなわけないだろ。なに? はこたろーさんとのこと?」
俺がそう聞くと、じらいちゃんは言いにくそうに俯いたあと、少しずつ話しだす。
「……うん。最近はこたろーさんと上手くいってなくて。毎日自室に籠って通話してばっかりで全然俺と話してくれないし、たまに話しても他の人の話ばっかりで……それが悪いとはいわないし、もちろん個人の時間は大事だとは思うよ? ……でも、なんか意図的に避けられてる気がするっていうか。だから、もうじらいちゃんのことは好きじゃないのかとおもって……」
「それで? 家出してきちゃったの?」
「……うん」
「はこたろーさんとはちゃんと話した?」
「……話してない。はこたろーさんの口から直接じらいちゃんのこと好きじゃないって聞きたくなくて」
つまり、じらいちゃんは、本人の口から「じらいちゃんのことを嫌いだ」と聞きたくなくて、ろくに話し合いもせず家出をした。俺のところに来たのは……家が近かったからだろうか? その重そうなキャリーバッグには着替えなどが詰まっているのだろう。
「……とりあえず、じらいちゃんははこたろーさんとちゃんと話し合った方が良い。ちゃんとじらいちゃんの気持ちを伝えて、はこたろーさんの気持ちも聞いて、ちゃんとお互いの気持ち整理しな?」
「でも、はこたろーさんがもう俺のこと好きじゃないって言ったら……」
「絶対そんなことないから大丈夫だよ」
「そんなのわかんないじゃん!」
「はこたろーさんがじらいちゃんを嫌いになるなんてことないと思うけど……まあ万が一そう言われても、多分こうやってわかんなくて悩んでるよりかは気持ち楽になると思うよ」
「……うん」
「まあ、それは他人の俺が強制できることじゃないから、じらいちゃんが自分でちゃんと話し合いたいって思ったらでいいんじゃない? それまでは俺のとこに居ていいし、はこたろーさんにも場所黙っとくよ」
「ごめん……ありがとう」
「あ、あと、気持ちの整理付かないまま話し合ったら今より絶対悪い関係になるから、それだけはすんなよ。早く出て行こうとか気い遣わないでいいから」
「なにからなにまでごめんね? ……お世話になります」
「おう。いろいろ疲れただろうしとりあえず風呂入ってくれば?」
「うん。ありがとう」
「着替えとかは? 持ってきとる?」
「うん! ちゃんとお泊りセット準備してきた!」
「泊まる気満々で来とるやん……」
その後、じらいちゃんがお風呂に入ったタイミングでちょうどはこたろーさんから電話がかかってきた。