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チーム幹部を集めた花火大会はそれなりに楽しかった。
「花火に火をつけるより人間に火をつける方が楽しいに決まっている」
と乗り気ではなかったはずなのに、豪華な食事も用意されていて、気がつけば余は花火大会に似つかわしくない白いドレス姿で、手持ち花火を両手で持ってはしゃぎ回っていた。
あとから思えば、悪い知らせを聞いて余が暴れ出さないようにするために花火大会を企画したんじゃないかと思えてならない。
慎司たち幹部たちは余が花火に夢中になりだした頃を見計らってそれを告げた。
「総長、お話があります。花火しながらでいいので聞いてください」
「みんなして深刻な顔してどうした? またどこかのチームが攻めてきたのか? そんなものひねり潰してしまえ!」
「今では関東のヤンキーで総長の強さと恐ろしさを知らない者はいません。攻められたなら戦うかもしれませんが、自分から攻めてくる命知らずはもういません」
「じゃあ話って何だ? その様子じゃいい話じゃないんだろ?」
「以前、総長から依頼された件です」
思い出した。攻めてきた首都圏連合を返り討ちにした直後、余が大好きなパパをないがしろにして留守にしてばかりいるママの素行調査を慎司に頼んであったのだ。