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「こっ、こんなに甘やかされたら、私ひとり立ちできなくなりますっ」
「はぁ?」
「私っ、桶川さんに依存するような女になりたくないんですよ。いつか、つまらない女って捨てられたくない」
半泣きでにじり寄ったら、彼はあっさり私に軽いキスを落とし、その後ほっぺを両手で挟んで締め付けてきた。
「ばーか。お前ほど面白い女いねぇっての」
「で、でも」
「それに、もう無理だな。なんてったって俺のほうがお前に依存している」
「へっ?」
潤んだ視界の中、イケメンの桶川さんが眉を下げ情けない顔をする。
「俺も結構粘着質だよ。飯食うときも、寝るときも、お前がいないとつまらねぇ。だから諦めて俺のものになっちゃえよ」
ちょ、待ってよ、ずるくない?
いつも腹が立つほどふてぶてしい癖に、なにその甘えたような顔。
ギャップ萌えなのか? よくわからないけど、その顔は私の胸にミラクルヒットした。
ああもう、ダメ。
この人と一緒にいたい。
いつか捨てられたらと思ったら怖いけど、そんなことどうでもいいと思うくらい彼を抱きしめたい。
そばで、笑ってほしいと願ってしまう。
自分から、彼の首にぎゅっと抱き付いて、宣言する。
「……そんなこと言ったら、豆狸にとり憑かれますよ」
「ははっ、望むところだよ、豆狸」
ポン、と頭に乗せられる手は大きくて暖かくて。彼の笑い声が聞けたことに心底ほっとする。
ああやっぱり敵わないなって思いながら、最後の意地で捨て台詞を告げる。
「後から嫌がったって離してなんてあげませんよ。一生、くっついてやるんだから」
桶川さんの動きがピタッと止まったので、不審に思って体を離すと、彼は頬を染めながらも不敵に笑う。
「……なんですか」
「お前、それ。……聞きようによってはプロポーズだけど」
「はっ?」
「俺はその気になっていいのかな?」
自分が言ったセリフを反芻して、体の中が噴火を起こしそうになった。
「ち、ちが……」
「あーどうしようかなー。そうか。高井戸は一生俺から離れないのかー」
「ちょ、繰り返さないでくださいよ!」
結局、私の悩みは根本からは解決していない。
ずっと好きでいてもらえる自信はないし、桶川さんの凄さに委縮しちゃうのも変わらない。
だけど、気持ちが軽くなっているのは、重いセリフも受け入れてもらえたからかな。
「じゃあ、挨拶に行かねぇとなぁ」
とりあえずは、更にとんでもないことを言いだしそうな彼を止めなければ。
私たちの同居生活は、まだまだ波乱含みのようです。
【Fin.】
コメント
1件
うわああああ完結おめでとうございます〜!!😭💕💕 「俺のほうがお前に依存してる」って…桶川さんそんな甘えた顔するんだ!!普段ふてぶてしいのにここでギャップ萌え持ってくるのずるすぎる😇💘 高井戸ちゃんの「一生くっついてやる」宣言からのプロポーズ誤爆も最高すぎてニヤけたわ…! 悩みはまだあるけどそれも含めて2人のペースで進むんだろうなって感じでホッコリしたよ。番外編まで含めて本当にお疲れ様でした✨ 面白かった!!