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第3章:共鳴のトリック夕方、神崎は容疑者たちを再び現場の実験室に集めた。「皆さん、不知火教授を殺害した犯人と、その手口が判明しました」神崎の宣言に、雨宮特任准教授が鼻で笑った。「馬鹿馬鹿しい。ここは完全な防音密室だ。外からガスを流すこともできん。どうやって中にいる人間を殺せる?」「ええ、ガスを外から流す必要はありません。『最初から、部屋の中にあったもの』をトリガーにすれば良いのですから」神崎は机の上のワイングラスを指差した。「不知火教授は、極度のヘビースモーカーでした。そして、この実験室は密室ゆえに煙がこもりやすい。そのため、彼はある『危険な裏ワザ』を使っていました。……巽くん、教授はタバコの煙を消すために、何を使っていた?」巽はビクリと肩を揺らし、消え入るような声で答えた。「……ドライアイス、です。教授は、室内のバケツに大量のドライアイス(固形二酸化炭素)を置き、それを昇華させて二酸化炭素の重さで煙を床に抑え込んだり、換気を早めたりしていました」「その通り」神崎は頷いた。「二酸化炭素は空気より重い。そのため、通常であれば床付近に溜まります。しかし、犯人はこれを利用した。犯人はまず、教授が席を外した隙に、机の上に『ある特殊な液体』を満たしたクリスタルグラスを置いた。その正体は、超低温で液化させた『液化二酸化炭素(または高濃度の炭酸水)』だ」「それがどうした? そんなものを置いただけでは人は死なんぞ」雨宮が苛立ったように言う。「普通の状態ならね。しかし、そのグラスに『特定の周波数の音』をぶつけたらどうなるか」神崎は廊下の壁にある、あの幅5センチの『のぞき窓』を指差した。「のぞき窓のガラスは三重ですが、実は完全な防音ではありません。犯人は、廊下からこの窓に向けて、携帯型の高出力レーザーポインターを照射した。……ただの光ではありません。音信号を変調させた『レーザー聴音・拡声システム』の応用です。光をガラスに当てて微細に振動させることで、室内の空気を特定の周波数で激しく共鳴させたのです」全員が息を呑んだ。「クリスタルグラスには、それぞれ『固有振動数』があります。テレビの実験などで、ソプラノ歌手の声でグラスが割れるのを見たことがあるでしょう。犯人は、廊下からレーザーを使って、室内のグラスの固有振動数に合わせた超高音(高周波の音波)を発生させた。これが、白石さんが廊下で聞いた『奇妙な高い音』の正体です」神崎は言葉を強める。「共鳴したグラスは激しく振動し、ついに粉々に砕け散った。……いや、違いますね。犯人の目的はグラスを割ることではなく、中身を『一瞬で激しく沸騰(突沸)させること』だった!」
コメント
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第7話、読み終えたよー! 密室トリックが凝っててびっくりした。ドライアイスで煙を処理してたとか、レーザーでグラスを共鳴させて液化二酸化炭素を突沸させるなんて、小学生が書いたって思えないほど緻密。神崎くんの解説シーン、ゾクゾクした。犯人の手口に科学のエッセンスが効いてて、読み応えあった。次が気になるよ!