テラーノベル
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きっかけは、ほんの些細なことだった。
「……最近、忙しそうやな」
緋八マナが言う。
「ちょっとね」
伊波ライは苦笑する。
「……全然会えてへん」
ぽつり。
「ごめん」
すぐ謝る。
でも、それが逆に。
「……謝るだけかよ」
少し、刺々しくなる。
⸻
「どうしたの、マナ」
「……別に」
本当は、別にじゃない。
「言ってくれないとわかんない」
「……」
沈黙。
⸻
「俺ばっか会いたいみたいやん」
言ってから、後悔する。
「……え?」
「なんか、俺だけみたいや」
⸻
ライの表情が、少し曇る。
「そんなことないよ」
「……ほんまか?」
「ほんと」
でも。
少しだけ距離を感じた。
⸻
その日は、それ以上話せず別れた。
⸻
夜。
メッセージを打って、消して。
また打って。
——あほやな俺。
⸻
翌日。
「マナ」
声をかけられる。
「……なんや」
「ちゃんと話そう」
真っ直ぐな目。
逃げられへん。
⸻
「昨日のことだけど」
「……うん」
「俺も会いたいよ」
「……」
「ただ、忙しくて余裕なかった」
少しだけ苦笑して。
「でも、それで不安にさせたならごめん」
⸻
その言葉で、全部わかる。
「……俺も悪かった」
素直に言えた。
「ちょっと寂しかってん」
⸻
ライは少し驚いてから。
ふっと優しく笑った。
「そっか」
「……せや」
⸻
「じゃあさ」
一歩近づいて。
「これからはちゃんと伝えて」
「……お前もな」
「うん」
⸻
そのまま。
軽く、触れるキス。
「……仲直りやな」
「だね」
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