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ある日、山鹿柄呼桜(やまがえこざくら)が、元保護犬で、山を徘徊していたところを保護された、「まき」という犬を散歩していました。午後六時のことでした。
「あの…」小さな声がかかり、呼桜が振り返ると低身長の少年がいた。少年と言っても中学生ぐらいだ。「どうしたの?」呼桜は振り返って声をかけた。「あの、俺、運動のためにそこの公園に来たんです。そこで、その、子猫が捨てられていて。」少年の腕には古びた段ボールが抱かれていた。中には生まれて三週間ほどの茶トラと白黒の子猫が二匹。そして側の草むらにも白黒猫が一匹いた。
猫風邪を引いていると思われ、目やにが多すぎて目も開けない様子でした。「ひどい…」呼桜は放棄した人への怒りでいっぱいだった。同時に、「このまま死なせてなるものか」と思った。しかし、猫は一度も飼ったことがなかった。母が生まれる前に「みお」という10才の猫を飼っており、呼桜が生まれて二歳で亡くなったので、みおのことは記憶にない。そして呼桜が生まれる前、犬もいて、「チビ」というシェパードがいた。大柄なシェパードで、「チビ」全然似合わないがそれでもかわいくて、優しいチビだ。呼桜は犬が大好きになった。大きくなって猫も好きになったが、どちらかというと犬なのだ。
そして、今。猫を保護したことはなかった。まして乳飲み子で猫風邪にかかっている子の対処はわからなかったが、すぐに動物病院へ急行した。
動物病院では、急病人としてすぐに診てくれた。
「あともう少し遅かったら、この子は助からなかったでしょう」と獣医師に言われ、呼桜はひやっとした。動物病院でミルクの与え方などを教えてもらい、哺乳瓶ももらったが、肝心の小猫用ミルクが見つからない。
あちこち探すも、見つからなかった。と、呼桜ははっと思い出した。前住んでいた団地の大家、静一成(しずかかずなり)と、静一重(しずかひとえ)の夫婦だ。こちらは保護猫ボランティアをしており、主に乳飲み子を専門としていた。そこで、慌てて電話をかけた。出たのは一成だった。「もしもし。お久しぶりです。山鹿柄です。あの、今の時間に子猫用ミルクを売っている店をご存じないでしょうか?」と聞いた。「子猫用ミルクなら持っていますよ。そちらに送りましょうか?」「申し訳ありません。いいのですか?」「いいよいいよ。不幸な猫は一匹だって減ってくれたほうがいいんだ。」と、すぐにたくさんの子猫用ミルクを持ってきてくれた。
ミルクだけではない。湯たんぽや毛布も持ってきてくれた。
そして三兄妹がいる段ボールにあったかい湯たんぽと毛布を入れてくれた。静一家は呼桜を励まして帰った。
呼桜は子猫たちにしっかりと気を配った。
翌日、三匹は体力回復のため、入院することになった。
草むらで見つかったオスの細め白黒ハチワレ猫は、タカ、兄弟で唯一のオスの茶トラが、ノスリ、メスの太め白黒ハチワレ猫は、トビ。全員猛禽類の名前だ。
生後六ヶ月、つまり半年になった猛禽三姉弟。ノスリとトビは同じ里親さんに家族になることが決まりました。
タカも、申込みがあり、トライアルまで行きましたが、先住猫が元気で駆け回るタカを受け入れず、全力拒否。そのため、出戻りとなってしまいました。
草むらで見つかったときの痩せこけ、汚れた体はさららんとしたスリムで小綺麗な体に、ぐったりとしていた子猫は元気に走り回るやんちゃボーイになった。生気がなく、うつろだった目は、興味と好奇心に満ち溢れた、輝かしい瞳になっていました。
二匹の里親が決まった翌日、公園で話しかけてきたあの少年が電話をくれた。元気になって、そのうち二匹は里親が決まったと言われ、涙声で喜びました。また、少年と同時に子猫を見つけた近所にすむおばあさんは、飼いたかったけど、おばあさんの余生が短いため、この先猫が亡くなるまでお世話できないのです。
そのおばあさんにも電話をすると、少年と同じように喜んでいました。
タカは山鹿柄呼桜の家で里親探しをしています。