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先輩

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先輩

1 - 第1話

♥

39

2024年01月06日

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あの日、あの時、あの瞬間、「恋」 をした

一目惚れだった。相手はひとつ上の先輩で今年卒業してしまう。関わりはなく、話したこともないし名前も知らない。でも、とても優しそうに見えた。

それから僕は先輩を見かける度、バレないように目で追いかけていた。先輩の周りにはいつも沢山の人がいた。友人いわく、その先輩はいつも明るくて優しいと男子達の間で人気だそうだ。

 二学期初日下校時刻を過ぎ夕日が綺麗な頃、先輩が1人で教室から出ていくのを見かけた。先輩は泣いていた。思わず僕は、

「大丈夫ですか。」

声をかけた。

びっくりしたのかこちらを見て目をまん丸くしていた。そりゃそうだ。全然知らない人に声をかけられたら誰だってそうなるだろう。でも泣いている理由を教えてくれた。

先輩は、いつも教室で1人で本を読んでいるクラスメイトに声をかけ、怒らせてしまったらしく、悲しいや、怖いなどのいろいろな感情が混ざり泣いてしまったそうだ。

話終わると先輩は落ち着いたようなので、僕は先輩に挨拶し家に帰ることにした。

「待って」

先輩に言われ振り向くと、くしゃっとした笑顔で

「話聞いてくれてありがとう」

と言われた。

その笑顔で僕はさらに先輩のことが好きになった。

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