mydt side
…何処かに逃げたい。そう思って外に出てから数時間が経った。外は土砂降りだったが傘も持たず、明日の仕事のことも考えずに人気のないところで棒立ちしていた。髪が濡れ、服もびしゃびしゃで靴の中に水が入り込んだ。いつもの俺だったら大慌てで家に帰ってだだろう。だがそんな気力もなく、汚れることも気にせずに地面に座り込み、膝を抱えた。
「…舘さん?」
「…え?……目黒?」
声がした方を向けば傘をさし、こちらを不思議そうに見ている目黒と目があった。
「何してるんすか?風邪引きますよ?」
「…いいよ、別に。…目黒こそそこにずっといると風邪ひくよ?」
「いや、全然良くないし…それに今の舘さんに言われても説得力ありませんって。」
そう言って傘を差し出した目黒はとても心配そうな顔をしていた。
「…とりあえず俺ん家行きましょ、今の舘さんをほっといて帰れないんで。」
そう言って差し出された手を思わずつかみ、引っ張られながら目黒の家に向かった。
家に着くとまずタオルで髪や体を拭かれた。自分でやらないとと思うものの手を動かすのも億劫でされるがままになった。そして目黒は
「体調崩すのが1番怖いんで、頑張ってシャワーだけでも浴びてください。…着替えとタオルはここに置いときますね。」
と言って俺を風呂場に押し込んだ。既に手遅れだろとも思いながらシャワーを浴びリビングの方へ行く
「おかえりなさい。…髪乾かさなかったんすね。ソファ座ってて下さい。」
目黒はそう言ってお風呂場に行き、ドライヤーを持ってきた後、俺の髪を乾かし始めた。久々に感じた人の温もりに涙が出そうだったが、口を噛み締めて何とか耐えた。
「…よし、これでOKっと。舘さんそろそろ夕飯の時間ですけど何か食いたいもんあります?」
「………腹減ってないからいらない。」
「いや、何かは食べないと…じゃあ何か適当に作りますね。」
「…いらないって言ったのに…」そう小声で言った言葉は目黒の耳には届いてなかったようで何か作り始めた。