「舘さん、出来ましたよ。」
と声がかかったので重い体を何とか動かして机に向かう。机にのっていたのはうどんだった。腹が減ってないと言った俺に気をつかったのか少なめである。
「まだあるにはあるんで、足りなかったら言ってください。」
と目黒は言い、自分の分を食べ始めた。その様子を見て俺も食べ始めた。食事の間はお互い一切喋らず、うどんをすする音だけが家に響いた。
食事が終わり、目黒が後片付けをしていて、俺はまたソファに座っている。手伝わないとと思うが、さっきから言ってるようにもう何もかも億劫になっていて気も抜けば横になってしまいそうなレベルだ。流石にそれは失礼過ぎるのでしないが。しばらくすると片付けを終えた目黒が俺の隣に座った。
「舘さん、明日の仕事は?」
「……夕方からラジオの収録、だけだったと思う。」
「じゃあ今日はもう泊まって下さい。その状態で帰す方が不安なので。」
心身共に疲れてたのでお言葉に甘えることにする。そして暫く沈黙の時間が続き、それを破ったのは目黒だった。
「…何か抱えてることでもあるんですか?何か力になれることがあるなら言ってください。」
…目黒らしい真っ直ぐな言葉だなと思った。いつもならなんでもないよって言えるのに今日はその言葉を聞いただけで泣いてしまいそうになる。
「……疲れたんだよ。」
「……」
「何故か分からないけど何処かに逃げたくなって、でも逃げれなくて。どうでもよくなってた。…馬鹿みたいだよな、年下相手にこんなこと言ってんの。ごめんな、忘れて。」
「舘さん」
話してる途中に目黒は俺を呼んで目線を合わせた。
「今言ってくれたように舘さん疲れてるんですよ。逃げ出したくなるくらい。でもそこまで頑張った舘さんは本当にすごいと思います、お世辞なしで。だから今くらい泣きましょうよ。先輩後輩関係なく。溜め込む方が辛いっすよ。」
そう言って俺の目にタオルを当てたあと、抱きしめてきた。あぁ、もう駄目だ。と思った瞬間、意識せずとも涙がボロボロ溢れてタオルに吸い込まれていった。抑えててもでる嗚咽に情けないと思いながらも涙は止まらなかった。そんな俺を目黒は黙って抱きしめたまま、俺の背中をさすっていた。
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続き楽しみです!