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にぬぬ
#しゅうと
りさ
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春が嫌いだった。
……いや。
正確には、春が嫌いになった。
桜が咲く季節になると、どうしても思い出してしまう。
あの日のことを。
君と初めて会った日のこと。
病院の窓から見えた桜。
白いカーテンが、風に揺れていた。
その向こうで、君は笑っていた。
kz「ねえ」
突然、声をかけられた。
振り返ると、そこにいたのは白髪の幼馴染kzだった。
少し大きめの黒いパーカーを着て、何でもないことみたいに笑っている。
kz「ここ、座っていい?」
それが、君との数年ぶりの会話だった。
俺は少しだけ迷ってから、
syu「……うん」
と答えた。
たったそれだけだった。
今どこに住んでいるのかも知らない。
なのに。
その日から、少しずつ君のことが気になっていっ
た。
病院で会うたびに、
kz「また会ったね」
って笑う君。
学校で見かけると、
kz「お、syuじゃん」
って手を振る君。
体調が悪そうなのに、
kz「大丈夫、大丈夫」
って笑う君。
……本当は、全然大丈夫じゃないくせに。
俺は知っていた。
君が病院に通っていることも。
君が何度も苦しそうにしていたことも。
それでも、何も聞かなかった。
聞けなかった。
君が「普通」でいたいことを知っていたから。
だから俺も、俺達も
何も知らないふりをした。
笑って。
くだらない話をして。
一緒に帰って。
時々、病院で顔を合わせて。
そんな日々が、ずっと続くと思っていた。
明日も。
その次の日も。
ずっと。
――そう思っていた。
だから。
あの日、君が笑っていたことを。
俺は、きっと一生忘れない。
春の風が吹いていた。
桜が、静かに揺れていた。
そして俺はまだ知らなかった。
この出会いが、
最後の「さよなら」につながっているなんて。
このときの俺は――
まだ、何も知らなかった。
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