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主さんってpixivでこのお話投稿しましたか?なんか題名は違うけど内容や言っている言葉が全く同じ作品を見ました。 このお話大好きなのでぱくり等でしたらアカウント教えます。また主さんがパクっているのなら控えてください。 部外者がすいません!
まじこのお話ずっとリピしてます! 傑に髪の毛を触って貰えるという最高なシチュとそれに嫉妬する悟がまじ半端なく可愛いです!最高です! これからも頑張ってください!!!
五条悟嫉妬
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「すーぐるー!髪の毛結って!」
「いいよ、今日はどんな風にしようか?」
今日は土曜日。先週の土日は任務で潰れちゃったから、久しぶりの休日だ。
談話室でお目当ての人物、傑を見つけて突撃する。
「こんな可愛い格好してどうしたんだい?デート?」
「ううん、硝子とホテルのアフタヌーンティー行くの!」
「そっか、それならお洒落しなくちゃね」
傑はヘアアレンジが上手い。本人曰く呪術師じゃなければ美容師になりたかったらしい。なので、わたしはお出かけの時はいつもヘアサロン傑にお願いする。
編み込みのアップをお願いしたら、傑はコテの電源を入れて、コテが温まるまでの間に手際良く髪の束を手にとって編み込んでいく。
今日行くアフタヌーンティーは、甘いものが苦手な人向けのメニューもあるらしいし、硝子と話したいこともたくさんあるし、楽しみだなぁ。
「ほら、できたよ。今日のナマエは一段と可愛いね」
「傑、ありがとう!お土産買ってくるからね!」
「お気遣いなく。気をつけていってらっしゃい」
鏡で見せてもらった完成形は予想以上に可愛くて、とても気分が上がる。
さすが傑ー!と言いながら寮の玄関へ向かおうと振り返ると、嫌な視線を感じた。
「おい、ちんちくりん」
「…へ?」
「何してんだよお前」
「何って…傑に髪の毛やってもらっただけ」
「で、硝子とお出かけか?」
「そうだけど」
「2人には構うのに俺は?」
「悟は私のことディスってしかこないから嫌」
「だいたいさー、お前みたいなのがそんなのしたところで、じゃん。似合ってねぇんだよ」
ほら、また始まった。
悟の言いがかり。こいつ将来モラハラ旦那とかになりそう。
「…うるさい」
「ほんとのこと言われて悔しい?ブスは何してもブスなんだよ」
「黙って」
「あーあ、もっと可愛い子が同期ならよかったのになー、毎日見る顔がコレとか俺かわいそー」
「…」
今日着てるワンピースは、滅多に買えないお高いブランドで今日のために買ったお気に入り。
お出かけ用のデパコスで時間をかけて丁寧にメイクもした。普段は履かないヒールも履いた。
髪だって傑がそれに合うように綺麗にアレンジしてくれた。別にわたしが悟に迷惑をかけたわけじゃない。なのに、なんで。なんでそんなこと言うの。
「おい悟。女の子に何てこと言うんだ」
聞くに耐えない言葉のオンパレードに、ついに傑が間に割って入ってきた。
「別に俺は事実を言ったまでだけど」
「悟、言葉を慎め」
「俺悪くないし。可愛いとか言ったらコイツ調子に乗るぞ」
「ナマエ、大丈夫だよ。そんな顔してたら可愛いのが台無しだ。悟の言うことは気にしないで、さぁ行っておいで」
傑はわたしから悟が見えないように自分の身体で遮断してくれて、今にも泣きそうなわたしの頭を大丈夫、可愛いよ、と撫でてくれた。
傑はいつも、こうやって着飾ったわたしを可愛いね、似合ってるよ、と褒めてくれる。それがお世辞だったとしても、傑は絶対にわたしの気分を害するようなことはしない。
それに比べて悟は。
わたしは傑に巻き込んでごめんね、と小声で言うと早足で寮を後にした。
「ほんと悟ってクズだよね!!!大っっっ嫌い!!!あんな奴と卒業まであと2年一緒とか無理!!!」
「とりあえず帰ったらあいつにヤキ入れてやるから落ち着いて」
怒りをぶつけるように大量のクリームを塗りたくったスコーンを口に運びながら、わたしは硝子にさっきあった出来事を愚痴る。
和やかなはずのアフタヌーンティーは、悟の悪口大会へと変化していた。
「ねぇ硝子、硝子にはあんなひどいこと言わないのになんでわたしだけなの?」
「それが男心ってもんよ」
「意味わかんない」
思い返せば、入学初日かつ初対面でいきなり「雑魚そう」「彼氏作りにきたなら帰れ」とか言われて喧嘩売られたっけ。硝子には入学してから今の今までそんなこと一切言わなかったのに。
そっか、悟は硝子が好きなんだ。硝子は女の子として大切にしてもらえるけど、わたしは女として見られてないし大切にもされていない。
心臓が押し潰されそうで、女の子扱いしてもらえる硝子を少し妬ましく思ってしまって、口に運んだかわいいピンク色のマカロンは、何の味もしなかった。それから硝子が医学書を買いたいと言うので本屋さんに付き合ったり、雑貨屋さんに行ったり、傑へのお土産にお菓子を買ったりしたけれど、わたしは何をしてる間もずっと上の空だった。
悟が硝子を好きだと気づいてしまったから。
悟のことなんて好きじゃない、むしろ大嫌いだと思っていたのに、どうしてこんなに胸が痛むんだろう。
一通りお店を回り終えると、用があるので今日は実家に泊まるという硝子と別れてわたしは1人とぼとぼ高専に帰ってきた。
せっかくのお出かけだったのに、硝子にも嫌な思いさせてしまったかな。わたしってほんと、何してもダメだなぁ。そりゃ女の子扱いしてもらえないよね。
寮に近づく頃には日が沈んで辺りは薄暗くなっていて、だから近くに寄るまで気付かなかった。
寮の玄関にもたれかかっていたのは、一番会いたくなくて、一番嫌いなあいつだった。何してるの。何でここにいるの。今は悟の顔を見るどころか、名前すら聞きたくないのに。
もうこの際無視しよう、無視が一番だ。あんなに酷いこと言われたんだから、無視ぐらいしても罰は当たらないでしょ。
「…おい」
「…」
「なぁ」
「…」
「ちょっと待てって」
それでもなお悟を無視して寮の階段を上がろうとすると、手首を掴まれた。
「…痛いって、離して」
「…ごめん」
「悟なんか大嫌い、謝らなくていいからもう私に話しかけないで」
「ほんとにごめん」
「やめて」
逃げようとすると無理矢理腕を引っ張られて、悟に抱き締められた。
「離してよ」
「離さねえ」
「やめてってば」
「絶対やだ」
悟は一体何がしたいの。硝子のことが好きな癖に。わたしを硝子の代わりにするつもりなの。
「硝子なら今日は帰ってこないから、残念だったね」
「は?何のことだよ」
「硝子のこと待ってたんでしょ?」
「待ってねえよ」
怒りたい気持ちと泣きたい気持ちで感情がぐちゃぐちゃになって、わたしは悟の学ランの胸元をめいっぱい握る。
「酷いことばっか言う癖になんでこんなことすんの?」
「ムカつくんだよ…」
「何が?わたし、悟怒らせるようなことした?ここまで言われなきゃいけない理由ある?」
しばらくの沈黙のあと悟はチッ、と舌打ちをすると、わたしを抱き締める腕を緩めて両手でわたしの髪を優しく包んだ。
「…俺も練習するからさ、傑に髪触らせるのやめて。お前のこと、傑より絶対可愛くするから」
「わたしのことブスって言ったのに?」
「だってお前、俺の前では傑の時みたいに笑ってくんねーから……ごめん、俺が悪かった」
「それは悟が意地悪言うから…」
「いい加減気づけよ」
「…何を?」
「あ”ー!!とにかく!これからは傑に髪触らせるの禁止!傑の前で笑うのも禁止!傑の半径5mに入らない!」
「えぇっ!?何で!?」
「何でもクソもねぇよ、ばーか」
急に視界が真っ暗になったと思ったら、唇にわたしのものではない体温を感じた。
それが悟のものだと気付いたのは、再びわたしの視界が明るくなってからだった。
「お前のこと好きだからだよ、傑には渡さねえ」
「…!?」
「お前、俺のこと嫌いって言ったよな?絶対落とす。…あ、これ俺がもらっとくから!」
悟が手にしていたのは、傑にと買ったはずのチョコレートの入った紙袋。
「えっ、うそっ、ちょっ…!!」
悟は勝ち誇ったような顔をして舌を出すと、あっという間に階段を登って行ってしまった。
春が近い、温かい風が吹く夕方のことだった。