すみません🙇♀️
「Aufheben」ラストまでできてるのですが
まだ添削途中なので…
こちらを先にどうぞー!
「ねぇ元貴、今日こそ行こうよ。あのパンケーキ屋さん」
とあるオフの日の朝、珍しくスウェット姿の藤澤が、リビングでごろごろしながらにこにこと言った。
数週間前から「行こう」と誘われていた甘味処。
どうやら、藤澤の推しスイーツがあるらしい。
「わかったよ…そんなに食べたいの?」
「めっちゃ美味しいの!ふわふわでさ、蜂蜜とろっとしてて…元貴、絶対好きだと思う」
朝日差し込む部屋の中、無防備な笑顔。
その笑顔を見てしまったら、断る理由なんて、もうどこにもなかった。
店は、原宿の路地裏にある隠れ家的なパンケーキカフェ。
人気店らしく外に数組の行列ができていたが、事前に藤澤が予約してくれていたようで、すぐに店内へ案内された。
「蜂蜜が好きだから、これにしよーっと」
と、メニューを指差す藤澤は、どこかワクワクしていて、少し子どもみたいだ。
「じゃあ俺も、それにしようかな」
ふたりが選んだのは、生クリームと蜂蜜をたっぷりかけた、“クラシックパンケーキ”。
運ばれてきた皿には、ふわふわのパンケーキにとろけるような蜂蜜が流れていて、見ているだけで幸せになれる見た目だった。
そして蜂蜜好きの人のために、“追いハチミツ”ができるよう、別でさらにハチミツを用意してくれる所がこの店の人気のポイントだ。
「はい、元貴。あーん」
「え……あ、うん」
照れながらも口を開くと、藤澤がフォークにのせたパンケーキをそっと差し出す。
甘さの中にほんの少しの塩気、生地の香ばしさと蜂蜜のとろみが舌に広がって──思わず声が漏れる。
「ん…うま……」
「でしょ?俺のおすすめ!」
「……じゃあ、次は俺の番。あーん」
「お、やっとその気になった?」
クスクスと笑う藤澤に、今度は大森がフォークを差し出す。
藤澤は軽く目を閉じて、それを口に含む。
けれど、次の瞬間──
「ん…やっちゃった」
「え?」
「元貴、口の端、見て」
そう言われて視線を移すと、藤澤の唇の端に黄金色の蜂蜜が一滴、ついていた。
ついさっき食べた一口で垂れてしまったらしい。
「……垂れてる、よ?」
「……うん。でも、これくらい、自分で舐めとるから見てて」
そう言って、藤澤は――
自分の舌をゆっくりと、艶めかしく唇の端へ滑らせた。
「ん……はちみつ、うま……」
舌先が残る甘さをすくい取るように動くたび、目の奥がじっと大森を見つめてくる。
それは明らかに、“誘惑”の眼差しだった。
「……涼ちゃん、何その目……」
「ん?何も。……たださ、これ」
テーブルに置かれた蜂蜜の瓶に、そっと指をかける。
「持って帰りたいくらい美味しくてさ。元貴、もっと甘いの、好きでしょ?」
「……っ……おい」
「……一緒にこっち、来て」
藤澤は、そう耳打ちして、立ち上がった。
蜂蜜の瓶を、何食わぬ顔でバッグに滑り込ませて。
店内の奥にあるトイレは静かで人の気配もなかった。
鍵を閉める音が響いた瞬間、大森の背筋に緊張が走る。
「涼ちゃん、冗談だよな……?」
「冗談で、こんなとこ来ないでしょ?」
クスクスと笑いながら、藤澤がそっとバッグから蜂蜜の瓶を取り出す。
その表情は、さっきのふわふわした笑顔とはまるで違っていた。
「ねぇ、元貴。俺、蜂蜜見るとさ……キスしたくなる」
「は?」
「甘い味と、熱い舌……最高の組み合わせでしょ?」
そう言って、藤澤は瓶の蓋を開けた。
「今日は、元貴を“スイーツ”にして、俺が全部いただきます」
その宣言と同時に、空間が一気に熱を帯びる。
コメント
8件
SOIRAさんの考えた話も世界感に入れるからめちゃくちゃいい(>ᴗ<)
毎回読み応えのある作品ばかりで一度読み出すと止まらない笑 今回の作品も既に大好きです💕
タイトルが、ロマンチックな感じだ…! 『甘く喰らう』っていうワードのセンスがすごすぎです…! やばい…神様がいる…!