鍵がかかったトイレの中、ふたりの空間だけが甘くとろけていく。
藤澤は蜂蜜の瓶を指先で転がしながら、いたずらっぽい笑みを浮かべる。
「ねぇ、元貴。……脱いで。上だけでいいから」
「ここ……トイレだよ……?」
「だから、声出さなきゃ大丈夫でしょ?」
そう囁く声が、耳の奥に甘く響く。
大森の喉が、ごくりと鳴った。
藤澤の前に立たされ、シャツのボタンを外していく。
人の気配はない。
でも、外にはお客がいる。
“聞かれたら終わり”という背徳感が、かえって興奮を煽る。
最後のボタンを外し終えると、藤澤がゆっくりと距離を詰めてきた。
「綺麗。……元貴の身体、好き」
囁くように言って、藤澤は蜂蜜の瓶を開ける。
とろりとした黄金色の液体が、瓶の口から糸を引くように滴った。
「まずは……ここから」
ぽたり、と大森の鎖骨のくぼみに落ちる一滴。
藤澤が舌を突き出し、そこをゆっくりと舐めとる。
「ん……っ、涼ちゃん……っ」
舌が滑るたび、ぬるりとした蜂蜜が皮膚の温度で溶けて、艶やかな音を立てる。
その音だけで、身体が反応してしまう。
「ほら、まだある」
今度は胸元へ。
突起のすぐ上に、蜂蜜をもう一滴。
藤澤の舌が、そのままゆっくりと下へ移動し、舌先でねっとりと円を描くように舐め回す。
「ひゃっ……んっ……!」
「ふふ……声、漏れてるよ?」
藤澤は顔を上げ、唇をぬぐった。
けれど、その目はすぐに下へと落ちる。
「元貴……ここ、もう我慢してないじゃん」
下着の上からでも、熱く滾っているのが分かる。
大森の中心を目で追いながら、藤澤はしゃがみ込んだ。
「……ねえ、ここにも蜂蜜、垂らしていい?」
「……そんなの、聞くなよ……っ」
大森がそう答えるより早く、藤澤は大森の下着を下ろし、露わになった熱をじっと見つめた。
「……可愛い。元貴のここ、泣きそうなくらい、我慢してる」
瓶を傾け、先端にとろりと蜜が垂れる。
「ひゃ……っあ……!」
その瞬間、身体がビクンと跳ねた。
「冷たいけど……すぐ、俺の舌で温めてあげる」
そして、ゆっくりと舌を這わせる。
ねっとりと、絡めるように。
甘さと熱が混ざり合い、ぬめる音が密室の中で生々しく響く。
「んっ……あっ、だめっ、それ……っ、涼ちゃん、っああぁ……!」
藤澤は舌を使い、全体を丁寧に、愛おしむように舐め尽くす。
根元まで、蜂蜜を絡めたまま何度も舌を這わせる。
「元貴、すごい……びくびくしてる。……もう、出そう?」
「っ…だ、め……ほんとに、でちゃ……!」
「出していいよ。……俺の口に、いっぱい甘いのちょうだい」
その言葉で、堰が切れた。
「ああぁんっ、涼ちゃんっ、もっ……と……!」
腰が突き出され、吐息と共に白濁が迸る。
藤澤はそれを受け止めるように口に含み、舌で味わいながら飲み込んだ。
「ん……ほんとに、甘かった」
唇をぺろりと舐めて、にっこり笑う藤澤。
大森は、壁にもたれてぐったりしている。
「……もう、無理。動けない……」
「だってさ、スイーツは、とろとろになるまで味わうものじゃん」
藤澤が慈しむように大森の髪を撫でた。
その指も、まだ少し蜂蜜の香りがしている。
「元貴。俺、まだ足りないんだけど……いい?」
「……え?」
藤澤が、自分の指にまた蜂蜜をつける。
そして、そのまま自分の下腹部へと手を伸ばし――
「次は、俺の番。見てて。……俺のこと、甘く食べて?」
コメント
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今日部活でみんなの前で怒鳴られて気分最悪だけどSOIRAさんのお話見て元気だします
喰らう人が今度は喰らわれるパターンね!? 今度からハチミツを見たら、このお話を思い出す事にします!(おい) 今回のお話、すごいドキドキしながら読ませていただきました✨これからも頑張ってください!