テラーノベル
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朝食はいつもと同じ食パンと目玉焼き。飲み物はあまり飲まない。
今日もテレビを見ながら食べる。99.99%泣けるドラマらしい。
…オレは泣けなかった。泣けなかった0.01%はオレ以外にも誰か居るのだろうか。
そんなことを思っていたら、後ろの扉が開いた音がした。
「司くん、おはよう」
類だ。寝癖も付いてるし、寝ぼけてる。今日はいつもより早く起きてきた。
そんな彼にオレはおはようと返した。
「…司くん、今日も泣けなかったかい?」
そうだ。大正解だ。泣けなかった。
「やっぱり泣けないな」
オレはこういう「泣いてしまう」ドラマやアニメを毎日見ている。
「そうかい、、」
類は今日もオレのいつもと同じ返事にガッカリした様だった。
泣けなくてもこういうちっぽけな返事を返して貰えば、類らしくて何故か安心する。
「いや、司くんが泣けなくても、何があろうと僕が司くんを守る!」
ふざけたように類が言った。オレと類の笑い声が部屋に響き渡った。
オレは人生で泣いたことがない。
生まれた時の産声以外は、泣いたことがない。というか、泣けない。
小さい頃からスターになりたくて、泣く演技を毎日練習していた記憶がある。
でも、諦めかけた時、類はそんなオレを慰めてくれた。毎日努力してくれてるんだ。
卒業式も、オレが大好きだった祖母が亡くなってしまった時も泣けなかった。
感情が無いって訳ではないが、とにかく泣けない。
だからこうやってドラマやアニメを見ている。
「司くん、今日、出掛けないかい?」
昼過ぎ、類がオレに問いかけてきた。出掛けるなんて久しぶりだ。
久しぶりに二人で出掛けたかったオレは、
「絶対オレは行くぞっ!!」
といつものテンションで言ってやった。すると類が
「あはは、喜んでくれてよかったよ」
と凄く優しく微笑んでくれた。やっぱり類の笑顔好きだな。
「でも、どこに行くんだ?」
「ショーを観に行くんだよ。」
「ショー、?、、二年ぶりじゃないかっ!?」
ショーなんて久しぶりだ。最後に行ったのは二年前に類、えむ、寧々で行ったはずだ。
でも、久しぶりだからワクワクする。
、、しかも類と。
「あぁ、懐かしいね」
着いた。
でも着いたところは、
「何か此処、見覚えがあるんだが、、」
何故か見覚えがあった。すると、類は
「おぉ、すごいね、随分前なのに見覚えがあるなんて。」
そう言うと、笑いながら説明を始めた。
「覚えてるかわからないけど、小一の時に此処で司くんにプロポーズしたんだよね」
言われてみれば思い出した。本当に随分前でビックリした
「まだプロポーズのことはあまり分かってなかった頃だったから、純粋だったんだなぁ。」
、、純粋だった、か。
オレは正直、あの時のプロポーズは本気で喜んだ。本当に結婚すると思ってた。
でも、そうだよな。
「、、あぁ、そうだなっ!」
すると、ナレーションが聞こえてきた。
「お客様に、お願い申し上げます。もうすぐショーが始まりますので、飲食禁止、、─」
このナレーションも懐かしい。最後此処に来た時と変わってなかった。
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ショーが終わった。
とても綺麗で面白くて、とにかく凄かった。感動のあまりオレは類に
「凄かったなっ!!」と言いかけた時、類が悲しそうな顔をしているのが見えた。
「類、、?」
問うように名前を呼ぶと、類は切なく笑って
「いや、やっぱり泣けなかったか、って思ってね」
あぁ、そうか。類はきっとこのショーで泣けるか試してくれたんだろう。
やっぱり泣かない。泣けない。
死ぬほど辛いのにそれに対しても泣けない。
類にも申し訳ない、咲希にも。えむにも。寧々にも。
ずっと前から一緒にいるけど、今日はみんなに一番申し訳ないと思った。
「ごめん、類。」
「なんで謝るんだい!?」
類は優しい。オレが謝ったら何でだ何でだと言い続ける。
「オレが泣けなかったから。」
この言葉を言った時、自分でもわかるぐらい声が震えていた。
なのに、やっぱり泣けない。
類は黙り込んだ。きっとなにも言えないだろうな。
オレも類も黙ったまま会場から出た。会場から出発した十分後くらいに、
「、、ごめんね、司くん。楽しめなかったよね」
オレの横で歩く類が言った。
そんなことない。素敵なショーだった。と言いたかったが、オレはなにも言えなかった。
頷くことしかできなかった。
後少しで家に着く。いつも通るような横断歩道に来た。押しボタン信号だ。
類がボタンを押した。
信号が青に変わった。
横断歩道を渡った。
黙って歩いた。
「司くん!!!危ない!!!!」
類が叫ぶ声と同時に、横断歩道を渡り終えた時に着く普通の道に突き飛ばされた。
助けてくれてありがとうと横を見て言いかけた時、類がいなかった。
まさかと思って、横断歩道を見た。
類がトラックの下敷きになっていた。
「類、、、!?類っっっ!!!!」
オレは名前を叫びながら震える手で救急車を呼んだ。
5分程で救急車が到着した。オレも勿論同乗した。類が死ぬかもしれないと考えると、震えが止まらない。
でも唯一涙が出ない。泣きたいのに涙が出ない。類が死ぬのなら、せめて死ぬ前に類から宝石を貰いたい。
類が死ぬのなら、類から貰った宝石を落としたい。
一番は死なないことだが、死ぬなら、、と言う考えが勝手に脳で再生された。
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病室に来た。
類の腕には点滴が打たれていた。一時間ほどずっと目を覚ましていない。
目を覚ますことは期待しないでほしい、と先生から告げられた。
しばらくすると、えむ、寧々、類の父母が息を切らして此処に来た。
「類、!!!ウソでしょ、、?ポロポロ」
「類くん、っ、目を覚ましてよっ、!!!ポロポロ」
寧々もえむも類の父母も目から涙が溢れていた。なんでこういう時にオレは泣けないんだろうか。
オレは絶望することしかできなかった。
またしばらくして、えむ、寧々、類の父母が病室から出ていった。
病室はオレと類だけになった。
「類っ、、、」
震える声で名前を呼んだ。名前を呼んでも返事は勿論ない。
どうしようも出来ない。
お願いだから死なないでくれ。
類と出来てないことがまだ数えきれない程あるって言うのに。
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類と暮らし始めたのは四年前だった。
高校を卒業し、最初に寧々とえむが同棲を始めた。理由は仲が良くて目指す夢が同じだから、だそうだ。
それを知った類が、期待の眼差しを向けながら僕達も同棲しないかい?と言ってきた。
あまりのしつこさに負け、同棲を始めた。結果的には悪くなかった。というか楽しい。
そんな最高の相棒がもう目覚めない。
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「類っ、」
何度も名前を呼ぶが、やっぱり無理だ。
「類、類、類っ、」
「る、、ぃ、っ、、ポロポロ」
あれ
涙が溢れて来た、、?
人生初の涙じゃないか、嬉しいな。
なんて思えるか。
「類、、!!!お願いだっ、、!!死なないでくれっ、ポロポロ」
類は最期にオレに宝石をくれたのだろうか。
「類っっ!!!あ”ぁ”ぁ”ぁ”っっポロポロ」
「オレはまだお前に好きだと言えてないぞっ、、!!ポロポロ」
「好きなんだっ、、、!直接言いたいから目を覚ませっっ、、ポロポロ」
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オレはずっと前から類が好きだ。初恋から今までずっと。
高校の時、クラスメイトに「変人ワンツーフィニッシュ」と呼ばれていたのもいやではなかったし、
同棲をする時も、本当は跳び跳ねたかった。でも素直になれなかった。
素直になるのが苦手なオレが好きなど言えるわけない。
でも言った。今だから言った。もうでもとっくにチャンスはない様だ。
神様は居ないのだろう。いたとしても助けてくれないのだろう。
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「類!!!類!!!!ポロポロ」
涙が止まらない。声も掠れてきた。類の手を握りながら泣き続けた。
「類、、!!類、、、っポロポロ」
類の手に涙が落ちた。
、、類の指が動いた、、?
いや、?そんなはずない。
オレは声が掠れても名前を呼び続けた。
しばらくすると、類が手を握り返してきた。
これは気のせいじゃない。
オレは戸惑いまくった。
「類、、、?グスッ」
涙を腕で拭い、名前を呼んだ。
「、、、つかさ、くん、、、?」
「る、、、ぃ、、、!?」
「司くん、、」
類が目覚めた。名前を呼んでくれた。微笑んでくれた。
本当なのか、本当、、か、、?
「る、、ぃ、、、ポロポロ」
オレはまたぐしゃぐしゃに泣いた。
「つつ、司くん、、!?!?」
「泣けたのかい!?!?」
「、る、ぃ、、ッポロポロ」
「オレ、泣けた、、ポロポロ」
「つか、、さ、く、、、ポロポロ」
類もオレも泣いた。
「るい、、、、よ、かった、、ポロポロ」
「司くん泣きすぎだよ、今日泣き虫になったのかい?」
類がそう微笑んで、涙を拭いてくれた。
「司くん、ごめんね、っ。」
「、、!」
類は思いっきりオレを抱き締めた。
「もう泣かないでね、、?」
「類、、ポロポロ」
「だからもう泣かないでよっ、、」
オレは今日で泣き虫決定したらしい。
でも、本当によかった。
「類、これを機に言う。」
オレは言うことを決意した。
「?、なんだい?」
「オレはずっと前から類のことが好きだったんだ。」
「、、、え?」
「ごめん、気持ち悪いよな、今の、忘れてくれ──」
「僕も好きだよ、っ。」
「、、っ!?」
「僕から言う、」
「好きです、付き合って下さいっ。」
類もオレのことが好きだった。
「、、、ポロポロ」
「え、ちょっと!?」
「るいぃぃポロポロ」
オレは無意識に類に抱き付いた。
「、、よろしくお願いしますっ、、!ポロポロ」
「あはは、泣きながら言わないでよ~、」
笑いながらも頭を撫でてくれた。
いや。神様は居るのだろう。
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月日が経ち、寧々から、「少しぎこちないけど、リハビリ頑張ったから歩けるらしいよ」
と連絡が来た。
急いで病院に向かい、類の部屋に行くが、類はいなかった。
先生に聞くと、
「天馬さんが来ると知ってから何かを持って屋上に行きました」
と言われた。
なんだろう?と思って、屋上にいった。
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屋上に着いた。星空が輝く空の下に、類が屋上の手すりにもたれているのが見えた。
「類っ!!」
オレが走って類のところに行った。
「あ、司くん!」
オレが来たことに気づくと、類は後ろに何かを隠した。
「おい類!!恋人に隠し事は良くないぞ!!」
「いや、司くん、こっち来て」
言われた通り、類に近づいた。すると類が
「司くん、これ受け取ってくれないかい?」
そう言いながら類はオレの薬指にピッタリの指輪をはめた。
「、、、これってプロポーズだよなっ!?!?」
「あぁ、そうだよ」
「ぁぁぁぁ類ぃぃぃぃっポロポロ」
「司くん泣きすぎだよっw」
「絶対大事にしろよっ!?」
「僕今しないと言う顔してるかい?」
「して、、、、ないっ!」
「いや悩まないでくれ、、、」
オ レ が 流 す 涙 は、 類 が く れ た指 輪 の 宝 石 の よ うに耀 き、落ちていった。
司くんが流す涙は、 僕があげた指輪の宝石のように耀き、 落ちていった。
END
コメント
1件
うわっ…泣いたわ、これ。 「泣けない」って設定がずっと引っかかってたのに、類がトラックに轢かれたシーンで初めて涙が溢れたところ、めっちゃグッときた。 「好きだ」って叫びながらの告白も、最後のプロポーズも、全部が綺麗に繋がってて尊すぎる。 指輪の宝石と涙の輝きを重ねた終わり方、めちゃくちゃ好きです。のいず♛さん、素敵な作品をありがとうございます。続きも楽しみにしてますね🔥
龍月@サボり魔
330
#暁山瑞希
ねる
722
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