そして翌日から、龍星は色々な事を仕掛けてきた。ある日は聖勇をわざと俺の方に転ばせて受け止めさせるようにしたり、ある日はなんとなく見てみたいからと言って聖勇に壁ドンさせられたこともあった。そんなある日のこと。俺は2年生の女の先輩に呼び出された。俺はその人と関わったことがなく、なにを言われるか不安の気持ちで先輩の元へ向かった。そこには、先輩以外誰もいなかった。
「その、ご要件はなんでしょうか」
「えっと…まずは初めてまして?こうやって面と向かって話したことなかったから」
「そうですね…初めまして」
「単刀直入に言うよ?」
「はい」
「急でびっくりするかもしれないけど初めてあなたを見た時、一目惚れしました。好きです。付き合ってください!」
「えっ!?」
本当に急すぎてびっくりだ。ずっと怒られると思ってたから告白だったことに驚いた。気持ちは嬉しいけど、俺は聖勇が好きだ。聖勇と付き合えるなんて思ってないけど、今先輩と付き合ったところで聖勇への気持ちが冷めることは無いしそんな気持ちで先輩と付き合うのも失礼だと考え、俺は断ることにする。
「その、気持ち嬉しいです。でも、ごめんなさい。」
「えっ…?」
「俺、好きな人いるんです。だから先輩とは付き合えないです。」
俺がそう言うとしばらく沈黙が走る。が、しばらくすると先輩が口を開く。
「…そっか、ごめんね?急に呼び出しちゃって」
「いえ!先輩もこんな俺を好きになってくれてありがとうございます!」
「はぁ…やっぱりかっこいいなぁ…直斗くん…じゃあ、私はもう行くね、じゃあね」
「はいっ」
そして先輩は去っていった。俺は緊張が解かれてひと息ついた。教室に戻ると、龍星を廊下へ連れ出した。
「で?何やらかした?」
「あっ、そうじゃなくてその…」
「ん?なに?」
「告白…された…」
「…そうなんだ、返事はどうしたの?」
「好きな人いるってちゃんと断ってきた。でも大丈夫かなぁ…」
「なにが心配なの〜?ちゃんと断れたんだから、ね?」
「…でも…もしそれで聖勇に迷惑かかっちゃったら…先輩だからなんかあっても言えないし…」
「大丈夫だって!好きな人がいるって言っただけで誰かは言ってないでしょ?なら尚更大丈夫だよ〜!」
「そうだよね」
「うん!」
そしてその後、大丈夫だと言いながらも少し不安だったが、特に何かが起きるわけでもなく、安心しきっていたある日のこと。放課後、俺が帰ろうとすると、聖勇が慌てた様子で教室に入ってきた。
「直くん待って!」
「どうした?」
「聖くんが…聖くんが…」
「聖勇に何かあったのか!?」
「とにかく来て!直くん呼んでこいって先輩が…」
そして俺は龍星と共に急いで先輩のもとへ向かった。すると、先輩が何かを持っていて、聖勇は必死にそれを取ろうとしている姿が目に映った。
「あっ…あれ…」
先輩が持っているものをよく見ると、俺が小さい頃に始めてあげた誕生日プレゼントの小さいクマのキーホルダーだった。
「あれずっと持ってたのかよ…」
聖勇はずっと、必死に先輩に返してもらおうと叫んでいる。
「返してください!」
「やだ。返さないよ?」
「お願いします!大事なものなんです…返してください…!」
そして、聖勇が今にも泣きそうな表情をしていることが分かり、我慢の限界が来た。
「先輩!もうやめてください!」
「直斗…」
「はぁ、やっと来た。ずっと直人くんのこと待ってたんだからね?」
「…すみません、その、俺に用があるんですよね?なんですか?」
「ふふっ、直斗くんの大事な大事な友達が困ってるねぇ〜?どうすればいいと思う?」
「…何をお望みですか?」
俺のその質問に先輩はニヤリと笑う。
「そうだな〜、私と付き合ってよ」
「は…?」
「直斗くんが私と付き合ってくれるなら、これ返すよ?でも私と付き合ってくれないなら…これ壊しちゃおっかなぁ〜」
そう言ってニコニコ笑っている先輩に俺は堪忍袋の緒が切れる。
「めんどくせぇなぁ…」
「え?」
「そんなことして俺と付き合って嬉しいですか?」
「好きな人はどんな手を使ってでも手に入れるもんでしょ?」
「そういう考えもありますね。でもやり方が子供なんだよ。」
「何そんなに怒ってるの直斗くん、怒らないで…?」
「うるせぇなぁ。″付き合わないと壊す″なんていって無理に付き合わせようとするのが幼稚いんだよ。」
「はぁ!?あんた先輩に向かってなんて口聞いてんだよ!」
「悪いけど、あんたのこと先輩だなんて思えねぇよ。」
俺は先輩に近づきそう言った。
「なっ…」
そのまま黙り込む先輩に俺は問いただす。
「ってことですけど、それでも俺と付き合いたいです?」
「…もういいよ!」
そう言って去ろうとする先輩を、俺は止める。
「あの、そのキーホルダー返してもらっていいですか?」
「…はい。」
そう言い、先輩は俺にキーホルダーを渡して走り去っていった。
「…ふぅ…緊張した…はい、聖勇!」
俺はそう言い、聖勇にキーホルダーを渡した。すると、聖勇は俺に泣きながら抱きついてきた。
「うぉっ…聖勇…?」
「怖かったよぉ〜!直斗ぉ〜!」
「も〜泣くな〜男だろ〜?」
「だって…だってぇ…」
そしてその後、俺は聖勇を思う存分泣かせてやった。こんな時に思うのは変かもしれないけど、抱きついてきて泣きわめいている聖勇はめちゃくちゃ可愛かった。
「落ち着いたか?聖勇」
「うんっ…ありがとっ…直斗…」
「ふふっ、どういたしましてっ」
そう言いながら俺は聖勇の頭を撫でた。
「うわぁ〜、お前らカップルみたい。ラブラブじゃーん」
「なっ!?龍星てめぇ…!」
「だってお似合いじゃ〜ん、本当にラブラブ〜」
「からかうなぁー!」
「あ、やべっ、直くんが怒った、逃げなきゃっ」
そう言って龍星は走り出す。俺は逃げる龍星を追いかけた。
「まてぇー!逃がさねぇーぞー!」
「うわぁ〜!やだぁ〜!」
そして、俺は龍星を捕まえた。
「はぁ…捕まえた…」
「やっぱ直くんはえぇ…」
「これは捕まった罰だからな!」
そして俺は龍星の脇腹をくすぐった。
「いひっwやめてwまじw死ぬってw」
しばらく龍星をくすぐっていると、聖勇が近づいてきた。
「おい!お前ら!!」
「な〜に?」
「ん?」
「俺も混ぜろ〜!」
そしてその後俺たちは沢山くすぐりあって笑って、この件は幕を閉じた。そして楽しいという感情と共に聖勇を自分の手で守りたいと思った。そして、その週の土曜日に聖勇に俺の気持ちを伝えることを決意した。
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