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次の日、放課後。私は何気なく友達の璃子と一緒に食堂に向かっていた。
「今日、何食べようかなー?」璃子がメニューを見ながら言う。
「うーん、私はカレーが食べたいな。」私は答えたけど、正直、食堂に来るのがちょっと憂鬱だった。昨日からずっと広瀬先輩との帰り道のことが頭をよぎっていて、なんだか落ち着かない気分だった。
その時、突然、後ろから声をかけられた。
「おい、くるみ。」
その声に振り向くと、そこには――広瀬先輩が立っていた。
「え、あ、広瀬先輩…?」私は驚きと戸惑いの入り混じった表情で答える。
「食堂、一緒に行かないか?」広瀬先輩が少しだけ目をそらしながら、言った。
「えっ…?」思わず声を出してしまった。まさか、広瀬先輩が私を食堂に誘ってくれるなんて、予想してなかったから、驚きの気持ちが強かった。
「別に、今日は一人でもよかったけど。」広瀬先輩は、ちょっとだけ照れくさそうに言うと、さっさと歩き出した。
璃子が目を見開いて私を見つめ、「くるみ、まさか広瀬先輩と食堂!?すごくない!?はい、いってらーー」と、興奮気味に言う。
「え、でも、なんで…?」私はその理由が全然分からなくて、戸惑いながらもついていく。
食堂に到着すると、広瀬先輩が先に席を取ってくれていた。私はそのまま座ろうとしたけれど、心の中では色んなことが駆け巡っていた。
「なんでだろう、広瀬先輩がこんな風に私を誘うなんて…?」その疑問が、私の胸の中で膨らんでいった。うぇ…。わからん。こんなハイパーウルトラ無愛想な顔だと何もわからん。何考えてる?
でも、しばらくして、広瀬先輩が何気ない顔で言った。
「実はさ、須田先輩からメールが来てて、『1年の女子と仲良くなろう!』って言われたんだよ。」と、何気なく話を切り出した。
「え…?」私は目を大きく見開いた。須田先輩からのメール、そんな内容だったなんて…全く予想外だった。
「須田先輩が、みんなともっと仲良くなれって言ってるんだよ。まぁ、だから無理にってわけじゃないけど。」広瀬先輩が少し気まずそうに言う。
「え…それで?」私はますます混乱していたけど、広瀬先輩の言葉の意味を少しずつ理解し始めた。
「だから、別に悪気はないんだ。ただ、俺もお前ぐらいしか顔覚えなかったんで。」広瀬先輩が何気なく言ったその言葉に、私は思わず心の中でドキッとした。
「は、はぁ…?」
なんだか、急に気まずくなった雰囲気が漂った。広瀬先輩がわざわざ私に話しかけてくれたのは、須田先輩の指示だったとしても、それでもちょっと嬉しかった。
でも、なんだか不安もある。
「でも、広瀬先輩がわざわざ…そんなことしてくれるなんて、すごいな。」私は少しだけ笑いながら言った。
広瀬先輩は少しだけ照れ笑いを浮かべ、「まぁ、いい機会だったしな。」と返してきた。
でも、その後も二人の会話はちょっとぎこちなくて、何だかまた距離感が生まれてしまっている気がして、私は少し寂しさを感じた。
それでも、広瀬先輩と食堂でこうして過ごす時間が、少しだけ特別なものになったような気がする。
「須田先輩、こんなことしてくれて…ありがとう?」心の中で、そんな風に思いながら、私は広瀬先輩ともう少しだけ過ごすことにした。