1ヶ月が立ち、女子というものに完全に慣れた私こと原井碧生(はらいあおい)
しかしとてもめんどくさいことが起きようとしている。
「はーいはーい座って座って」
担任教師である中井蓮花先生の声で生徒達が座る。
「少し今回は連絡があります」
「皆さん宿泊会楽しみですよね?」
担任が当たり前かのように質問を投げかける。
すると
「中止ですかーw」
巫山戯た態度で男子生徒の1人がそう言う。
「違います」
さすが教師と言ったところだろう対応にも手馴れている
「話を戻しますが安全面の観点から12月に予定していた宿泊会は9月20日になりました。」
「(え?)」
今は9月6日だ。
とりあえず宿泊会の予定していた12月まで隠す予定だったのに、、!
「安全面というのは昨年の宿泊会で雪により遭難してしまった生徒がいることによるものです」
「(くそっ、、巫山戯んなその遭難した生徒)」
「ということで保護者の方には先程伝えましたのでみなさんも各自準備しておいて下さい」
「(はぁ)」
心の中でため息を着きながら2週間後のことについて考えた。
その後先生に呼び出されどうするか聞かれたがとりあえず男子枠で入ることにした。
もうどうせならバレてもいいだろうと半ば適当になりながら準備をした。
あれからというのも髪はサラサラにするようにした。いや、髪がサラサラに・なって・いた。
体質も変化しているらしく体はなった当時よりも小柄になり肉付きも無くなっていた。
身長は170から152程度まで緩やかに落ちていった。
明らか気づくだろうと思ったが「足が怪我した」とかいう意味のわからない言い訳をしたらまかり通った。
胸はほんの気持ち程度大きくなった気がする。
女の子の日は未だにやってこない。
さて2週間というのはあっという間で明日にまで迫ってきた。
宿泊会は何気に楽しみにしていた。
しかしこんな小さい体になってしまった以上登るのもキツいと覚悟している。
風呂は、、、どうしようか、
1番大切なところを考えていなかった。
「(と、とりあえずバスタオルでも巻いて入るか)」
そんなことを考えながら当日がやってきた。
「はーいみなさんこちらに乗ってくださーい」
そんな担任の声を元に2組のバスに乗り込んだ。
隣の席に座ったのは海堂優也(かいどうゆうや)
「おっ、碧生じゃん」
「優也か、、」
最近喋らなが普通に仲のいい生徒だ。
結構明るめの性格をした生徒。
中学からの中だ。
最近私は喋り方も女子っぽくなってきたから少し喋るのが億劫になっていた。
「山に着くまで30分かぁ最近喋ってないから色々喋るかぁw」
「では出発します」
運転手の声とともにバスは山に向けて出発した。
「それでさぁもう少しで1位取れたんだよねw」
「へぇそうなんだ」
「だからさぁほんと惜しかった」
「へぇ」
さっきから優也の話に付き合っているが相槌を打ってるだけのように思えるのは私だけだろうか?
いや、そもそもこいつは自分のペースで喋るタイプだ。
そんなこと分かっていたのに少しイラッとする。
異性の話を聞くだけというのはこんなにつまらないのだろうか?
私は30分の間相槌を打ち続けた。
「はぁ」
30分しかたってないというのにとても疲れた。
優也の話を聞くだけでこれとは先が思いやられるな。
「まぁいい、さて着いた事だしまずはハイキングとかいったか」
先程も言ったがこんな小柄でハイキングとか絶対疲れる。
というか足も細くなったから余計きついかも。
班で行動するのだが男子班の枠で入っていたから半全員が男子だ。
こんなことを言ってはあれだがこいつらは私が女の子だとは思いもしないから絶対グイグイ行くはずだ。
女の子を思いやれない男子ほど酷いものは無い。いや今回はしょうがないかも、、
班員は私、健太(けんた)、唯斗(ゆいと)、そして優也だ。
寄りにもよって健太と唯斗は山岳部だ。
とりあえず着いてくことを目標にしながら私たちの班は出発した。
案の定早く行くのかと思ったら、優也が、「景色見ようぜ」、と言ってゆっくり歩くことを提案してくれた。
「(案外気が使えるじゃん)」とか思いながら緑と暖色系の混ざった紅葉を眺めながら頂上を目指した。
目標は頂上を目指し、班で写真を撮り、下山してくる。
未だに思うがなぜ毎年高校生にもなってこんな小学生並のことをしてるのか疑問に思う。
普通に職業体験とかもっと社会的なものだろう。
そんな当たり障りのない質問を自分に投げかけながら歩き続けた。
「ふはーー」
「ようやく頂上に着いたな」
癖である音のしない指パッチンをしながら優也はそう呟いた。
「あっ、そろそろ降りないと日がくれるよ」
唯斗がそういい写真撮りも済ませたところで急いで下山を始めた。
「くそっ、ゆっくり行き過ぎたな」
優也が悔やむように言葉を吐き捨てながら小走りに下山を始めた。
こんな体になった私は着いていくのがやっとで宿に着いた頃にはクタクタだった。
着いた時にはほかの班は全員ついててご飯の支度だった。
「わt、俺達も準備しよっか」
「(危ねーさすがにここでやらかす訳には行かん)」
少しドキドキしながらも平然を保った。
優也は
「お、そうだな」
と返事をくれた。
ご飯も食べ終え1番の鬼門お風呂。とりあえず人気のない端っこで着替えながらすぐにバスタオルをしよう。そう考えた
ただ普通に考えたらお風呂でバスタオルって温泉旅行番組でもないんだから、、
胸も他の生徒より膨らみがある。
というか今気づいたが乳首はどうしよう。
普通に考えて普通の高校生よりもピンクっぽいんだが、、、
「(まぁ、、そこはいいか)」
とりあえず下半身だけバスタオルをまくことにした。
さていざお風呂。
知っていたが全男子の目線になっていた。
余計バレるかと思った。
とりあえず「うちではこうやって入るんだ」とか誤魔化したがどうみたって不自然。
さっさと上がって部屋に買いくことにした。
「はぁ、休めばよかったか」
そんなことを男子部屋の端で考えていると。
「なにしてんの」
優也の声が突然聞こえてきた。
「隠すときはもっとバレないように隠せよw」
「ギクッ」
「(とうとうバレたか?)」
焦りながらあたふたしていると
「あれの長さ、コンプレックスなんでしょ?」
一瞬にして「バレた」なんて考えは吹き飛んだ。
やはり思春期真っ盛りの高校生だ。
「お、おう」
そう相槌を打ってその場で横になった。
これから就寝だ。
就寝が1番安心する。
男十数人を1つの部屋に入れて寝る。
自身の体を布団に収め、寝ようとした。
すると。
「(なんか右に誰かいる?)」
薄暗く前の見えない部屋で手当り次第周りを叩いてみると
「ドンッ」
誰かを叩いたようだ
「あ、バレちった」
一瞬恐怖で頭が埋め尽くされた。
しかしその声の主は優也だ。
「は?なんでここにいるの?」
小声で喋ったせいで余計女の子っぽい声が出てしまう。
「お前、女の子でしょ?」
「ビクッ」
咄嗟に体が動いてしまう。
「ち、違うよ」
震えたような声でそう言う。
「へぇ、じゃあアソコ見せてよ」
「(うわきも)」
言葉よりも先にそう思ってしまった。
もしも下じゃなくて上だとしても今は女の子、さすがに異性に見せるのは嫌だ。
「いや、さすがに見せるのは」
聞こえるか聞こえないかの声で返答した。
「もう、分かってんだからw」
呆れたような声で追い打ちをかける。
「(ちっ、どこで感づいたんだ)」
私はもう諦めた。
「そ、そうだよ、女の子だよ」
少し力を込めて返答した。
「やっぱり〜」
少し満足したのか嬉しそうな表情で優也が呟く
「てか、なんで気づいたの?いつから?」
「ん、今日かな」
もう興味はないかと言わんばかりに適当な返事だ。
「ってか、元から女の子だったんだなwなんで隠してたの?」
「いや、、違くて、」
「ん?」
「1ヶ月前気づいたら女の子になってたの、、」
「は?」
そりゃそんな反応するだろう。
「それで、とりあえず隠して、、」
「お、そうか、」
「(信用してないなこの男)」
「だってさ、よく考えてみてよ、、なんか身長も低くなったし声も高く、顔も小さくなったでしょ?」
「まぁたしかに、、、」
少し信じ始めたのか声がほんの少し明るくなった気がした。
「と、とりあえず他の人には内緒にして!」
「(ってかこの男はいつまで女の子がいる布団の中に居座る気なんだ)」
「わ、分かった。もう寝る」
そう言い残しそそくさと自分の布団に戻った。
あれから優也も気を使ってくれるようになった、、、気がする。
どうせそのうち打ち明ける予定だ。
1人や2人秘密を知ってる人が増えたところでなんてことはない。
もしかしたらこのまま突き通せるかもしれない。
私はそんな浅はかなことを考えながら帰路に着いた。
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