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私はカミングアウトした。
何もかも。
それが地獄の始まりだとも知らずに。
私は性別転換した1週間後に全てを打ち明けた。
しかし、タイミングを見図らなかったのか周りは受け入れてくれなかった。
「おはよう」そう喋りかけても返答はない。
先生は相手にしてくれるが女教師であるためそう強くは出れない。
普通に考えて性別が変わった程度でこんなことをされるのは理不尽だが周りはその流れに流されて結局いじめに加担し始めた。
最初は話してくれない程度だったが徐々にエスカレートしていった。
物を投げられる、隠される。
そんな小学生が考える程度のいじめをされた。
元の「俺」ならなんてことないと思うが、今の「私」は性格も変わりメンタル面も低くなり耐えられなかった。
次第には殴られる等の暴力沙汰にも発展した。
親にも相談しようとした、前なら当たり前のように相談していたが、今では親に迷惑をかけられないという気持ちの方が強くなり相談出来ない。
高校生だからか分からないが知性が高くなり服で傷跡が見えない場所を殴ったりするようになった。
いくら「やめて」と言った所でそんな小さな望みすら叶わなかった。
私は今ホームセンターで縄を購入した。
最近動画配信サービスを行っているアプリで見つけた「首吊り縄の作り方」という動画。
私はこれを見ながら首吊り縄を作成した。
意外と難しそうに見えたが女子になったことにより手先が器用になったようだ。
早速カーテンのレールに縄を括りつけた。
皮肉なことに身長は低くなったため地面までの高さは申し分ない。
体重も軽くカーテンレールか壊れる心配もない。
ただ性別が変わっただけでこうなるとは思ってもいなかった。
「(せっかく性別が変わったのなら色んなことにしたかったなぁ)」
なんて思いながら全体重を縄にかけた。
意識が遠のいていく、「(これが死かぁ)」
当たり障りの無い考えを頭に浮かべながら私の意識は途切れた。
「先生!目を覚ましたました!」
ドラマでしか聞いた事のない声とともに私は目を覚ました。
目の前には真っ白な空が広がっていた。
「(ここが天国?)」
寝ぼけているかのような考えの元周りを見渡してみた。
「痛っ!」
首に激痛が走った。
首を抑えながらその場に倒れ込む。
「安静にしててください」
声の主は男性だ。
「医者?」
その瞬間全てを察した。
多分親がその後すぐに私を発見し縄を外し医者に連れていった。
「お母さんとお父さんは?」
医者に質問を投げかける。
「今外にいます。」
「そ、そうですか」
少し不安になりながら返答した。
「なぜ自殺なんてしたんですか?」
若干怒り気味に聞いてきた。
「そ、それは、、」
回答しようとした瞬間先生が遮るように話し始めた。
「理由は、聞きません。なに原因があって自殺なんてしようとしたんでしょう。まずは親御さんを頼ってみてください。わかりましたか?」
「は、はい」
先生の圧に負けてすぐに返答してしまった。
「とりあえず体重が軽くて傷跡は軽微なので今日は退院して安静にしてください。」
「わかりました」
帰った後親にも相談して学校にも連絡した。
その後私は改善しているだろうという淡い期待を胸に学校に行った。
「原井〜お前首吊りしたんだってww」
「ダッサww」
「なんで知ってるの?」
私は不機嫌そうに質問した。
「噂だよwwってか首に跡ついてるし」
周りがザワザワし始めた。
そして私の周りに沢山人が来た。
「結局死ななかったんだってwwあ、死んでたらここにいないかw」
「もう1回自殺しろよw」
私は吐き気がした。
こんなにも苦しんでいるのにこいつらは笑ってばかり。
「…られない」
「は?なんて?聞こえないなw?」
「もう耐えられない!」
その瞬間私は席をたち屋上へ向かった。
階段を駆け上がり扉を思い切り開けた。
そして網を登り網の向こう側に座った。
すぐさまうちのクラスの子が来た。
なにか言っているようだが私は下を見ながら今までのことに着いて考えた。
そうしているうちに教師や色んな野次馬がし始めた。
下では騒いでいる生徒達がゴミのような大きさに見えた。
教師は「こんなことしても意味無いでしょ原井さん戻ってきなさい」だの喚いている。
私は呆れた。
私は立ち上がり。
「こんな結果にしたのは誰?」
そう質問を投げかけた。
「そ、それは」
戸惑っている生徒たちを尻目に私は続けた。
「ここに跡ができるまで追い込んでその上また同じことを繰り返す。そんなクズみたいなことよくできるよね」
私は首を指で指しながらそう言った。
「なぜ性別が変わっただけでこんなこと言われなきゃならないの?」
「大人も子供をしっかりと見ていないから、自分たちの利益しか目に見えてないからこうなったんだ。」
さっきまでうるさかった野次馬は静かになった。
「じゃあね、来世は男女差別のない世界だといいな」
私はそう呟いて足を地面から離した。
体は自然と斜めになり徐々に落ちていく。
私は重力に従うがまま、落ちていった。
「ドンッ!」そんな鈍い音とともに私は地面に押しつぶされた。