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第一章 総回診
医療法人スノ和会。
国内最大級の医療グループ。
その頂点に君臨するのが
雪達磨大学附属病院。
高度医療。
最先端研究。
全国から患者が集まる
日本有数の大学病院。
しかし、この病院の本当の顔は――
次期教授の座を巡る、静かな権力争い。
医師たちは皆、知っている。
腕だけでは生き残れない。
人脈。
政治。
そして運。
すべてを制した者だけが
教授の椅子に座れる。
その頂点に立つ男。
理事長――
深澤。
この男がいる限り
この病院の秩序は絶対だ。
人はこの病院を、こう呼ぶ。
紫の巨塔。
――――
📢「まもなく理事長回診が始まります。
各科の医師は廊下へ整列してください。」
院内放送が静かに響く。
それを合図に
廊下の空気が変わった。
長い廊下。
足元には
深い紫色のカーペット。
理事長の趣味で敷かれたその色は
今や病院の象徴になっていた。
白衣の列が、ずらりと並ぶ。
まるで
儀式のように。
誰一人、私語はない。
背筋を伸ばし、
視線を前に向ける。
腕時計を見る者もいない。
この時間、
この廊下では
理事長以外の時間は止まる。
この回診は
ただの院内視察ではない。
理事長の一言で
医師の未来が変わる。
教授になる者。
消えていく者。
すべてが決まる場所。
列の先頭に立つのは
理事長
深澤。
紫のカーペットの上を
ゆっくりと歩く。
革靴の音だけが
静かな廊下に響く。
コツ。
コツ。
誰一人、顔は動かさない。
それでも
視線だけが理事長を追う。
誰も深澤の目を見ない。
深澤が通り過ぎるたび
白衣の列にわずかな波が走る。
その後ろには
次期教授候補。
外科医 助教授
目黒。
通称:黒豹
数々の難手術を成功させてきた
天才外科医。
無口で冷静。
しかしその腕は誰もが認めている。
その隣には
内科医 助教授
阿部。
通称:狼
論理的な診断力を持つ
頭脳派医師。
温厚な性格で
院内の信頼も厚い。
二人は並んで歩きながらも
互いに一歩も譲らない空気を纏っていた。
教授の椅子は
一つしかない。
さらにその周囲には
各科のスペシャリストたち。
放射線科。
外科。
救急。
この病院のエリートが
ずらりと並ぶ。
まるで
王の行進を迎える家臣の列のように。
空気がぴんと張り詰める。
そのとき――
廊下の向こうから
ダダダダダダッ
走る音。
静寂を破る
あまりにも場違いな足音。
看護師たちが振り向く。
角を曲がってきたのは
髪を整える余裕もない新人看護師。
渡辺。
翔太💙「うわあっ……痛っ!」
ドンッ。
ぶつかったのは
病院の象徴――
雪だるまの銅像。
翔太は口元を押さえる。
右の唇の上。
小さなアザ。
昨日、ロッカーにぶつかって出来たものだ。
翔太💙
「まただ……」
院内の広々としたホールに
堂々とそびえ立つ巨大オブジェ。
理事長が
「かわいいから」
という理由だけで
設置したものだ。
翔太💙「誰だよこんなところに!邪魔だな!」
その瞬間。
ガシッ。
腕を掴まれた。
振り向くと、そこにいたのは
看護師長
ラウール。
高身長。
高学歴。
そして――
開業以来、最年少の看護師長。
ラウ🤍「遅刻だよ。後ろへ下がって」
翔太💙「へっ?」
院内がざわつく。
「新人か?」
「今日配属の……?」
ひそひそと声が広がる。
しかし
その声もすぐに消えた。
理事長が
足を止めたからだ。
紫のカーペットの上で
革靴の音が止まる。
おずおずと後ろへ下がる
新米看護師。
辰哉💜「……誰?」
その一言で
廊下が完全に静まり返る。
翔太、固まる。
視線が一斉に集まる。
その瞬間。
目黒が一歩前に出た。
蓮🖤「うちの新人です」
低く落ち着いた声。
すると
阿部が口を開く。
亮平💚「いえ、うちの科に配属予定です」
一瞬。
空気が凍る。
医者たちがざわめく。
「今の聞いたか?」
「教授候補が……?」
翔太💙「え?」
翔太は数秒、言葉を失った。
深澤の口元がわずかに緩む。
辰哉💜「初日からモテるねぇ」
くすっと笑う。
そして
翔太を見つめたまま
ゆっくり言った。
――紫の巨塔へようこそ。
回診は再び動き出す。
深澤は歩きながら
小さく呟いた。
辰哉💜「……面白い子だ」
その言葉を聞いたのは
すぐ後ろにいた二人だけだった。
目黒と阿部。
二人の視線が
同時に翔太へ向く。
紫の巨塔の物語が
静かに動き出した。
コメント
6件

なんっっだこれ!!!! めっちゃ面白いです! 声出して笑ってしまった🤣 楽しみにしてます!💜

ドジっ子💙可愛い!😍 むちゃくちゃ面白そう!!!天才👏