TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

 ふと目が覚めると、真夜中だった。

深い夜の黒に包まれた部屋の中、隣で寝息を立てている最愛の人を見つめた。

 少し切れ長な目を閉じている今は、少し幼さを残したような可愛らしい顔になる。

 目にかかっていた長い前髪をそっと避けて、彼の寝顔をまじまじと見る。

 目が丸く、可愛らしいと言われることの多い俺とは違って、彼はほんとうに男らしい顔をしている。

 これでモテないはずがない。

 そこまで考えて、俺は少し喉が痛い気がして、キッチンへ水を飲むために向かった。

 テキトーに手に取って素肌に羽織ったシャツは、彼のもので、フワッと彼の匂いに包まれる。

 その匂いに少しドギマギとしながら、冷蔵庫の中から水を取りだし口をつけた。

 そして、なんのなくベランダへと続く窓の前に座り、ため息をついた。

「そう…よな…」

「あいつがモテへんわけないよな…」

 そこまで言って、自分の言葉にハッとなった。

 彼と身体の関係を持つようになってしばらく経つが、まだ付き合っている訳では無い。

 独り占めできる立場にある訳では無いし、彼が誰かと付き合うとなれば、身を引かなければならないのは俺自身だ。

分かって…分かってたけど…

「グスッ…いや…やなぁ…」

いずれくる「その時」を想像して涙が溢れてきた。

1度溢れさせてしまうと、もう止めることは出来なかった。

 窓から差し込む月の白いあかりの中、俺は声を押し殺して泣いた。

ギシッ

 床の軋む音がしてビックリして振り返ると、驚いた顔をした彼が立っていた。

「ホビー?泣いてる…の?」

「あ…いや…これは…」

 口どもっていると彼は俺の隣に座り、そっと指で俺の涙を拭った。

 優しく触れてくれる彼の手が嬉しくて、さっきまで悲しかった気持ちがスーッと消えていくのを感じた。

「身体…冷えてる。布団に戻ろう」

「うん…」

 理由も聞かずに俺の手をひき、ベッドまで連れてきてくれた彼は、俺を抱きしめるような格好で寝転んだ。

 そして、ゆっくりと頭を撫でる彼の手の温もりで、俺は再び夢の世界へと潜り込んで行った。

 そんな俺を、彼は寝息が安定するまで見守ってくれていた。

 俺が寝たのを確認すると、そっと俺の顔を覗き込み小さなキスを額に落としながら呟いた。

「愛してるよ…ボビー…ずっとそばに居て…」

 甘く囁くようなその声は、夢の中にいる俺の耳には届かなかった。

ノベル版のあれこれ

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

1,057

コメント

19

ユーザー

最高すぎました…どっちも両思いなのかな?ドロドロした関係好き過ぎる❤︎

ユーザー

おー! The恋愛ですね! あ、1つ聞きたいんですけど莉衣那さんは女研の誰推しですか? 私はしろせんせー一択です!

ユーザー

最高(☝ ՞ਊ ՞)☝

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚