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渡会雲雀side
「じゃ、俺はここで」
2年の教室がある3階に来たところで、
風楽とは別れる。
1年は4階だし。
「・・ん、ありがと。朝は」
まだお礼言ってなかったな。
なんて思ってお礼を言えば
「俺が勝手にしたことなんで、
お礼はいらないつすよ」
なんて笑って階段を登っていく。
そんな後ろ姿を眺めながら、
また会えんのかななんて思っていた。
教室までの廊下を歩いていれば
「雲雀くんと同じクラスじゃない⋯」
なんて突然現れる例の子。
寂しい⋯なんて言われるけど、
俺は嬉しいよ。
なんて心で思う。
「会いに行っていい?」
そう言われるから「来ないで」
そうハッキリ言えば
「冷たい~!」なんて言いながらも
着いてきて。
結局、教室の入口まで来て
若干クラスメートに引かれてた。
文句を言いながら帰って行ったのを見て、
教室に入って席を確認。
窓側の1番後ろから2番目。
ここなの変わらないよなあ。なんて思う。
中学の時から苗字的に
この位置になることが多い。
夏は暑すぎるけど、
冬とかは暖かくて眠くなんだよね。
だけど、この席が好き。
席に着いて、ただボーッと外を眺める。
ガヤガヤと話してる声をBGMに。
風に揺られてる木も、風で舞ってる桜も。
色があったら凄い綺麗なんだろうけど。
見てみてえな、桜の色。
みんな麗って言うから、
すごい気になってんの。
ピンク?なんでしょ?
そのピンクもどういうなのか分からないけど。
「なぁ、お前ら付き合ったって本当?」
「うわっ、バレてんのかよ⋯最悪」
外を眺めながら会話に耳を立てていれば
聞こえてきた話。
「どっちから?」
「俺から。〇〇のこと好きで一か八かだよね」
なんて話すその声は、凄い幸せそう。
顔を見なくたって分かるくらい、
声に惚気がでてて。
俺にもそんなやつが欲しいよ。
なんて思う。
それから担任が入ってきて、
自己紹介されて体育館に。
担任、楽そうな人で超ラッキー。
体育館に着けばもう、
何クラスかは来ていてガヤガヤしていた。
普通、番号順とかのはずなのに
この高校はクラスの列であればどこでも良くて。
俺はいつも安定に1番後ろ。
寝れるし、簡単に抜け出せるし。
クラスのやつらが、
ある程度並んでいって座っていくのを
確認して俺も座る。
ほかのクラスと学年のやつらも
次々ときてあっという間に
パンパンの体育館。
司会の先生の声でシーンとなって、
始まる始業式。
⋯今日は長いパターンだ。
表彰式的なのがあるって今言ってたし。
「・・・つしゃ」
始業式が始まって、5分。
体育館からの抜け出しに成功。
そのまま廊下を歩いて、屋上に。
こういう時しか来れないからね、ここ。
いつもは地味に先生に見つかるから、
無理だからこういう時だけの特別な場所。
景色を見る訳じゃなくて、
風に当たりに来る。
そして、色々自分の中で理する。
「⋯ん、きもち」
屋上の扉を開けて、
グウつと体を伸ばすと気持ちよくて
思わず声が出る。
背中をボキボキっと音を鳴らせば
「痛くないんですか?そんなに音鳴らして」
俺以外いるはずがないこの屋上で、
風楽の声。
バッと振り向けば、
ちょっとニヤついた風楽が立っていて。
「⋯なんでいんの⋯⋯?」
「ひばが出ていくの見えたから、
着いてきちゃったんです」
なんてサラッと言うけど
「⋯いや⋯だからなんで?」
「ひばのこと、気になる⋯からですかね?
なんかひばといるの楽しくて」
そう言いながら風楽は、
俺の隣に来て同じように体を伸ばす。
⋯にしても
「1年がここにいたら⋯やばくね?」
というより、昨日入学したやつが
サボりはやばくない?
流石の俺でもしなかったよ。
「ですよね?怒られる覚悟は出来てます」
なんて堂々と言ってくるから、
なんか面白くて
「ははっ、すげぇ自信」
なんて言えば
「⋯あ、笑ってくれましたね、ひば」
なんて嬉しそうに俺を見てきて。
「ひば、俺と出会ってから
1回も笑ってくれなかったじゃないですか?
見てみたかったんですよね、
ひばの笑った顔」
そう言ったと思えば
「あぁ~、写真撮っとけば良かった~」
なんて呑気に1人でブツブツ言っていて。
俺は、無意識に風楽の言った
「見てみたかった」って言葉に
ドキッとしていて。
男なのに⋯⋯相手は男なのに。
しかも何も知らない、年下なのに。
俺が今まで「好き」だと感じた時と
同じ感情になっていて。
「ひば!綺麗ですね、桜」
なんて俺を見て言ってくる風楽の事を、
好きになってしまった俺を心底恨んだ。
コメント
1件
「風楽くん、ひばのこと気になるから着いてきたって…めっちゃストレートすぎるでしょ/// 屋上での二人の空気、すごくいいですね。雲雀くんの“好きになってしまった俺を心底恨んだ”ってラスト、もう…切なすぎます。自分が何も知らない年下の男の子に惹かれてしまう戸惑いがヒシヒシ伝わってきて胸が締め付けられました🥀」 (90字)