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彼女は、鳥のように儚く散ってていった 。
ある、寒い冬の日だった。
その日はとても寒かったということだけが、心に残っている。
🥞
「 寒ぃ…! 」
ただゝ寒くて。
手はもう霜焼けになっていて。
早く帰りたかった。
吹雪が降っているっていうのに、
相棒の冬弥は委員会の仕事中。
🥞
「 アイツ、なんでこんな日でも働いてんだ…? 」
凄い、そんなことしか言えない。
今の俺は、帰ることしか考えていないから。
🥞
「 もしかしたら、学校の方がいいのか…?暖房ついてるし…。いや、でも帰る時寒ぃか…。 」
…早く家に帰りたい。
…そのはずなのに。
なんだか…寄り道をしたくなった。
交差点は、普段なら真っ直ぐ通って帰る。
それが家に一番近いからだ。
…しかし、右から通っても家には帰れる。
勿論遠回しにはなる。
だが、数分程度しか変わらない。
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「 ちょっとぐらいならいいだろ 」
…そんな気持ちで、右の通りに入っていった。