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魔技side
「抱かせてくれない?」
突然だった。ふと、そう思ったから声に出しただけだった。俺の声を聞いたアイツ、瓦礫は見ていたテレビから目を逸らし、俺の方を見た。
『…別にいいぞ』
いつもと同じ無表情で、いつもと同じ無機質な声で答えた。出たよ“イエスマン”…。コイツとは長い付き合いだからわかる。いや、長くなくてもわかる。コイツは何でもかんでも自分に出来ることなら“何でも”OKする。他の奴の掃除当番の代わり、センコーのくだらない雑用、そのすべてをアイツは受け入れてきた。そのせいで俺が学生時代どれだけ巻き添えを食らって苦労したことか…。
「…あー、じゃ、俺先にシャワー浴びてくるわ」
『ん』
ガラリと風呂場のドアを開けて、シャワーの準備をする。…つーか、アイツこんなこともOKするのかよ。いや、ずっとヤってみたいとは思っていた。俺よりも高い背。男でも見惚れるいい筋肉質の体。低くて男らしく聞きやすい声。アイツがどんな声で鳴いたりするのかずっと気になってはいた。
シャワーの水の音が部屋に響く。
…俺はずっとアイツのことが好きだった。幼馴染だから物心ついた時にはアイツは俺の隣にいたし、小中高ずっとアイツは俺についてきてくれた。だからお互いのことを1番知っているのはお互いだし、アイツの恋人に相応しいのは俺だけだと思っている。何もしらねぇ、外面だけで好きになる薄っぺらい女とは違う。だけど、アイツは“イエスマン”だ。俺のどれだけ重い告白だろうと、顔見知りぐらいの女の薄っぺらい告白でも、アイツは変わりなく受け入れる。そんなのは絶対に嫌だ。俺の気持ちがアイツの芯の奥まで伝わるまでこの気持ちは伝えない、そう決めている。
下だけを履いて、濡れた髪を拭きながらリビングに行く。アイツはテレビに見飽きたのか寝転びながらスマホをいじっている。
「瓦礫〜、上がった〜」
『ん、わかった』
アイツはソファーから立ち上がり、風呂場に向かう。アイツ、シャワー早いからスキンケアする時間ねぇんだよなぁ。そんなことを考えながらすぐに済ませられるパックをして、アイツが来るのを待つ。
『上がったぞ』
「お〜、おか〜」
下とTシャツを着て、寝室に入ってくる。ゴムがあるかどうかを気にしているのか、キョロキョロと視線を動かしている。俺は近くに置いておいたゴムをアイツに軽く投げて渡した。
「ちゃんとあるに決まってんだろ。俺だって初めてじゃないんでね」
『…そうか。俺もこっちは初めてじゃない。ちゃんと準備はしてある』
アイツは受け取ったゴムをそこら辺に置いて、ベットに座っている俺の目の前に跪き、股の間に顔を触れないぐらいに近づける。いつもの目、感情がわからない目でアイツは俺を見つめる。お前からしたらこれはただの行為でしかないんだろうな。どいつとやってもきっと同じ結果。それを俺が変えてやる。お前には俺しかいらないんだってことをわからせてやるよ。だから他のところには行かないでくれよ。瓦礫…。
瓦礫side
「抱かせてくれない?」
突然だった。俺はそこまで面白くもないテレビから目を逸らし、魔技を見る。魔技は、自分の自慢の癖のある白い髪を指先に巻きつけクルクルと回しながらこちらを見ていた。
『…別にいいぞ』
そして俺はテレビに視線を戻す。嘘は言っていない。昔からなんでも“イエス”してしまうのはあまりいい癖ではないが、悪い癖とは言えないだろう。…そのせいで魔技からは“イエスマン”とか言う変なあだ名をつけられたが。逆に“ノーマン”の魔技には言われたくないな。魔技は自分に利益のあることしか了承しない。いわゆる利己主義と言うやつだ。だからどんな美少女の頼みだろうと、長年の親友の必死の頼みだろうと、自分に利益がなければすべてNOで返す。…ただ1人、凛音と言う親友を除いて。
「…あー、じゃ、俺先にシャワー浴びてくるわ」
『ん』
ギシっと音を立ててソファーから立ち上がり魔技は風呂場に向かう。抱きたい、だなんて珍しいことも言うんだな。ウルフのような長い、くせ毛の白髪。よく焼けた褐色肌。(自称)世界一美しいの顔。黙っていれば一級品のアイツに抱かれてみたい奴は何人もいそうなのに、なんで俺なんだか…。
俺はアイツのことが好きだった。性格や口、態度が悪いアイツだが、変なところで正義感が強かったりと謎なところが多い。だが、体育以外はオール5の頭の良さ、誰でも仲良く出来る性格だからか、友達が多い。いろいろと変なところもあるが、完璧なんだアイツは。だからこんな欠陥品の俺とは釣り合わないことはずっと前からわかっていた。だけど、諦めることが出来ない。告白してフラれて、この気持ちを諦めらめればいいが、告白して今のこの関係を壊したくはない。こんな臆病なチキン野郎の俺をアイツが好きになるとは思わないけどな
そこまで面白くもないテレビの番組が終わってしまったので、仕方なくスマホをいじって時間を潰す
「瓦礫〜、上がった〜」
『ん、わかった』
ソファーから立ち上がって風呂場に向かう。本当にヤるんだなと思いつつ、こっちが使えるように準備をする。…何回も使われてきたから、慣れてしまっている自分が怖いな。
『上がったぞ』
「お〜、おか〜」
すぐに脱いでしまうが、一応着ておいたほうがいいだろうと思い、下とTシャツだけ着て寝室に入る。そういえば急だったがゴムは用意しているのか?キョロキョロと視線を動かしていると魔技が近くにあったものを投げて渡してきた。それをパシッっと手で受け取る。
「ちゃんとあるに決まってんだろ。俺だって初めてじゃないんでね」
『…そうか。俺もこっちは初めてじゃない。ちゃんと準備はしてある』
魔技が当たり前だろ?とゆう顔でベットの端に座る。俺は受け取ったゴムをそこら辺に置いて魔技の目の前に跪き、アイツの股の間に顔を近づける。他の奴とヤる時は最初はこうしてやるといい、お前は従っているだけでいいんだ。昔そんなことを誰かに言われてから、最初はこの姿勢になることが癖になった。
魔技はいつものように黒く、綺麗な瞳で俺を見つめる。ああ、お前は他の奴の目とは違う。凄く綺麗だ。このまま体だけの関係でもいい。だから、もう少しだけお前のそばに居させてくれ。魔技…。
初めてのノベル、初めての読切で試行錯誤しながらやってのこの作品です ( ・᷄ ౩̎・᷅)ムズィ…
全くもってないカスみたいな語彙力を搾りに絞って言葉を出したり、これってなんて言えばいいだ?この表現で伝わるんか?と色々やりながら、たまに保存し忘れて最初からやったりと、自分なりに頑張ってみました_:(´`」∠):_..
たまに変なところがありますが気にしないでください(·▷.)
あのイラストはトレス素材をトレスさせてもらいました。
一応イラストでは右が「魔技」左が『瓦礫』です
それでは ここまで読んで下さりありがとうございました(・ω・)ノシ