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溺れるくらい

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溺れるくらい

5 - こころはこんなにも

♥

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2024年11月26日

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ーーーーーー


md視点



…戦争は終わった

無事、とはいえないけど


まぁ、そりゃあいつもの戦争だって死人も怪我人もでてる

けど、それが当たり前のように流せるかってなったら違う


コンちゃんはあの後隊長のドッグタグを回収して、ひとつは隊長の家族へ、もうひとつは死亡報告したあとお墓に埋めていた


みんなから慕われていた隊長

そんな彼が死んだのは誰のせい?

考えていたらキリがない、けど、



今は夜ご飯の時間

みんな食堂に来る時間は一緒だけど、戦争の後は集まって一緒に食べたりはしない

みんなそれぞれ整理したいことがあるだろうから





「…貴方のせいでっ!!!」



ガバッ




「……」



正直、予想はしていた

胸倉を勢いよく掴まれたから、皮膚まで掴まれたかも

これがただのいじめだったらまだ対処のしようがあったけど、ちらっと見た相手の顔は苦しそうな顔だった


多分、隊長と仲良かった人なんだと思う

いままでにも、こんなことはあったから

みんなのいる食堂は初めてだけど



「みどり……!?!?」



「ラダオ」



らだおくん、気づいちゃった

そりゃどんだけ大きい食堂でも一般兵が幹部の胸倉掴んで騒いでたら気づくよね


らだおくんがこっちに向かって走ってきているのに、この一般兵はまだ憎しみを込めた目で睨んできている



「みっどぉ…?」




……紫色の、彼

申し訳ないなぁって気持ちだったから戦争からいままで少し避けてた




「貴方のせいでっ!隊長がっ! 」



ぽろぽろと涙が流れ落ちている

こんな感情的になってもなお、「貴方」って呼ぶあたり真面目な性格が伺える




「みどり、」




めちゃくちゃ何か言いたげな目

けど、俺が何も言わないのを見てかける言葉が無くなったってとこかな



俺としてはこんなのどうでも、





「なぜ貴方はっ!涙すら流さないのですか!」








ヒュッ








こんな漫画みたいに息が出来なくなる感覚あるんだ、なんて呑気に思う


たしかにみんな、泣いていた

らだおくんも、コンちゃんも

お墓の前で手を合わせて


俺だけ、泣かなかった

いや、泣けなかった






「ちょぉーっと、詰めすぎじゃない?」



らだおくん

今は感謝すら伝えられないぐらい苦しい、かも




「みどり、大丈夫?」



そういって手を差し伸べてくれる

その手を、










バシッ









叩き落とした









「…え?」




「ア……ゴメ、ン」




困惑と動揺が伝わる

ちがうちがうちがう

らだおくんはたいせつで、だいじで

おれのひーろー、



……なのに、おれはたたいた?





ごめん、こんなおれで


ごめんなさい、こんなときに逃げるだけで





そのまま自室へ走っていく





「泣ケタラ、大丈夫ダッタノカナ 」



毛布にくるまり、視覚からも聴覚からも情報をシャットダウンする




どうか、一粒でも涙をながせたら

こころは、こんなにもないているのに




ーーーーーーーーーーー


rd視点





食堂でみどりと一般兵が騒ぎを起こしていたから止めたら、こんなことになるとはねぇ



「みっどぉ」



紫の彼が走り去ったみどりの姿を見て呟く

こんなとき俺もコンちゃんも冷静なのは、みどりが望んでした訳じゃないってわかってるから



「ねぇ、今するべき話じゃないけどさ。涙ってなんの為にあると思う?」



「うーん…悲しかったり辛かったりするときに、相手に感情を伝えるため?涙は自然に流れるから、あんまりよくわかんないけど」



「まぁ、たしかにねぇ。俺は心に溜め込んだ感情を出すものだと思ってるよ。誰しも感情はあるでしょ?でも涙として流すかは人それぞれ。けど、流さないとその分、溜め込むんじゃない?」



みどりを思い出す

C国のときも、さっきも


苦しく顔を歪めるだけで、決して涙を流さなかった


強いなぁと思ったけど、これが流せないだけだったら?



ひゅっ、っていう、鋭い呼吸

まるで嗚咽のような、ね




「…らっだぁは傷つかなかったの?」



まぁ、あんな叩き落とされてたらそう思うよね





「みどりの苦しみを考えたら、こんなの比じゃないね。それともうひとつ、誰にも言わないけどね」



「…らっだぁって感じ」




苦笑いをしてくるけど、なんなの!?



まぁもうひとつはあれだね

みどりが俺の事嫌いになる訳ないじゃない


あんなに俺への愛が強いあの子が俺のことを拒絶?嫌い?

ふざけてるよね


ふふっ。あの子には絶対的な信頼をおいてるよ

特に俺関係では、ね

俺にとって不利益なことはばっさり切って、利益になることだけ提供する、そんな子




…まだまだ研究所のことも国のこともいろいろあるけど、あの子だから、ね


ちょっとでもこの信頼が伝わってたらいいんだけど、多分わかってないだろうなぁ





「らっだぁの怖いとこがわかった気がするなぁ」




「失礼な!」





まぁ、そゆことよ。




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