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部屋の中に沈黙が訪れる。
この部屋に入ってきたばかりの男は何も考えていないのか、
貼り付けたような笑顔で、青年のほうへ顔を向けたまま止まっている。
「っ…あの…」
「はい?どうしたのでしょう?」
相変わらずの笑顔。
表情は動かさず、口だけを動かして青年の声にこたえる。
「さっき言ってた、消えるって…どういうことですか…?」
「あーそのことですね?どういうことと言われましても、わたくしもただそれを伝えに行けと言われただけなので」
淡々というべきことだけを述べていく。その時も貼り付けた笑顔を崩さない。
「…っ…そうですか…」
「はい。おわかりいただけて幸いです」
機械かのような声色。
「…。で、あの…僕はこれからどうすればいい、のですか?」
そう問うのも当然だろう。
ただ理由も聞かされず、消えると伝えられるだけならば。
「どうするか…。まあそうですね、特に何もしなくてもいいですよ。ただその時を待っていればいいじゃないですか。」
当たり前だというように、上から目線で言う。
消えるということに何の抵抗もせず、ただ待っておけというのか。
「なんで…ッ」
「?あなたとわたしは選ばれたんですよ?嬉しくないのですか?」
「は…」
不思議さと、少しの不穏さを出していた瞳は一瞬にして、ごみを見るような、得体のしれないものを見たような瞳に変化した。
「おかしい…おかしい…ッ!なんでッ?あなたは、自分が消えることに対して…嬉しく思ってるのッ?」
「悲しくないの?辛くないの?抵抗したくならないのッ?」
ピーッピーッ
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