テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「「何?」」
「立ち入り中の事故は自己責任、という誓約書です」
叔母は永人さんから紙をひったくり、声を出して読み上げた。
「現場内の物品は、発見者が所有権を主張することを認める。ただし、立ち入り中の負傷・事故については一切の責任を負わないものとする…ペンを貸して!署名するわ!」
「隅々まで読んでくださいね」
永人さんが言う前で、叔母に遅れを取らないように、叔父は自らのペンで署名をする。
「この写しは、一ノ瀬武夫さん、木野山正子さん、それぞれへ本日送ります。ヘルメットだけは、警備員さんから借りてください」
二人が血走った目で警備員さんを見たから、警備員さんが身震いしたわ。
重機の大きな音に驚いたわけではなさそうだもの。
そして、ヘルメットをかぶりながら
「金庫、金庫、まず金庫よっ!」
「隠し口座があるはずっ!」
二人は解体の始まった屋内へ突っ込んで行った。
「……あそこまで浅ましいとは……」
呆然とする早川さんも珍しい。
「早川さん、これ」
永人さんが誓約書の一番下を指さして、早川さんに見せる。
そこには
【本立ち入りをもって、一ノ瀬菊は当該親族に対し、以後一切の援助・便宜・金銭的配慮を行わないことを確認する】
と小さく書かれていた。
早川さんは声なく、大きな笑顔になったあと
「菊の完全勝利だ」
と私の肩を抱いた。
完全勝利……痛みがなかったわけではないけれど、これで終わり。
コメント
3件

どこまでも強欲の2人ですね💦弁護士先生からの注意も聞かず突っ走って、ほんとザマァ😁
👏👏👏👏👏 菊ちゃん…あのどん底から😣 おめでとう😭
うわぁお〜⤴︎⤴︎⤴︎ だーかーら『隅々まで』って永人さんは言ったのね(*´艸`)プププ 菊ちゃん(๑Ŏ﹏Ŏ๑)…やったね…