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圖阿です!
🦁🐇♀️が書きたかっただけです!
どうぞ!
・・・
教室の自席で本を読んでいると、会話が聞こえてきた。
モブ『有栖さんってなんか無愛想だよね?』
モブ『あーわかるー。なんか、誰とも馴れ合う気がないって全面でアピールしてるよね?』
モブ『そうそう!私たちのことなんてきっとどうでもいいとか思ってるんじゃない?』
モブ『うわー…性格悪すぎw』
聞こえてるっての。
きっとあそこで楽しそうに話している彼女たちは、こちらには声が聞こえていないと思っているのだろう。
人の声っていうのは、自分が思うよりも案外大きくて、それに気づかない人達は無意識に他者を傷つけてしまう。
今に始まったことじゃないこの話題に、いつしかウチは慣れてしまった。
💎「初兎ちゃんおはよ♪」
ウチの”事情”を唯一知る、幼馴染のいむちゃんが声をかけてきた。
🐇「おはよ。朝から凄い寝癖やなw」
💎「そうなの!聞いて!?風めっちゃ強くて、セットしたのに全部崩れちゃったの!」
💎「なんで初兎ちゃんはそんなに髪の毛綺麗なんだよー!」
💎「こうしてやるーー♪!!」
ワシャワシャとウチの頭を笑って撫でるいむちゃんに、ウチも釣られて笑う。
そんなウチらを先ほどまで話していた女子たちが面白く無さそうに見ている。
理由はわかりきってる。
ウチと違って、明るい性格で男女問わず仲の良い、いむちゃんはクラスの人気者。
そんないむちゃんとウチが一緒にいることにいちゃもんを付けられたことは今までにも何回かある。
それでも、ウチがいむちゃんといるのは、たった1人の大切な人だから。
💎「初兎ちゃん今日は病院だっけ?」
🐇「そう」
💎「じゃあ、僕先に帰ってるから、帰ってきたら昨日のゲームの続きしようね♪?」
🐇「了解♪」
いむちゃんと別れた後、ウチは毎週通っている病院に向かった。
医者「検査の結果、特に異常は見られませんでした。」
医者「これで今日は終わりです。また来週お越しください」
看護師「少しでも何かあったら連絡してくださいね?」
🐇「わかりました」
慣れ親しんだ医者と看護師にお礼を言った後、ウチは診察室を後にした。
建物から出て帰ろうとすると、病院の敷地にある小さなベンチの側で誰かがうずくまっていた。
慌てて駆け寄ると、目を瞑り、手を口に当てていた。
その顔は真っ青やった。
髪の毛が長く、初めは女性かと思ったが、体はガッシリとしていたため、とりあえず男性だろうと思い声をかけた。
🐇「お兄…さん…??…あの、大丈夫ですか?」
🦁「…ッ……ぁ…大丈夫です…((ニコッ」
そう言って笑うが、どう見たって大丈夫には見えなかった。
人を呼んでこようとすると、弱々しい手で引き止められた。
🐇「ほんの少しだけ待っててください!今お医者さん呼んできますから」
🦁「…ッ…大丈夫……ほんまに大丈夫やから…((ニコッ」
🐇「申し訳ないですが、どう見たって大丈夫には見えへんよ……?」
🦁「ちょっと目眩がしただけやから……ほら…もう大丈夫やで♪?」
彼がそう言うため、本人の意思を尊重して、とりあえず人は呼ばず、ベンチに座ってもらうだけにした。
少し離れた自販機で飲み物を買い彼に渡す。
お金を出そうとする彼を止めると少し不服そうな顔をした。
🦁「流石にお金を払わん訳にはいかんて……迷惑かけてもうたし」
🐇「……ほな、ウチは迷惑かけられてないんで、そのお金をもらう理由はありません!」
ウチの言葉を聞いた男性は、不思議そうに首を傾げた。
その姿がなんだか可愛くて笑いそうになったのをこらえながらウチは言った。
🐇「知っとりますか?迷惑って言うんは、かけた側じゃなくて、かけられた側がどう思うかなんですよ?」
🐇「ウチは迷惑をかけられていないと感じた……つまり、さっきのは迷惑じゃありません♪」
🦁「!……ハハ…そんな風に言われたん初めてやわw」
🐇「まぁ、ウチの大事な友達からの受け売りなんですけどねw」
それから、少し彼と話した。
話すことに躊躇いがあったものの、なんとなく彼とは少し話がしてみたかったから。
数分話してみて、ウチらは名前で呼び合うほど仲良くなれた。
🦁「今日はほんまにありがとうな」
🐇「ええよw偶々ウチが通りがかっただけやし」
🐇「ウチはもう帰るけど、悠くん1人で病室まで戻れるんか?」
🦁「ここまでやって自力で来たんやから、大丈夫だって」
🦁「……じゃあな」
🐇「うん!ばいばーい」
悠くんが建物に戻っていく背中を見届けた後、ウチは家に向かって歩き出した。
悠くんはまだ大丈夫やとええな……。
続く
・・・
見てくださりありがとうございました!